日本車には果たして『夏』という概念があるのでしょうか? 『海に行ったら楽しそうな日本車ベスト5』①ヴォクシー ②ハスラー ③コペン ④カローラフィールダー ⑤ジューク 独断と偏見で選んでみました。夏の休日にレジャーを愉しんでいる人が乗ってそうなクルマがこの5台ですね。一応ズラズラと選んだ理由を書いてみます・・・ちなみに『夏のドライブを愉しむ』とはちょっと主旨が違います!念のため。
『ヴォクシー』はトヨタのミドルサイズのミニバンでネッツ系列から販売されています。数あるトヨタのミニバンの中でもっとも『夏』らしいのがこのクルマかな?という気がします。まずはサイズがポイントで、なんとも『夏』っぽいですね(ノア/エクスワイアでもいいけど)。ゆったりサイズのアルファードだと、なんだかナンパ専用みたいな雰囲気になって『爽やか』じゃないですし、シエンタだとちょっとラゲッジが物足りないし、キャビンが手狭に感じます。クーラーボックスと浮き輪がたくさん入らない(笑)。
ルノーにカングーというスライドドアを備えた商用車があって、日本でも絶賛販売中なのですが、このクルマがとても夏が似合うということでフランス車・イタリア車をメインコンテンツにしている月刊誌『Tipo』は先月も今月も『夏はカングー』とばかりに盛り上がってます。トヨタは以前にファンカーゴをいうこれにそっくりのクルマを作っていた時期もありました。今のトヨタのラインナップからカングーみたいな雰囲気を持っているクルマを無理やりに探したらやっぱりヴォクシーですかね。「日本のカングー」です。
『ハスラー』はシエンタよりもっと小さい軽自動車ですけども、このクルマの武器はフランス車みたいなポップなデザイン性ですから当然に『海』にも似合う!というか『海』で最も映えるデザインかもしれません。人気沸騰のSUVを軽自動車に移植しただけのクルマと思われてますけど、よく見れば他のSUVと共通点を見出すのが難しいくらいに、独自のジャンルを築いています。目一杯に個性が詰め込まれています。2013年の発売直前に実車が公開された東京MS2013では、スキーを愉しむプレジャーSUVとしてプレゼンされてましたが、最初に見た時に「これは売れるだろーな!」と直感しましたね(ヴェゼルのオーラには気付きませんでしたが)。
これだけ個性的なスタイリングだと賛否両論ありまして、日本の平凡な街並の中で見かけると、ちょっと浮いてしまって少々オモチャっぽいですけども、レジャー用のクルマとしては比類なき完成度だと思います。走行性能に関してはあくまで軽自動車ですから、BMWやマツダ、スバルなどに基準から見れば、誇るべきものは何も無いですけども、『カーライフを愉しむ』という意味では、BMW、マツダ、スバルが全く満たせていない部分で大きな存在感を示しています。クルマ好きが好きなクルマとは真逆だけども、とっても『幸せ』なオーラが出てる。まあそういうベクトルのクルマですね。
『コペン』はダイハツがアイディアを詰め込んで来たなかなかの意欲作だったのですけども、S660とロードスターの影に隠れてしまったのが残念です。軽自動車のシャシーをそのまま使ったスペシャルティカーが『コペン』で、シャシーから専用設計しているガチ・スポーツカーが『S660』と『ロードスター』でして、お互いにもっと器用に棲み分けができればいいのですけども、なかなか2シーターのオープンを所有できる暇人は少ないとは思います。
ちょっと押され気味ですが、もっと『コペン』の良さってのがあって、その一つが『夏』じゃないですかね。海辺をのんびりと気軽に走るならば3台の中でもっとも「不思議」な感じがあっていいですね。これぞスペシャルティカーだな。それでいて海水浴場の駐車場に紛れこんでもすんなり溶け込める「当たりの柔らかさ」もいいですね。
S660やロードスターだと周囲に対してちょっと攻撃的?な感じがします。ピースフルな海辺じゃなくてサーキットで汗臭く走ってろ!とか思われてちょっと煙たがられそう。「そんなことあるかー!」って反論がありそうですけども、ロードスターもS660も極論すると「走るのが好きな人」か「単なるナルシスト」のどちらかしか買わないクルマですからね。まあ周囲からはほぼ確実にそう見られてます。カーメディアに勧められるままに通勤用なんかに使ったら、「走り好き」か「変態」かとしか見られない(どっちにせよ変態)。
『カローラフィールダー』。エクステリアが爽やか(シンプル)で『夏』って感じですねー(見た目が暑苦しくない)。キャンプにも海水浴にもとってもよく似合うクルマじゃないですか。頼りになる広いラゲッジには浮き輪もバーベキュー道具もガンガン積める。それでいて周囲に警戒されるようなスタイリングの怪しさは一切ないです(最近のカスタムだかスティングレーだかのケバさは無い!)。昼間にやってきて愉しんで、キレイにゴミを片付けて帰っていく善良な人々が乗るにはもってこいのクルマです。このクルマのユーザーに道路で因縁付けられたとかまず聞いたこと無いですよね(ユーザーはいい人が多い?)。
ちょっとオシャレさが足りないという意見もありますね。裏を返せばこのクルマは爽やかで健康的なイケメンが笑顔で乗りこなすクルマなんですね・・・。ルックスに自信の無い人はヴォクシーかコペンかジュークでキャラのバランスを取ったほうがいいかも。別にカスタムだかスティングレーだかに乗る人がかっこ悪いなんて一言も言ってないですよ!!!暑苦しいとも一言も言ってないですよ!!!
『ジューク』は日産が実験的に仕掛けたアバンギャルド・デザインの小型SUVなんですけども、大したインパクトを残していない日本市場とは違って、欧州では閉塞的だった2000年代後半の自動車市場をひっくり返した『英雄的』な扱いがされています。2010年の発売直後からフランスで沸騰し、あっというまにコンパクトSUVを欧州の主流にまで持ち上げました。すぐさまシトロエン、プジョー、ヒュンダイ、フォード、オペルなどが同じ方向性のアバンギャルドデザインを志向し、統一感あるスタイリングを好むVWやホンダが欧州で後退するありさまで、今では欧州全体がジュークの影響下に置かれています。
『夏』を演出するのが上手いフランス車やイタリア車に、ポップなデザインの作り方を教えた伝説の日本車として歴史に名を残す1台になるでしょうね。ジュークの何がフランス人にウケたのか? 日本では「ゴキブリみたい」とか言われてますけども、デザインのモチーフにあったのは「装甲車」と一般に呼ばれる軍用車両ですね。テロが続発して装甲車が当たり前に治安出動する欧州では、日本人の想像を越えたレベルで親しまれているようです。ハマー、ランドローバー、パジェロへ萠える人々の心を掴みつつ、女性でも気軽に乗れる軽快なスタイリッシュさも持ち合わせてます。
ここに挙げた以外でも、ヴォクシーの代わりにキャンピングカーみたいなリアゲートを持つステップワゴンもいいですし、ハスラーの代わりに軽自動車の販売首位を奪取した大ヒット中のNボックスも高い質感がいいですね。コペンの代わりに同じく2ドアのジムニーもいいかも。フィールダーの代わりにスバルの力作レヴォーグもこのブランドにしては爽やかなスタイリングに仕上がりました。そして欧州メディアでジュークの対抗馬として評価が高くなっているCX3もやっぱり装甲車ルックで硬派な印象があります。他にもまだまだ楽しい日本車がたくさんあるので追々紹介してみたいと思います。
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