オーリスにターボがでたぞぉ〜・・・あれ?思ったほどにメディアが盛り上がってないですね。散々に「日本車は遅れている!」なんて叫んでいたのに、いざホンダがDCTを使って、トヨタがターボ使ってとなると・・・ピタっと何も言わなくなる。私の持論で数年前から一貫して主張していた「日本のコンパクトにダウンサイジング・ターボは要らない!」は未だに少しも揺るがないのですけど、いよいよトヨタとホンダはエンジンの刷新の時期にさしかかったコンパクト〜スモールカーのターボ化を始めたようです。そして早くもトヨタやレクサスからは自社製造のターボユニットを搭載したモデルが発売されました。
ちょっと興味深いのはトヨタのグレード別の価格設定です。たとえば「クラウン」と「アルファード」には縦置き・横置きの違いこそありますが、3.5LのV6のガソリンNAと2.5Lの直4HVの2種を看板ユニットつまり「ツートップ」に掲げて展開しています。それぞれ排気量は同じエンジンなので、クラウンに積もうがアルファードに積もうが、かかるコストも大きな差はないだろうと思うのですが、クラウン(アスリート)では3.5LのV6の方に、アルファードでは直4HVの方に高い価格が設定されています。正確なことはわかりませんが、クラウンのユーザーは自然吸気エンジンを好み、アルファードのユーザーはハイブリッドを好む傾向にありそうだから、コストとは無関係に価格設定をしている?というのが実際のところのようです。
クラウンへのハイブリッド導入は先代で行われましたが、レクサス用の高級車向けHVユニットを載せて600万円オーバーという価格設定がかなり敬遠されて惨敗しました。そして現行のデビューとともにHVでは「直4化」を断行して、400万円台での販売に踏み切ったところ一定の成果を残しました。トヨタの価格設定はとてもとても大胆で、売りたいクルマはとことん安くするので、プリウスやアクアは順当に売れています。
さてこのクラウンとアルファードにもベースグレードを担当する2.5L(V6)と2.4L(直4)を2Lターボに置き換える方針だという情報もあります。クラウンやアルファードのような上級車ではターボはベースグレード専用として使われるようですが、一方でより大衆的なクルマであるオーリスでは、なんと1.2Lターボが最上級グレードになるようです。ここで気になるのが「ターボはいったいどれだけのコスト高を招くのか?」ということです。しかし先ほども申し上げたとおり、トヨタというメーカーはコスト高のクルマは「やせ我慢」で安く売り(プリウス)、コスト安でもボッタたくれるクルマを高く売るという、他社とユーザーを手玉に取る戦略が得意なので、カタログの価格はあまり参考にならないです。
オーリスターボのキャッチコピーがなかなか胡散臭いもので「1.5Lの燃費で1.8Lの走り」なんだそうですが、そもそもトヨタの従来1.5Lの燃費ってどんなものなんでしょうか? 10年前まではモード燃費で17km/Lくらいだったのですが、CVTの配備が進み現行のオーリス1.5Lでは18.2km/Lくらいまで上がっているようです。そして新登場のオーリス1.2LターボのJC08モード燃費は19.4km/Lだそうです。これがちょうどスカイアクティブGの1.5Lを搭載するアクセラハッチバックと同じです。なるほど!
とはいっても本体価格176万円のアクセラ15Cと同じく259万円のオーリス120Tで比較すると、トルクこそオーリスが4kg・m程度上回りますが、馬力は7psしか差がなく、アクセラの方がやや軽いためにパワーウエイトレシオもほぼ同じです。はっきり言ってこれでは「1.8L並みの走り」というには語弊があります(トルクは確かに18kg・mですが・・・)。さらにトヨタが価格に拘らないどころか、ライバルメーカーの同クラス車よりも80万円も高く設定することに少々違和感があります。そしてたとえ1.2Lでもやはり4気筒のままではあまり燃費に効果はないようで、これまであらゆる車種でシビアに燃費を追求してきたトヨタが、このタイミングで日本市場でオーリスターボを発売する狙いって一体何でしょうか?。
無理矢理に理由を考えると、トヨタの企画担当者が、「今のCセグは絶対的にターボが人気!」と思っているから!くらいしか思いつきません。まあ完全にトレンドを履き違えているとまでは言いませんけども、オーリスで259万円ならばナビも標準で付いてくるのか?と思いましたが、どうやら別料金です(販売店がサービスするかもしれませんが)。そのかわりにオシャレなインパネと、前席だけシートヒーターが標準で付いてくるみたいです。マツダアクセラ/デミオ/CX3やホンダヴェゼルが、内装を豪華にして車両価格を上げているのを見てトヨタも真似したくなったのかもしれません。果たしてゴルフのトレンドラインとほぼ互角の価格設定の結果はどうなるのでしょう?
