2016年12月26日月曜日

マツダとスバルとメルセデス 月販5000〜10000台の攻防。

  この前もどっかの雑誌で「二大国産ブランド」とか称されていて、「ものづくり復活」を掲げる日本の第二次産業の精神的支柱になっているマツダとスバル。この2〜3年の間で何度となくこの2ブランドの比較が巻頭特集となっているのをしばしば見かけますし、話題の乏しいカーメディアにとっては、もっとも集客力がある重要なコンテンツへと成長したようです。

  「トヨタと日産」「メルセデスとBMW」といったこれまでの定番のメーカー(ブランド)構図と比べても、それ以上にさまざまな歴史と伝説を作ってきた両メーカーですから、書くネタは結構いっぱいありまして、僭越ながらも私の「マツダ・アテンザ」というブログも4年余りで300記事以上も書きましたが、まだまだ触れていないマツダの魅力がたっぷり残されているなと思う次第であります。マツダもスバルがこれまで成し遂げてきた偉業の中でも超有名なものを列挙するだけでもアレコレと多岐にわたりますし雑誌1回の特集で全てを網羅なんて到底に無理ですし、書く方も読む方も大変です。

  どちらも「ルマン24時間」と「WRC」という欧州が本場の完全アウェーなレースで地元勢を相手に「歴史的勝利」を掴んだことが素晴らしいですね。ディープインパクトやオルフェーブルでも勝てない凱旋門賞で日本馬が勝つみたいなものです。いくら日産時代の水野さん率いるチームがレースで異次元に強かったといっても、それはあくまで日本のレースでの話じゃないですかー。欧州に挑んでそこで認められるってのは。立派だなーと思うわけです(水野さんのP10とスカGは欧州人気がとにかくスゴかったらしいけどさー)。

  今のところトヨタが圧倒的優勢な日本市場ですが、2016年はホンダ&日産の見事な復活劇が見られました。「ジェイドがコケた!!」と手を打って笑うライター(K沢氏)もいますけども、ヴェゼルの大ヒットに続いて、オデッセイHVとアコードHVに使われる上級ユニットの完成度が高く、見事に登録車だけで月30000台を突破。一時は壊滅的だった3ナンバーの販売も月10000台を大きく越えてきました。さらに下半期に爆発したのが日産でセレナ・プロパイロットに続いてノートe-POWERの投入でトヨタ車が独占していたランキング上位ベスト5に食い込んでいます(11月は1位を奪う!!)。

  カーメディアでは「お先真っ暗」とまで言われていたホンダや日産が見事なV字回復。それに対してマツダやスバルは好調過ぎた前年比では苦戦が続いていて昨年比2ケタ減が続いています。なんじゃこりゃ!?カーメディアから全方向的な讃辞の嵐(高級感だけはイマイチ?)なのに、失速し始めた日本販売の低迷は止まらず年末を迎えてしまいました。このまま不調が2〜3年続けば日本市場から揃ってフェードアウトなんてことも・・・。カーメディアがなり振り構わずにベタ褒めしたために不必要にハードルが上がってしまって、その結果ユーザーがディーラーで試乗した時の印象がイマイチ盛り上がらなかったりするのかも。

  なんでもかんでもメディアのせいにするな!!と言われそうですけども、マツダやスバルの「どこが」素晴らしいのか?それを「的確」と言えるレベルで表現できているレビューなんてほとんど見た事ないです。いやライターの力量の有無とかの話ではなくて、以前と比べてマツダもスバルも神経質なまでに「弱点を潰す」クルマ作りをしていることもあって、ちょっと乗ったくらいではそれほど「強烈」な印象は残せなくなっているようですね。いくらプロのライターといえどもここまで個性が薄れたらもうお手上げだと思います。

  期待して乗ってみるも実際の印象は「あれ?」といった感じ、けれども様々な項目のパラメータ値は概ね高いので総評として好評価を付けているんでしょうね(だから伝わらない)。スバルもマツダもメルセデスやトヨタとのキャラの違いを的確に掴むのは難しくなっているのは確かだと思います。スカイアクティブ以前のマツダならトヨタとの違いはハッキリしていて、誰が乗っても全く別のクルマだったんですよね〜・・・ディーゼルエンジンなんて無くても全く別のクルマでした。

