レクサスから待望の2ドア車・RCが発売されて、ほぼ大方の予想通りレクサスISのシェアを半減させました。レクサス(トヨタ)としてはISに比べて利幅が大きいであろうRCが売れることはウェルカムでしょうから、RCの日本投入は商売的にも悪くない結果と言えます。「2ドア車=スポーツカー」と安直に断じてしまうには違和感がありますが、RCの成功が2ドア車やスポーツカーの販売に懐疑的だったと伝えられる日本の各メーカーにとって、開発に踏み切るハードルはかなり低くなってくれればクルマ好きには嬉しい限りですが・・・。
例えば「BMW220iコンバーチブル」といったモデルは、日本メーカーには見られない、いい具合に力が抜けたスペシャリティモデルなども、まったく皮肉無しに日本で使うには良さげで非常に好印象です。やがてこのモデルは3気筒化されFF化されて、BMW版の「ゴルフカブリオレ」みたいなクルマへと収束するかもしれないですが、本体価格が300万円台まで下がってくれるならば、ひょっとしたら日本市場に「スペシャリティカー」の一大ムーブメントを引き起こすかもしれません。とりあえず日本の至るところの観光地でレンタカーとして使われれば人気になりそうです。
そもそも300万円台で個性的なクルマを作るなんて、ホンダやマツダにしてみたら朝飯前なわけですが、これらのメーカーはなぜか、フィットRSのルーフと内装を特別仕様にしたり、ロードスターのシャシーを4座にするみたいな小手先なことをやたらと嫌います。まあBMWがどんなクルマを作ろうがこの両メーカーにはどうでもいいことでしょうし、やはりNSXやRX7で「直球勝負」してきた歴史に泥を塗るような「軽い」クルマは作れません!という保守的体質による「やりにくさ」は今も脈々とあるようです。
そんなホンダのラインナップの中で、少々浮いているのが「CR-Z」というモデルです。世界的な量販コンパクトカーであるフィットのシャシーを切り詰めたものに、同じくフィットのハイブリッドユニットをそのまま積んだ2ドアクーペスタイルのHVスポーツカーです。もちろんハンドリング性能を上げるためにベース車よりも車幅が拡大され5ナンバーサイズを超えた1740mmとなっていてフィットベースとは思えないほど威風堂々としています。2010年の発売直後は少々騒がれましたが、2012年にトヨタ86が発売されると残念ながら完全に忘れ去られた存在になってしまいました。
不人気車といえども中古車価格は2010年モデルがまだまだ150万円と高止まりしていて、セカンドカーとしてこのレアなモデルに手を出すのはちょっと躊躇われます。S2000を彷彿させるフロントマスクは個人的にはかなり好きですし、HV車ですから当然ですが20km/Lを突破しているモード燃費も満足ですし、レクサスやBMWやプジョーのスペシャルティカーと違って内装もベース車とは全く違う専用のインパネが用意されている点も満足度が高いです。1100kg台の車重も峠を走るのに向いていますし、実際に奥武蔵グリーンラインなどの首都圏近郊の林道ルートでもしばしば見かけます。
それでも住む場所にもよるかもしれないですが、例えば首都圏近郊の地域でコンパクトなスポーツカーを所有する意義というのは年々上がっていて、「買い物車」と「ドライビングカー」という二つのニーズをどちらも満足できるレベルで満たすことができる手頃でスポーティなセダンが減っているのもそれに拍車をかけています。この前買い物に付き合って埼玉県にある関東有数の規模を誇る「入間アウトレット」に生きましたが、そこの駐車場で見る限り、「お買い物車・86」の浸透度は予想以上に高いです。