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日本車の良さをなかなか報じてくれないメディアにいらいらしてます・・・。これからも日本メーカーに素晴らしいクルマを作ってもらいたいので、率直な想いを発信してます。
2015年4月23日木曜日
2015年4月4日土曜日
「トヨタbB」と「BMWミニ」がやはり統合されるらしい・・・。
日本の自動車好きをザックリ分けてしまう「価値観」の相違として名高いのが、「オラオラ系」と「非オラオラ系」。誤解を恐れずに言ってしまうと「男気!」VS「じぇんとるまん」という"ファッショ"のディスり合いが、路上だけでなくネット上にも日夜続いております。この風潮に商機を見出して真っ先に突き進んだのが「マーケティングの鬼」ことトヨタ自動車で、ミニバンなどの「日本市場専用車」の多い市場で次々に「オラオラ系」のテイストを繰り出して圧倒的なシェアを掴みました。そして同じグループのダイハツも同じ路線でスズキを凌駕するなど若者への浸透度が光ります・・・。
その一方で、「オラオラ系の風潮がまったく理解できない」という人々も多くいます。やや偏見も含みますが、そんな彼らの多くは「大学に行った」だけで自らを「知的階層」と思い込み、「エリート」「ホワイトカラー」といった昭和な価値観の中に自分を見出して生きていらっしゃいます。そして「オラオラ系」な人々に対して激しい憎悪(軽蔑)の念を持つとともに、トヨタが作るアルファード/ヴェルファイア・ヴォクシィ・bBといった「オラオラ系」なクルマを徹底して嫌うようです。まるで「オラオラ系」へのトラウマ?に苦しんでいるかのような強迫観念を背負っています。「知的階層」ならば当然に日本の民俗学にも一定の知識はあるはずで、そもそも自分達のルーツがどの時代にあり、忌み嫌う「オラオラ系」のルーツがどの時代にあるかを考えれば、自分と同じ主張をする人々が日本では完全に「後付けの異分子」であることは自明です。冗談ついでに言っておくと、元禄期には一大ムーブメントになっていて弾圧を受けた「オラオラ系」と、せいぜい化政期以降に登場した「西洋風インテリもどき」では歴史の重みが違います・・・。
さらに少々、余計な事を書きますが、有名大学を経てリクルートだか電通だかで仕事して(30過ぎで「肩たたき」にあった?)いたという胡散臭いライター連中が、まるで世の中を全て分ったかのようにあれやこれやと下らんことを「決めてかかって」いるのを見ると、ちょっとイラっとしますね。こんな小者ばかりを大量生産する有名大学なんてもう要らないんじゃないの?という気がしますね。彼らが「マイルドヤンキー」とか勝手に命名して地方の若者をまとめて馬鹿にする風潮が日本を良くするとはとても思えないですし・・・。
さてそんな不毛な「二項対立」を完全に超越したような展開を見せる異色のブランドが「ミニ」ではないでしょうか。簡単に言うと「シトロエン」と「ネッツ」を混ぜ合わせると「ミニ」みたいな店舗になりそう!ってことです。とってもお上品なルックスの「DS3」とゴテゴテ感をこれでもか!とばかりに追加した「bB」を混ぜると、「ミニ」になるか?は個人の判断に任せるとしましょう。フロントのデザインならば「DS3」に近いエレガンスでスタイリッシュですけど、派生車種の「ミニ・クラブマン」はトヨタの北米ブランドの一つでbBも発売している「サイオン」に近いテイストなので、見る人に「bBみたいだな・・・」というなかなか強烈な印象を与えます。しかしですね・・・この「クラブマン」が近所(「多摩ナンバー」地域)では意外な事になかなか多いんですよ。雑誌「レオン」とか読んでそうで、白髪ヒゲにバンダナを添えてサングラスでキメてる年配者がお乗りになっています。若者が乗っているのは見た事がないですけどね。
もしかしたら、本当はbBみたいな箱型に乗りたいけど、輸入車率が体感で4〜5割に達する地域なのでそれなりに世間体もあるようで、輸入車版の「bB」として「ミニ・クラブマン」を選んでいるのかな?という気がします。もちろんBMWが開発した「走り」を軽視しない(はっきり言いますが重視はしていない!)設計のシャシーは魅力だったりするでしょう。トヨタとしてはせっかく自らが築いた鉄壁のマーケットの美味しいところ(お金持ちな高齢者)を、ミニに持っていかれるのは面白くないでしょう。ネッツが準備した「bB→ヴォクシィ→ヴェルファイア」という買い換えグレードアップ作戦に高齢者を取込むのはまず無理ですが、トヨタが予想したよりも高い年齢層&高い所得層で「オラオラ系」が意外にウケてしまって、この「予想外」の展開にはさすがのマーケット部門もやや混乱気味なのかもしれません。ランクル70の限定発売などでそれなりに効果的な対応はしているようですが、「変色」クラウンを懲りずに売り続けるのには違和感を感じます。「グリルをあれだけアレンジしたのにリアクションが薄いのはカラーバリエーションのせいだ!」みたいなどっかの部門責任者の迷惑な思い込みでもあるんですかね?(もしやあのアイディア社長の面子か?)