  マツダ・スバルは何が変わったのか?もちろん確信なんてないですけども、マツダに関してはブレーキの効かせ方にメチャクチャ神経使うようになってますね。ガソリンとディーゼルではブレーキの特性がハッキリ違う設定になってます車重の違いもあるけど。2012年より前のマツダ車はブレーキ技術(違和感なく停める)をマスターするのにやや時間掛かりました。トヨタ車なら適当に踏んでも「効き過ぎ」ってことはなかったですけど、マツダはドライバーにブレーキを勉強させようとしていたようです(ポルシェ的)。

  誤解を恐れずに言ってしまえば、スカイアクティブになってからマツダは「ポルシェ的なブレーキがBMW的になった!!」。それくらいにハッキリと変わっていますが、これをカーメディアでプロのライターが同じように表現したならば、ちょっと物議を醸すでしょうね。マツダの例えにポルシェだのBMWだの使うな!!ってことです(私のブログにもたまに脅迫が来ます)。マツダの進化に関しては味が落ちるという意見もあれば、乗り易くなったという意見もあるでしょう。そこをアクセルのオルガンペダル化で良い評価に持っていってますね(たしかに足が吊ったりはしなくなったけど)。

  マツダやスバルの販売台数減は、多くの人は車両価格の上昇が原因だと指摘しています。多少減少していても日本市場単体で「利益2ケタ」が現実的な目標になっているのでそれほど株価を心配する必要もなさそうです。すでにマツダ12万台もスバル9万台だとするとグローバル販売での日本比率はほぼ10%程度です。日本ではこの5年余りでほぼ横ばいなのに対して、グローバルでは50~70%程度の増加になっているようです。この数字はメルセデスやBMWにもそのまま当てはまりそうです。日本販売比率はそれぞれメルセデス、BMWともに5〜7%前後で推移しています。

  マツダもスバルも値上げしていてもそれに見合った付加価値を打ち出してはいます。インプレッサの価格はVWゴルフとほぼ同等。アテンザの最上級グレードは400万円を越えていよいよBMW3erと価格が被ってきました(3erが安くなっている!!)。多くのユーザーはまだまだ「日本車なんだからドイツ車より3〜5割は安いもんだろ!!」って思っている中でこの価格設定は、当然に軋轢を生むでしょう。

  「いままで頑張ってきたから自分へのご褒美でメルセデスだ!!」ていう50歳代の男性もいれば、30歳代の女性もいます(知り合いに・・・)。「そんな市場で勝負する準備がマツダやスバルには出来ているだろうか?」なんて考えながら、インプレッサに乗ってみるといろいろな発見があるんじゃないですかね。マツダの新しいCX5にも早く乗ってみたいですね。どれだけマツダの味が「消されて」しまっているのか!?もうこれはマツダではない!!と言わせる仕事ぶりも積極的に評価してみたいと思います。ただし新しい基準はメルセデス&レクサスですが・・・。


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2016年12月20日火曜日

日本のFRスポーティセダンは滅びる運命なのかなー

  いつも見ている英国の自動車サイトの記事で、どうしても簡単にはスルーできないくらいの「魅力」を放っていた「独英伊のFRスポーティセダンの格付けレビュー」。あー!!なんでここに日本車が入っていないんだ!!残念過ぎる!!とりあえず日本で該当しそうなモデルは現行ではマークXだけですけど、イギリスではもちろん売っていないからそもそも入る訳がない・・・。FRセダンを手掛けるのは日本ではトヨタ(レクサス)と日産だけですし、現状ではトヨタは欧州軽視の姿勢、日産もルノーの商売を邪魔出来ないので勝手なマーケティングが制限されているらしく、おそらく世界中のクルマ好きが見るであろうこの魅力的なレビューに、日本の参戦車両が無いなんて・・・。