スポーツカー専用シャシーをわざわざ設計し、その非日常な着座位置で欧州のユーザーを歓喜に巻き込んだ「86」ですが、やはりトヨタが狙うマーケットは「普段の足」だったりするわけで、試乗時にその少々複雑な「ギャップ」に気がついてしまった多くの人々からは、「いろいろ気が利いているけど、スポーツカーとして買うには・・・」といった歯切れの悪さが聞かれます。もちろんトヨタの企画も実車も非常に良い出来映えですし、むしろこういうクルマを日本メーカーが力を合わせて作り上げたことを誇らしく思います。けれどもふと気がつくと「86」に向けている関心は「BMW220iコンバーティブル」に向けるそれを同じベクトルだと気がつくわけです。
ベースグレードの本体価格は、ホンダCR-Zとトヨタ86(スバルBRZ)どちらもおよそ250万円です。マツダロードスターも当然にここに並べて来ましたので、競争はさらに激しくなっています。最古参のCR-Zにとっては非常に苦しい状況なのは当たり前ですが、パワーなら86、軽さならロードスターと両面が抑えられ、他は全てFRの専用シャシーなのに対し、フィットのFFシャシーに手を加えて使う「改造普通車」仕様ですから、買う側としてはいささか気になってしまうところです。
「CR-Zという選択はない!」と言い切れそうな気がしますが、「86やロードスターは完璧か?」と考えると、あれ?ちょっと待てよ・・・と。まず86やロードスターのような古典的なスポーツカーに対する評価は高くなりがちですから、その点をしっかりと見据える必要があります。古典的でない=邪道と切り捨てるのではなく、ポルシェ918やBMWi8が登場する前に「モーター」をスポーツカーに持ち込んだCR-Zの先駆性には敬意を持ちたいです。古典的な頭には「モーター」なんて邪道ですが、日本の新幹線はガソリンでもディーゼルでもなくモーターで動いている訳ですし、乗り味が悪くなるクソ・ターボに頼って規制をクリアするぐらいなら、いっそモータートルクで解決する方が完全に理にかなっています。
さて実際にCR-Zに乗ってみると、とりあえず狭い・・・いやタイトで運転に集中できる空間作りという意匠では86やロードスターよりも趣があります。発進時のトルクはなんといってもHVですから、ガソリンNAの86やロードスターに遅れをとることはありません。ハンドリング自体はHVのハンデを感じさせないほどにとてもナチュラルで、ホンダのコンパクトカーに有りがちな、「戻り」の悪さなども無いです。そもそも中型車でないので、ハンドルを開放してゆったりと運転するクルマでもないですけど・・・。そしてブレーキは86よりもよく効いてます。車重が100kg軽いというだけではない、マツダ・三菱・ホンダの高性能車に共通する安心感のあるフィールです。
ロードスター、86、CR-Zのどれにしても、走りにこだわるユーザーならば、黙ってMTを選ぶと思いますが、やたらと多方面から評判がいいマツダ内製MTに負けないくらいにホンダ内製MTも操作フィールがなめらかで好感触です。86のものはちょっとクセが強い(と感じる)スバル製MTで、ハンドルもかなり重めなので女性やMTに慣れない人がシフト操作するのはちょっと大変かもしれないですね(この辺もラリースト社長のこだわりか?)。
一方で2ペダルの限定オーナーの選択としては、マツダ・トヨタの採用するATか、ホンダのCVTの比較になるのですが、CR-Zが採用している「パドル付きCVT」は、CVT特有の踏み応えの無さを、ホンダが知恵を絞ったアプローチで「コントロール不能」の難物をスポーティといえる水準まで仕上げていて、同じくCVTを使うスバルよりも現時点では上手くやってくれています。とりあえずCVTの特性で0~40km/hくらいまでの実用域ではATよりも加速がいいです。トルクの細いガソリンNAとステップATの組み合わせは、やはり立ち上がりのダルさが最大の急所で、1200kgを超える86だと無視できない緩さが実際にあります。AWD車を主体とするため車重が嵩むスバルがATを使わない一因はこの辺にあるようです。