さてトヨタの「本流」は今後もプリウスとアクアの「スーパー」で「グローバル」な2台が担うことになりそうです。HV専用車が基幹となるメーカーって何だか凄いです・・・、世界で最も個性的な大手メーカーといってもいいんじゃないでしょうか。しばしば「燃費だけ!」とか安易に揶揄されますが、実際のところトヨタ車が選ばれる理由(強み)は「安心感」「居住性(乗り心地・静音性)」「パッケージ」です。「燃費」を含めた経済性を第一に考えるならばスズキ・マツダ・ホンダが今ではトヨタを上回る水準での争いを繰り広げています。業界の先端を走り続けるトヨタが通ってきた路線を、他社が続々と追いかけるというのは、これまでも何度もあったシチュエーションで、ぼんやり見てるとトヨタが燃費競争の中心にいるかのような印象を与えますが、トヨタはすでに他の日本メーカーとは一線を画した新しい展開に踏み出しています。自社の開発資源はハイブリッド(HV)と燃料電池(FCV)の2つに絞った次世代エネルギー車の普及に全て注入し、ガソリンやディーゼルに関しては、「競争力のある提携先」をピックアップした上で資本投下&提携を行い「OEM」車を作らせてトヨタブランドで販売するという「付加価値型」戦略です。
これまでのところトヨタから直接お声が掛かって提携が実現したメーカーが・・・スバル・マツダ・BMWの3メーカーです。あくまで憶測ですけど、2012年にBMWとマツダが相次いで日本で新世代ディーゼルの販売を開始したのは、トヨタ首脳部へのアピール合戦だったのではないか?という気がします。一旦はマツダのディーゼルが提供されることで決まっていた欧州向けトヨタ車に採用されるエンジン枠が、一転してBMWのものに変わったなんて報道もありました。トヨタ向けにエンジンの増産体制を整えていたであろうマツダは、急遽デミオとCX3による小型ディーゼル販促でなんとか消化しているようです。また既に発表されていますが、トヨタからは当然にそれの「見返り」(迷惑料)が提示されて、メキシコ製デミオが北米トヨタブランド車としてデザインを変えてOEM販売される見通しです。
一般にディーゼルエンジンに関してはBMWよりも高い評価を受けていたはずのマツダが却下された要因としては、「ドイツでの拡販には地元製造のエンジンを使ったほうがイメージがいい!(現地生産)」という判断と、将来的にBMWの直列6気筒&4気筒が採用される見通しのトヨタスープラ後継モデルやその他のモデルを考慮すると、ボア×ストロークが3、4、6気筒で全て共通で、ガソリンとディーゼルでも同じものを使うBMWの製造行程の方が、トヨタの強みである「数のメリット」をコスト面で大きく生かせるという判断があったのかなと思います。もしくは・・・エンジンとミッションはもはやユニットとして採用される時代なので、マツダの内製ミッションと組み合わせるマツダエンジンよりも、すでに(トヨタ系列の)アイシンAWの6ATが使われているBMWやミニのエンジンを採用すべきという、系列部品メーカーからの強硬な申し入れがあったのかもしれません。そういえば最近ですがトヨタの役員人事で部品メーカー出身者が入閣したという報道もありました。デンソーもアイシンは年間売上2兆円を超えていて、マツダ・スバルを軽く上回る規模となった部品メーカーの影響力がトヨタ内部でも大きくなっているのかもしれません。
トヨタの系列部品メーカー各社にとっては「BMW」と「ミニ」は身内といっていいくらいにかわいいお得意様ですが、その一方ではジャトコ製CVTを使うスバルや、独自に系列メーカーを抱えるマツダとは安易に合弁が組めない複雑な事情があるようです。そういえば福野礼一郎さんが、BMWi8の乗り味を評して「これはプリウスだ!」なんてとってもブラックで意味深なジョークを吐いてました(i3じゃなくてi8です!)。トヨタ系列の部品がたっぷり使われたi3もそうですが、最近のBMWはファンから期待されているキャラとは違うところに飛び道具を備えたモデルが増えてきたように感じます。プリウスのように軽い車体で、非MスポならばもれなくマークXみたいな乗り味・・・。最近のBMWはクルマ酔いするんですよね。