  エントリーの3台はすべてディーゼルエンジン。仮にマークXにトヨタがエンジン供給を受ける提携をしたマツダのエンジンを縦置きで積めば、回転数で圧倒しているわけですからあっさり勝てそうな気がしますけどね・・・。マツダの作るFF車だとトルクステアが発生して危ないのでディーゼルターボのトルクフルな魅力を十分に享受出来ないですけど、これがFRだったら!!!これがディーゼル車ですかい!?ってくらいにディーゼル&FRセダンの新たな時代がやってくるような、経済的かつ動力パフォーマンスに優れたマシンが作れると思うんですけどね。

  世界最良のFRミッションを持つトヨタと世界最良のディーゼルエンジンを持つマツダ。そのどちらにも全く歯が立たない程度に過ぎない縦置きミッションとディーゼルを積んだ欧州の3車ですが、なんだかんだいっても欧州市場では人気を集めてますし、北米でも中国でもそしてもちろん日本市場でも注目されています!!これは完全に日本勢のマーケティングのミスじゃないですか(トヨタ&日産)!?欧州の3台とはもうお分かりかもしれないですが・・・相変わらずの人気を誇るBMW3erと、北米で一気に階段を駆け上がったジャガーXE、これから北米へブランド再上陸を果たすアルファロメオジュリアです。

  Dセグのプレミアムサルーンを迎え撃つ日本勢といえばレクサスISとスカイラインなんですけども、もうどちらもかつてのアルテッツァやスカイライン(34型以前)のようなスポーティさ溢れるモデルからは完全に方向性が変わってしまっています。どちらも総合力は間違いなく高いですけども、あまりに全方向過ぎて、欧州車のようなスポーティという「役割」に重きを置いてシンプルに使い方が浮かんでくるクルマではなくなっています。やたらと押し付けがましい「高級感」だったり、「HV」という日本市場における常識によって1700kg台の車重が当たり前になっています。もはやどちらも「アルテッツァ」というよりは「プログレ/ブレビス」みたいな性格のクルマです(ユーザー層も!!)。

  レクサスISとスカイラインは・・・ものスゴく良いクルマなんですけども、そういうクルマは案外売れない!!と揶揄されてしまう「ゾーン」にスッポリ陥ってしまいました。HVで売ることを前提とした設計にあとから2Lターボを追加したために、エンジンの軽さを生かした身のこなしが意外に苦手で、ごくごく平凡な320iの方がクルマを振り回して走らせている感覚が得やすいですし、ワインディングでややシビアなライン・トレースでもすれば車両感覚を掴むのも320iの方が断然に解り易いです。日本人は運転が下手だからそういう趣向は要らないとバッサリ切り捨てた!!というわけではないでしょうが、結果的にその乗り味はまるで、ボデーが縮こまったクラウン!!そんな抑揚の無い走りを無意識の内にしちゃいます。これでは全くスポーティではないだろー。

  トヨタ&日産の見解は「そんなに振り回したかったら86かZに乗りなさい!!(日本人は運転が下手なんだから!!)」ってことなんだと思います。BMW、ジャガー、アルファロメオにはそういった選択肢がブランド内には無いですからねー。そして実際にクルマが好きな日本の若者は86やZに行くわけですが、わざわざ販売台数が少ないスポーツカーをちょい割高な価格で購入し、軽い車体にもかかわらず決して経済性が良いともいえないパワーユニット。さらにいうと86もZも単一エンジンなので、FRにしてはやや非力な86と、公道ではとても使い切れないZ。いろいろ冷静に考えてしまうとなかなか手が出ないクルマに・・・結局MINIやMAZDAの方が楽しいなーっていう。パワー無いならFFでしょ。出足良いし。

  BMW3er、ジャガーXEに続いてアルファジュリアも、細かく「叩けば」ホコリがたくさん出て来るタイプのクルマだと思います。トヨタのFRミッションに比べればあらゆる意味で勝手が違う「ZF8HP」。MTの本場欧州メーカーならば出足の悪さは何も問題にされないかもしれないですが、このクラスの日本車では絶対にありえないギクシャク感があります。特にその辺りのフィールを大事にしている日産やMAZDAから見れば、乗り味の上質さには雲泥の差があります。それでも多くの世界市場で、ブランド力を使ってゴリ押ししていくには十分のスペックなのだと思います。