個人的には2ペダルを買うならば、86やロードスターよりもCR-Zを推したいです。さらにCVTのCR-Zにはモーターチャージャーボタンが付いていて、バッテリー残量に応じて3LガソリンNA車に匹敵する加速が一定時間の間持続します。この機能も無意識の内に古典的なものを愛するスポーツカー好きからは「邪道」のレッテルが即座に貼られたようですが、これがなかなか使い勝手がよかったりします。たとえば国道1号「箱根新道」を小田原から登る際に、前を行く大型トラックが登坂車線に入った時にスイッチオンして、後続の「輩(やから)」な高性能車をブッチ切るなんてことも可能です(その後エンドレスな追撃戦になるかもしれませんが・・・)。まだ試したことはないですが、1.5Lにダウンサイジングしたロードスターは中速域からの加速や高い負荷がかかる状況での加速には、1000kg未満とはいえちょっと神経を使うようです。
最大の懸案なのが、フィットの足回りをそのまま使ったために後輪サスがトーションビームになっている点です。しかしこれもアウディTTのようにマルチリンクでガッチリと安定した乗り味を作ることが、必ずしもスポーティな乗り味には貢献しない部分もあります。確かに箱根の芦ノ湖大観から熱海へ下る中速コーナーのワインディングをトーションビーム車でいくと、カルフォルニアにあるラグナセカ(サーキット)のコークスクリューを彷彿させる「3Dコーナー」では接地感が急激に失われて血の気が失せる瞬間もあるでしょうが、それも込みで楽しむのが208GTiやポロGTI、RCZといった「トーションビームスポーツ」の醍醐味とも言えます。
トヨタ86もマツダロードスターも幾度となく所有が頭を過るくらいに素晴らしいクルマですが、スポーツカーに対する古典的な価値観や、高級セダンに向けられるべき判断基準をすべて取っ払って考えたときに、スポーツカー的なホイールベースを持ち、スマートにパワーの出し入れが出来て、車重もHVを感じさせない水準まで抑えられているCR-Zの魅力も非常に光ります。このクルマがもっと注目されればいいなと思います。
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日本車の良さをなかなか報じてくれないメディアにいらいらしてます・・・。これからも日本メーカーに素晴らしいクルマを作ってもらいたいので、率直な想いを発信してます。
2015年8月26日水曜日
2015年8月16日日曜日
マツダは新型エンジンでいよいよ「プレミアム」宣言か?
マツダの国内販売台数が4ヶ月連続!ウハウハの前年比50%越えだそうです!!!前年といえば増税直後ですからまあそれほど驚く結果でもないわけですし、デミオ、CX3、ロードスターの3台が追加されたわけですから、これくらい売れてくれないと困るというのが本音かもしれません。とりあえず国内の他のブランドは微増・微減の範囲に収まっていてハッキリと苦戦モードなので、今や完全にマツダの一人勝ちと言っていい状況になっています。
そんな絶好調のマツダが早くも次の一手を仕掛けてくるようで、すでに市販時期がほぼ確定しているコンセプトモデル「越(こえる)」を9月のフランクフルトMSで公開するようです。現時点で解っていることは、このクルマはアテンザベースのクロスオーバーモデルだということだけです。・・・簡単に言ってしまえば、ここ数年で北米で最も好調だったスバルの屋台骨である「レガシィ・アウトバック」のコンセプトをそのまま頂戴したものです。
そんな二番煎じの高級ファミリーカーがそう簡単に売れるか?という懸念ももちろんありますが、しかしマツダにはスバルがなかなか日本に投入しようとしない無い「アレ」があります(フラットディーゼルはいつになったらやってくる?)! 既にどこが一番に作るのか期待して待っている人も多いようですが、いよいよ「3列シート&クリーンディーゼル」を装備した次世代ファミリーカーがマツダから登場するみたいです!形式上ですがまさかの一番乗りはBMWとなったわけですが、あれはダメですね・・・なんだ!?あのやる気の無いキャプテンシートは!日本メーカーが切磋琢磨して育んだ「3列シート文化」をバカにしてんのか?