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その一方で、「オラオラ系の風潮がまったく理解できない」という人々も多くいます。やや偏見も含みますが、そんな彼らの多くは「大学に行った」だけで自らを「知的階層」と思い込み、「エリート」「ホワイトカラー」といった昭和な価値観の中に自分を見出して生きていらっしゃいます。そして「オラオラ系」な人々に対して激しい憎悪(軽蔑)の念を持つとともに、トヨタが作るアルファード/ヴェルファイア・ヴォクシィ・bBといった「オラオラ系」なクルマを徹底して嫌うようです。まるで「オラオラ系」へのトラウマ?に苦しんでいるかのような強迫観念を背負っています。「知的階層」ならば当然に日本の民俗学にも一定の知識はあるはずで、そもそも自分達のルーツがどの時代にあり、忌み嫌う「オラオラ系」のルーツがどの時代にあるかを考えれば、自分と同じ主張をする人々が日本では完全に「後付けの異分子」であることは自明です。冗談ついでに言っておくと、元禄期には一大ムーブメントになっていて弾圧を受けた「オラオラ系」と、せいぜい化政期以降に登場した「西洋風インテリもどき」では歴史の重みが違います・・・。
さらに少々、余計な事を書きますが、有名大学を経てリクルートだか電通だかで仕事して(30過ぎで「肩たたき」にあった?)いたという胡散臭いライター連中が、まるで世の中を全て分ったかのようにあれやこれやと下らんことを「決めてかかって」いるのを見ると、ちょっとイラっとしますね。こんな小者ばかりを大量生産する有名大学なんてもう要らないんじゃないの?という気がしますね。彼らが「マイルドヤンキー」とか勝手に命名して地方の若者をまとめて馬鹿にする風潮が日本を良くするとはとても思えないですし・・・。
さてそんな不毛な「二項対立」を完全に超越したような展開を見せる異色のブランドが「ミニ」ではないでしょうか。簡単に言うと「シトロエン」と「ネッツ」を混ぜ合わせると「ミニ」みたいな店舗になりそう!ってことです。とってもお上品なルックスの「DS3」とゴテゴテ感をこれでもか!とばかりに追加した「bB」を混ぜると、「ミニ」になるか?は個人の判断に任せるとしましょう。フロントのデザインならば「DS3」に近いエレガンスでスタイリッシュですけど、派生車種の「ミニ・クラブマン」はトヨタの北米ブランドの一つでbBも発売している「サイオン」に近いテイストなので、見る人に「bBみたいだな・・・」というなかなか強烈な印象を与えます。しかしですね・・・この「クラブマン」が近所(「多摩ナンバー」地域)では意外な事になかなか多いんですよ。雑誌「レオン」とか読んでそうで、白髪ヒゲにバンダナを添えてサングラスでキメてる年配者がお乗りになっています。若者が乗っているのは見た事がないですけどね。
もしかしたら、本当はbBみたいな箱型に乗りたいけど、輸入車率が体感で4〜5割に達する地域なのでそれなりに世間体もあるようで、輸入車版の「bB」として「ミニ・クラブマン」を選んでいるのかな?という気がします。もちろんBMWが開発した「走り」を軽視しない(はっきり言いますが重視はしていない!)設計のシャシーは魅力だったりするでしょう。トヨタとしてはせっかく自らが築いた鉄壁のマーケットの美味しいところ(お金持ちな高齢者)を、ミニに持っていかれるのは面白くないでしょう。ネッツが準備した「bB→ヴォクシィ→ヴェルファイア」という買い換えグレードアップ作戦に高齢者を取込むのはまず無理ですが、トヨタが予想したよりも高い年齢層&高い所得層で「オラオラ系」が意外にウケてしまって、この「予想外」の展開にはさすがのマーケット部門もやや混乱気味なのかもしれません。ランクル70の限定発売などでそれなりに効果的な対応はしているようですが、「変色」クラウンを懲りずに売り続けるのには違和感を感じます。「グリルをあれだけアレンジしたのにリアクションが薄いのはカラーバリエーションのせいだ!」みたいなどっかの部門責任者の迷惑な思い込みでもあるんですかね?(もしやあのアイディア社長の面子か?)