  これから新興国で拡大するとされるプレミアムカー市場。ややロースペック気味に作られている欧州3車と、HVありきでムダにハイスペックな日本の2車はどちらが「拡販」のポテンシャルが高いか?「日本市場ならHV」のはずが、ISとスカイラインを合わせても3erの1車種を越えられないのが実情です。クルマは素晴らしい。けれども負けは負け。オッサン向けに作った日本勢がオッサンしかいない日本のセダン市場で負ける・・・。これはもう屈辱以外の何者でもないですね。メルセデスとガッチリ提携している日産には、今後もうこれ以上は望めないかもしれません(メルセデスはスポーティに興味がないから)。

  トヨタはただちにマツダと提携してFRの共通プラットフォームを共同開発して「マークX&アテンザ」で英国メディアに訴求しましょう!!トヨタ自慢の縦置きミッションとマツダのディーゼルが協調すれば!!トヨタの社長が望んだように、「86」に続いて「楽しいクルマ」として欧州の「本丸」に楔を打ち込むことができるんじゃないですか? レクサスとは違うベクトルを持つFRシャシーがあってもいいんじゃない?トヨタの取り巻きの評論家が内輪で「シャシー性能」の高さをやたらともて囃していますけども、一般ユーザーにはその魅力全く伝わってないですよ!!失礼ですがIS350Fスポなんて、クルマは重いし、エンジンは(それほど)回らないし。何に750万円も払ってんだろーって気分になります。

  メルセデスとアウディとレクサス、それにキャデラックが加わって「ザ・プレミアム・サルーン対決」という機運もわからなくはないですが、みんなまとめてテスラに負かされる!?のがオチですよ・・・きっと。本物の金持ちが一番たくさんいるアメリカで、本物の金持ちが投資して作っているテスラには、貧乏なドイツ&日本と旧態な米国メーカーじゃ勝てないと思います!!30年後のラグジュアリーサルーンの形態に最も近いところにいるのは、やっぱりテスラなんじゃないかと・・・。

  その反面で、自動運転なんてクソだ!!と主張できるクルマならまだまだ数十年は生き残るんじゃないかと思います。それがスポーツカーであれ、スポーティセダンであれ・・・。



  

2016年12月13日火曜日

ホンダ・日本最強の「突破力」は健在か? シビック日本導入。

  ホンダというメーカーをナメている輩が多いようですね・・・とても嘆かわしいことです。特に自動車ライターのプロを名乗る連中に多いみたいです。K沢氏は「売れないってわかってるのにシビックを持ってくるホンダwww」みたいなこと書いてましたけどさ、この人は未来を透視できる全知全能の神なのかい?(なんでそんな確信めいたこと言える?)最近はト◯タに召し抱えられたようでC-◯Rのプロモーションを率先して行ってますけど、あのクルマこそ商業主義の権化にしか見えない。売れればなんでもいい!!個性の欠片も感じられない残念過ぎるクルマに見えます。

  ト◯タ自らもそれを自覚しているようで、一生懸命に「スポーティ」なパウダーを振り掛けてますけども、わざわざ車高を下げたプ◯ウスを越えるようなスポーティさにはならないはず。およそト◯タの考えてることを想像するとプ◯ウスでは低過ぎるというオッサンからカネをボッタくるために作ったクルマです。「BMWよりスポーティに走る」だって?そもそもBMWの大部分は全くスポーティでは無いですからね・・・。

  しかもプロモーションを依頼した相手がK沢さんですか!!!これはもう完全に仕組まれてますね。K沢氏が出てくるクルマなんて過去を見てもロクなもんじゃないです。コイツのうっとおしいところはレビューを1つ書くたびにどっかのクルマを蔑んで説得力を持たせようとするところ。頭の中には架空のクルマがいくつもストックしてあって、「日本車の上級セダンで後席の真ん中のヘッドレストが無くて、CVTが全く興ざめで、エンジン音がガンガン室内に入ってきて、排気音も不快に響く」みたいな・・・それ何?ってクルマが登場します。今回も「ホンダの首脳陣は能無し」という架空の設定で話が進んでましたよ・・・。