マツダの新たなる野望が一体どのくらいのスケールなのかはまだまだ伺いしれませんが、日本市場における「ミニバン/ピープルムーバー」といったジャンルで台頭するにはやはり価格が大きなポイントになりそうです。果たしてブランド最大級のボディにディーゼルエンジンを奢って、乗り出し300万円以下に収めることができるのか?アルファードよりも高い価格設定で売るとなると、それなりの(相当の)覚悟が必要だと思います。マツダが持てるシート設計技術の全てを動員し、活躍が目覚ましいインテリアデザイナー陣がさらなる期待以上の仕事をしたとしても、「アル/ヴェル」が既に築きあげているシェアを奪うのは非常に難しいでしょう。MSアクセラでシビックtypeRを凌駕するよりもずっと大変なことだと思います。まあ何を仕掛けてくるのか楽しみではありますが・・・。
さてマツダはディーゼル以外にも北米向けに用意された2.5Lガソリンターボがすでに完成しているそうで、今後は複数の車種に追加設定されるみたいなことをマツダの人が言っていました。基本的には重量車向けにはトルク重視の240ps程度に抑えたものを用い、MSアクセラのようなスポーティなモデルには、高回転型の300ps近いハイチューンという作り分けも可能だそうです(・・・そんなことは今となってはどこのメーカーでもやってることではありますけど)。それにしてもディーゼルがあるのになんでガソリンターボで低速トルク重視しなきゃいけないのかな?北米でもさっさとディーゼル売ればいいじゃん!という気もします。・・・・ということは最初からスポーティ路線を完全に視野に入れたガソリンターボ開発が進んでいるのでしょう!と思いたいです。やはりMSアクセラは出る?
さてMSアクセラやMSアテンザのライバルとなるクルマの現状を見てみると、ドイツ勢もスバルもレクサスも4気筒は「2L」ターボで決まり!みたいな横並び状態です。先行報道の通り300ps前後を発揮する高性能車部門に参入するとしたら、マツダだけがやや異彩を放つ2.5Lターボにしているところが興味深いです。この500ccの余裕が「マツダらしいガソリンターボ」の味わいを見事に演出してくれるのではないか?・・・なんてやや強引な想像(期待)を膨らましています。
現行のスバルWRX S4、BMW328i(今度は330i)、VWゴルフGTIといったクルマはいずれも2Lターボを使っていて、出力200~300psとやや幅があるものの、各メーカーがクルマの性格に合わせたチューンをしています。しばしばこれらのクルマが語られるときに、多くの自動車評論家は、「このエンジンは3L6気筒の自然吸気と同等の性能だ!」なんて調子の良い事を書いていますが、この表現にはいつもいつも違和感を感じてしまいます。実際に乗ってみると2Lターボのいずれのモデルも高回転域が使えない(限定的)ですし、ミッションもちょっとエンジン音が変わったなと思ったらすぐにシフトアップしてしまうので、アクセルフィールが妙な抜ける感じが連続的に訪れます。底打ち感なのか不安定な出力感なのかやや判断が付きにくいですが、要するに「いっぱいいっぱい」です。
もちろん3車ともにマニュアルモードがありますから、2速に固定して引っ張ることもできるのですが、5000rpm頃にはトルクが萎んで、今度はパワーの頭打ち感をハッキリと感じてしまいます。やはり2000cc前後という排気量は市販車用の過給器(ターボ)を使った程度では高性能車向けとしてはあくまで「最低限」でしかありません。直噴、ロングストローク&ターボ化で瞬間最大風速としての高スペックこそ実現しているように錯覚しますが、それは決して高級車らしい「余裕」のエンジンフィールではないので、結果としてクルマの格からすれば、エンジンのマナーは悪いですし、なんだか余裕が無い「安っぽい」エンジンになってしまっています。
実際この3車で比べると、出力こそ最も低いですが、車重が軽いゴルフGTIが一番生き生きとしていてクルマのバランスという意味では最も好感が持てます。ゴルフGTIのボディサイズは今やマツダ車においてはデミオやCX3に最も近いものであり、それよりもハッキリと大きいアクセラ以上の車格のクルマに新たにターボを導入しようとしているマツダとしては、ゴルフGTIよりも「シケた」走りをするMSアクセラやMSアテンザを作って墓穴を掘るようなことは絶対に避けたいはずです。そして「マツダらしい走り」を保ちつつ、ライバルメーカーのハイパワーモデルに無理なく対抗できるスペック・・・という要求から導き出された結論が「2.5Lの直4ガソリンターボ」だと思います。