さてトヨタの「本流」は今後もプリウスとアクアの「スーパー」で「グローバル」な2台が担うことになりそうです。HV専用車が基幹となるメーカーって何だか凄いです・・・、世界で最も個性的な大手メーカーといってもいいんじゃないでしょうか。しばしば「燃費だけ!」とか安易に揶揄されますが、実際のところトヨタ車が選ばれる理由(強み)は「安心感」「居住性(乗り心地・静音性)」「パッケージ」です。「燃費」を含めた経済性を第一に考えるならばスズキ・マツダ・ホンダが今ではトヨタを上回る水準での争いを繰り広げています。業界の先端を走り続けるトヨタが通ってきた路線を、他社が続々と追いかけるというのは、これまでも何度もあったシチュエーションで、ぼんやり見てるとトヨタが燃費競争の中心にいるかのような印象を与えますが、トヨタはすでに他の日本メーカーとは一線を画した新しい展開に踏み出しています。自社の開発資源はハイブリッド(HV)と燃料電池(FCV)の2つに絞った次世代エネルギー車の普及に全て注入し、ガソリンやディーゼルに関しては、「競争力のある提携先」をピックアップした上で資本投下&提携を行い「OEM」車を作らせてトヨタブランドで販売するという「付加価値型」戦略です。
これまでのところトヨタから直接お声が掛かって提携が実現したメーカーが・・・スバル・マツダ・BMWの3メーカーです。あくまで憶測ですけど、2012年にBMWとマツダが相次いで日本で新世代ディーゼルの販売を開始したのは、トヨタ首脳部へのアピール合戦だったのではないか?という気がします。一旦はマツダのディーゼルが提供されることで決まっていた欧州向けトヨタ車に採用されるエンジン枠が、一転してBMWのものに変わったなんて報道もありました。トヨタ向けにエンジンの増産体制を整えていたであろうマツダは、急遽デミオとCX3による小型ディーゼル販促でなんとか消化しているようです。また既に発表されていますが、トヨタからは当然にそれの「見返り」(迷惑料)が提示されて、メキシコ製デミオが北米トヨタブランド車としてデザインを変えてOEM販売される見通しです。
一般にディーゼルエンジンに関してはBMWよりも高い評価を受けていたはずのマツダが却下された要因としては、「ドイツでの拡販には地元製造のエンジンを使ったほうがイメージがいい!(現地生産)」という判断と、将来的にBMWの直列6気筒&4気筒が採用される見通しのトヨタスープラ後継モデルやその他のモデルを考慮すると、ボア×ストロークが3、4、6気筒で全て共通で、ガソリンとディーゼルでも同じものを使うBMWの製造行程の方が、トヨタの強みである「数のメリット」をコスト面で大きく生かせるという判断があったのかなと思います。もしくは・・・エンジンとミッションはもはやユニットとして採用される時代なので、マツダの内製ミッションと組み合わせるマツダエンジンよりも、すでに(トヨタ系列の)アイシンAWの6ATが使われているBMWやミニのエンジンを採用すべきという、系列部品メーカーからの強硬な申し入れがあったのかもしれません。そういえば最近ですがトヨタの役員人事で部品メーカー出身者が入閣したという報道もありました。デンソーもアイシンは年間売上2兆円を超えていて、マツダ・スバルを軽く上回る規模となった部品メーカーの影響力がトヨタ内部でも大きくなっているのかもしれません。
トヨタの系列部品メーカー各社にとっては「BMW」と「ミニ」は身内といっていいくらいにかわいいお得意様ですが、その一方ではジャトコ製CVTを使うスバルや、独自に系列メーカーを抱えるマツダとは安易に合弁が組めない複雑な事情があるようです。そういえば福野礼一郎さんが、BMWi8の乗り味を評して「これはプリウスだ!」なんてとってもブラックで意味深なジョークを吐いてました(i3じゃなくてi8です!)。トヨタ系列の部品がたっぷり使われたi3もそうですが、最近のBMWはファンから期待されているキャラとは違うところに飛び道具を備えたモデルが増えてきたように感じます。プリウスのように軽い車体で、非MスポならばもれなくマークXみたいな乗り味・・・。最近のBMWはクルマ酔いするんですよね。
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