  とはいえK沢氏が言うようにシビックの日本導入はイバラの道なのも事実です。北米仕様の立派なサイズは、もはや5ナンバー時代のシビックとは全く別もの。全長×全幅はほぼメルセデスCクラスやBMW3erと同等です。アコード欲しいけどちょっと大き過ぎるという人に提案するにはピッタリのクルマかもしれません。K沢さんは日産のシルフィみたいな地味な存在になる!と言いたいみたいですけど、BMWに対抗するような1.5L直3ターボや、HVもあるわけですから、日産シルフィとは意気込みが全く違いますし、Cクラスや3erよりも合理的な提案ができるクルマだと思うのですけどね・・・。

  ホンダは戦後に2輪から始まり、日本の護送船団方式の中でも孤高の進化を遂げたメーカーで、それゆえの逆境の連続でもあったようですけど、このメーカーはなぜか絶対に転ばないんですよね。日本国内ではトヨタとのHV開発競争で壊滅的な敗北を喫したイメージが強く、それ以降は国内では「二流」の印象がありますけども、それはホンダの本当の姿とはかけ離れています。

  しばしばスバルやマツダのV字回復が良く語られてますけど、スバルやマツダをも凌ぐブランドイメージを海外で確立しているホンダは、リーマンショックでも赤字にすらなりませんでした。そしてヒュンダイやVWのように中国でのバカ売れによって驚異的なペースで販売台数を伸ばすグループとは全くの別路線で、アメリカ市場で展開する全てのメーカーのお手本のような存在になっています。

  トヨタとの対立がまだまだ尾を引いているようで、国内に優秀なミッションメーカーがあるのに、ホンダはミッションの調達で苦労している印象があります。トヨタ系列のアイシンAWが世界のFF車に供給する高品質のステップAT。余計なお世話かもしれないですが、これ無しにクルマ作りを続けるのはかなりのハンデなんじゃないか?という気がします。ホンダを上回る規模のVWやPSAだってアイシンAWに落ち着きましたし・・・。

  ホンダは2ペダルに関してはDCTとCVTで全量賄う方針のようです。確かにスバルもCVTのみ(BRZを除く)ですけども、高級志向のモデルに関してはステップATが「大正義」となってきている時代の突風にひたすらに耐えてます。B○Wとか乗ってるようなクルマを知らないアホが、「CVTなんて論外」なんてステレオタイプにホザいていても、「ZFミッションの方がカスだろ!!」と逆にディスられることもない、とってもぬるい世論における「大正義」っていうも、なんだかとってもアホくさい話ですけどねー。

  ちょっと極端に今のホンダは是か?非か?について素人がいくら考えても現状では何も分りません。4輪車のホンダはいったいどこを目指しているんだ?ちょっと価格が高過ぎる不人気なクルマはありますけども、基本的なスペックは恐ろしいほどに高い!!ホンダ・クオリティってヤツですね。

  その一方でホンダが本気出せばF1でも勝てるだろう!!という楽観的な見方がここ数年で吹っ飛んだのもまた事実です。最初にF1で活躍したときのインパクトはスゴかった!!まだ小型車専門メーカーと見做されていたホンダだったからこそ、周囲はノーマークだったですけど、いまじゃ世界中がホンダの技術を注視しています。大絶賛されたS2000もいまだに後継車無しで完全にユーザーはおいてけぼり。高級車をシリーズ化して固定ファンを増やすという気もさらさらない。どうも「人生を賭けて」寄りかかるには頼りないブランドだなーってのはあります。

  ホンダには「ブランドを育てる」という意識は無いのか?おそらく無いのだと思います。奇妙なクルマが作られたと思ったらすぐに消えたり、せっかく人気になったシリーズも峠を越えたらあっさりと捨て去る。単純に他のメーカーよりいくらか破天荒なラインナップ展開をしているように見えます。シビックやオデッセイ、アコードをもっと愛される形に「まとめ上げる」こともできそうですけど、ユーザーの想像の範疇に収まっていることを「否」とするのがホンダの社訓なんでしょうね。