マツダの好調を支えているディーゼルターボに対して、販売面ではこの新型ガソリンターボには何ら大きな期待はしていないと思います。よって2Lか?2.5Lか?の選択でモード燃費をいくらか改善することは全くもって重要ではなく、あくまでディーゼルターボのフィールが受け入れられない!というユーザーに向けた、レスポンスや噴け上がりに優れたパワーユニットになるはずです。
さらにターボ化されるとなると、ノッキング対策としてハイオク化はほぼ避けられないでしょう。しかし日本では発売されていないハイオク仕様のスカイアクティブGは、レギュラー仕様とは全く違う「センセーショナル」なエンジンなんだそうです(私ももちろん未体験です!)。無過給でも爆発的なトルクとキレを見せる高性能なエンジンをベースに、さらに過給器追加によって幅広いレンジで楽しめるスポーティなユニットへと仕上げることで、マツダのブランド価値をさらに押し上げることが最大の目的だと想像できます。
かつての盟友フォードにはマスタングも使い始めた2.3Lガソリンターボがあります。300psオーバーまでパフォーマンスを追求したツインターボなので、燃費に関してはさっぱり稼げていないようで、V8モデルのマスタングとあまり変わらず高速でも10km/Lに乗せるのがやっとのくらいだそうです・・・。燃焼効率を高めたスカイアクティブをベースにしているとはいえ、このマツダの新型2.5Lターボもまた、フォードの2.3Lと同じく世界的に見てもやや珍しいポジションのユニットで、もはや「ダウンサイジング」エンジンとは言えないかもしれません。
排気量だけで比較すると、アウディにもTT-RS(本体915万円!)に使われる直5の2.5Lツインターボ(360ps)というVWの旧世代になる直5を直噴化して高出力に耐える素材に変更した横置き用の「マニアック」な特別チューンエンジンがあります。フォードの2.3Lターボもアウディの2.5Lターボも開発時には「あるエンジン」に対抗するために、かなり技術的に無理をして出力を上げた仕様になっているそうですが、どちらも「最大トルク450Nm/最大出力250kw」(トルク45kg・m 馬力330psくらい!)程度を視野に入れていたそうです(フォードは未達成)。つまりBMWの象徴ともいえるあの「直6ターボ」を仮想ライバルとしているそうです。
なんとなくマツダが狙っているものが見えてきたような気がします。ひと昔前に日産が新型の自然吸気V6エンジンで、BMWの直6を叩き潰すことに成功し、インフィニティ・ブランドを大きく打ち上げました。アウディが、マスタングが、そしてマツダが、グローバルに展開するプレミアムブランド(プレミアムカー)としてさらに羽ばたくためには、スカイライン(インフィニティG/Q50)が歩んでいった「通過儀礼(BMと直6に負けないエンジンを作る)」がやはり必要なのだと思います。MSアクセラやMSアテンザももちろん楽しみですが、マツダが作る「TT対抗車」なんてのもちょっと見てみたいですね!
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そんな絶好調のマツダが早くも次の一手を仕掛けてくるようで、すでに市販時期がほぼ確定しているコンセプトモデル「越(こえる)」を9月のフランクフルトMSで公開するようです。現時点で解っていることは、このクルマはアテンザベースのクロスオーバーモデルだということだけです。・・・簡単に言ってしまえば、ここ数年で北米で最も好調だったスバルの屋台骨である「レガシィ・アウトバック」のコンセプトをそのまま頂戴したものです。
そんな二番煎じの高級ファミリーカーがそう簡単に売れるか?という懸念ももちろんありますが、しかしマツダにはスバルがなかなか日本に投入しようとしない無い「アレ」があります(フラットディーゼルはいつになったらやってくる?)! 既にどこが一番に作るのか期待して待っている人も多いようですが、いよいよ「3列シート&クリーンディーゼル」を装備した次世代ファミリーカーがマツダから登場するみたいです!形式上ですがまさかの一番乗りはBMWとなったわけですが、あれはダメですね・・・なんだ!?あのやる気の無いキャプテンシートは!日本メーカーが切磋琢磨して育んだ「3列シート文化」をバカにしてんのか?
マツダの新たなる野望が一体どのくらいのスケールなのかはまだまだ伺いしれませんが、日本市場における「ミニバン/ピープルムーバー」といったジャンルで台頭するにはやはり価格が大きなポイントになりそうです。果たしてブランド最大級のボディにディーゼルエンジンを奢って、乗り出し300万円以下に収めることができるのか?アルファードよりも高い価格設定で売るとなると、それなりの(相当の)覚悟が必要だと思います。マツダが持てるシート設計技術の全てを動員し、活躍が目覚ましいインテリアデザイナー陣がさらなる期待以上の仕事をしたとしても、「アル/ヴェル」が既に築きあげているシェアを奪うのは非常に難しいでしょう。MSアクセラでシビックtypeRを凌駕するよりもずっと大変なことだと思います。まあ何を仕掛けてくるのか楽しみではありますが・・・。
さてマツダはディーゼル以外にも北米向けに用意された2.5Lガソリンターボがすでに完成しているそうで、今後は複数の車種に追加設定されるみたいなことをマツダの人が言っていました。基本的には重量車向けにはトルク重視の240ps程度に抑えたものを用い、MSアクセラのようなスポーティなモデルには、高回転型の300ps近いハイチューンという作り分けも可能だそうです(・・・そんなことは今となってはどこのメーカーでもやってることではありますけど)。それにしてもディーゼルがあるのになんでガソリンターボで低速トルク重視しなきゃいけないのかな?北米でもさっさとディーゼル売ればいいじゃん!という気もします。・・・・ということは最初からスポーティ路線を完全に視野に入れたガソリンターボ開発が進んでいるのでしょう!と思いたいです。やはりMSアクセラは出る?
さてMSアクセラやMSアテンザのライバルとなるクルマの現状を見てみると、ドイツ勢もスバルもレクサスも4気筒は「2L」ターボで決まり!みたいな横並び状態です。先行報道の通り300ps前後を発揮する高性能車部門に参入するとしたら、マツダだけがやや異彩を放つ2.5Lターボにしているところが興味深いです。この500ccの余裕が「マツダらしいガソリンターボ」の味わいを見事に演出してくれるのではないか?・・・なんてやや強引な想像(期待)を膨らましています。
現行のスバルWRX S4、BMW328i(今度は330i)、VWゴルフGTIといったクルマはいずれも2Lターボを使っていて、出力200~300psとやや幅があるものの、各メーカーがクルマの性格に合わせたチューンをしています。しばしばこれらのクルマが語られるときに、多くの自動車評論家は、「このエンジンは3L6気筒の自然吸気と同等の性能だ!」なんて調子の良い事を書いていますが、この表現にはいつもいつも違和感を感じてしまいます。実際に乗ってみると2Lターボのいずれのモデルも高回転域が使えない(限定的)ですし、ミッションもちょっとエンジン音が変わったなと思ったらすぐにシフトアップしてしまうので、アクセルフィールが妙な抜ける感じが連続的に訪れます。底打ち感なのか不安定な出力感なのかやや判断が付きにくいですが、要するに「いっぱいいっぱい」です。
もちろん3車ともにマニュアルモードがありますから、2速に固定して引っ張ることもできるのですが、5000rpm頃にはトルクが萎んで、今度はパワーの頭打ち感をハッキリと感じてしまいます。やはり2000cc前後という排気量は市販車用の過給器(ターボ)を使った程度では高性能車向けとしてはあくまで「最低限」でしかありません。直噴、ロングストローク&ターボ化で瞬間最大風速としての高スペックこそ実現しているように錯覚しますが、それは決して高級車らしい「余裕」のエンジンフィールではないので、結果としてクルマの格からすれば、エンジンのマナーは悪いですし、なんだか余裕が無い「安っぽい」エンジンになってしまっています。
実際この3車で比べると、出力こそ最も低いですが、車重が軽いゴルフGTIが一番生き生きとしていてクルマのバランスという意味では最も好感が持てます。ゴルフGTIのボディサイズは今やマツダ車においてはデミオやCX3に最も近いものであり、それよりもハッキリと大きいアクセラ以上の車格のクルマに新たにターボを導入しようとしているマツダとしては、ゴルフGTIよりも「シケた」走りをするMSアクセラやMSアテンザを作って墓穴を掘るようなことは絶対に避けたいはずです。そして「マツダらしい走り」を保ちつつ、ライバルメーカーのハイパワーモデルに無理なく対抗できるスペック・・・という要求から導き出された結論が「2.5Lの直4ガソリンターボ」だと思います。
マツダの好調を支えているディーゼルターボに対して、販売面ではこの新型ガソリンターボには何ら大きな期待はしていないと思います。よって2Lか?2.5Lか?の選択でモード燃費をいくらか改善することは全くもって重要ではなく、あくまでディーゼルターボのフィールが受け入れられない!というユーザーに向けた、レスポンスや噴け上がりに優れたパワーユニットになるはずです。
さらにターボ化されるとなると、ノッキング対策としてハイオク化はほぼ避けられないでしょう。しかし日本では発売されていないハイオク仕様のスカイアクティブGは、レギュラー仕様とは全く違う「センセーショナル」なエンジンなんだそうです(私ももちろん未体験です!)。無過給でも爆発的なトルクとキレを見せる高性能なエンジンをベースに、さらに過給器追加によって幅広いレンジで楽しめるスポーティなユニットへと仕上げることで、マツダのブランド価値をさらに押し上げることが最大の目的だと想像できます。
かつての盟友フォードにはマスタングも使い始めた2.3Lガソリンターボがあります。300psオーバーまでパフォーマンスを追求したツインターボなので、燃費に関してはさっぱり稼げていないようで、V8モデルのマスタングとあまり変わらず高速でも10km/Lに乗せるのがやっとのくらいだそうです・・・。燃焼効率を高めたスカイアクティブをベースにしているとはいえ、このマツダの新型2.5Lターボもまた、フォードの2.3Lと同じく世界的に見てもやや珍しいポジションのユニットで、もはや「ダウンサイジング」エンジンとは言えないかもしれません。
排気量だけで比較すると、アウディにもTT-RS(本体915万円!)に使われる直5の2.5Lツインターボ(360ps)というVWの旧世代になる直5を直噴化して高出力に耐える素材に変更した横置き用の「マニアック」な特別チューンエンジンがあります。フォードの2.3Lターボもアウディの2.5Lターボも開発時には「あるエンジン」に対抗するために、かなり技術的に無理をして出力を上げた仕様になっているそうですが、どちらも「最大トルク450Nm/最大出力250kw」(トルク45kg・m 馬力330psくらい!)程度を視野に入れていたそうです(フォードは未達成)。つまりBMWの象徴ともいえるあの「直6ターボ」を仮想ライバルとしているそうです。
なんとなくマツダが狙っているものが見えてきたような気がします。ひと昔前に日産が新型の自然吸気V6エンジンで、BMWの直6を叩き潰すことに成功し、インフィニティ・ブランドを大きく打ち上げました。アウディが、マスタングが、そしてマツダが、グローバルに展開するプレミアムブランド(プレミアムカー)としてさらに羽ばたくためには、スカイライン(インフィニティG/Q50)が歩んでいった「通過儀礼(BMと直6に負けないエンジンを作る)」がやはり必要なのだと思います。MSアクセラやMSアテンザももちろん楽しみですが、マツダが作る「TT対抗車」なんてのもちょっと見てみたいですね!
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