  新型NSXに乗って「やっぱりFRが良かった!」と案直な感想を述べる「プロ評論家」。沖縄の米軍施設建設に抵抗する「プロ市民」のように、日本の大手メーカーにことごとく立ちはだかります。FRなら作る意味ないじゃん。SHーAWDというホンダ独自の「プロ技術」を導入しているから2000万円以上の価格に見合うわけで、フェラーリのミッドシップの焼き直しなら、初代NSXくらいの価格が妥当じゃないの?ホンダを俗物として評価している限りは何も見えてこないと思いますよ。

  さて期待と不安が相当に入り交じりつつも多くの人が待望しているシビックがどうやら日本に帰ってくるようです。近年のホンダの日本のラインナップにはなかった「GTカー」要素を持つモデルです。1.5L自然吸気の6600rpmでも1.5Lターボの5500rpmでもメルセデスやBMWには無くなったキレのあるエンジンが搭載されています。北米に上陸したフォード・エコブーストもターボなのに6300rpmがピークとなっていて、今じゃホンダ、フォード、ヒュンダイが争う北米向けターボの方が欧州車よりもずっと気持ちよかったりするんです。

  シビックが導入される!!BMWと乗り比べが行われホンダのターボの優秀性が証明される!!BMWやメルセデスがホンダに負けないいいターボエンジンに取りかかる!!シビックが結果を出したら、同じ北米のターボ陣営として、日本からの撤退を決めているフォードが再び戻ってくるかも!!まあ勝手な妄想に過ぎないですけども、このクルマが日本で成功すれば日本で売られるクルマの質が数段良くなるんじゃないか?と期待してしまうモデルでもあるんですよねー。K沢氏の決めつけなんぞに負けずに思いっきりド派手にシビックを日本で売り出してほしいものです!!


2016年12月6日火曜日

インプレッサ VS アクセラ のハンドリング論争勃発。

  某有名ライターのマツダアクセラのレビューでの話。2016年の年次改良によってGベクタリング・コントロールが搭載され、エンジンのバリエーションが変わるなど大きく様変わりしたアクセラですが、どうも担当しているライターの心象はそこまで晴れない様子。メーカーの最近のニュースなどを当たり障りなく差し込んで核心に触れないままにお茶を濁した文章が続きます。なんか「らしく」ないなー。何か奥歯に詰まったような感情が伝わってこない文面。好き勝手にブログを書くのとは全然次元が違う仕事なのはなんとなく想像できますけどね。見開き2ページの隅っこに「ホンネ」がちょっと載ってます。そのまま引用すると「ライバルはインプレッサ。ハンドリングは良い勝負で、ややインプレッサが優勢か。」・・・ふーん。

  別の有名雑誌でもアクセラと新型インプレッサの比較記事があり、どうやらそちらの判定もハンドリングに関してはインプレッサに軍配が上がるようです。ただしこのレビューに使われているアクセラは2.2Lディーゼルターボを積むタイプなので、鼻先のヘビー感はかなりのハンデだとは思います。インプレッサは新型になってやはり評価が高いですね。ハンドリングの良し悪しは街中の試乗ではなかなか分らない部分もあるので、インプレッサを購入しようとしている人にとっては興味津々なところだと思いますが、アクセラを越えた!!という評価ならばハンドリングで不満はないだろうな〜・・・と思っていたら、「あの人」がインプレッサのハンドリングを敢然と批判し始めましたよ!!動画があるのでぜひご覧ください。

  動画・インプレッサ、アクセラ&ボルボV40比較

  日本の自動車産業において、もはや誰も追い越すことはできない!?くらいの実績を持っている人だけあって言う事の重みが違いますね。自信満々に言い切りますから、とても説得力があるように聞こえます。この方に言わせればハンドリングはアクセラの方がずっと良いようですね。しかしアクセラも異様に長いボンネットがかなりお気に召さない様子です。「デザイン優先の考えが間違っている」みたいなことを仰りますが、これはマツダの開発者なら即座に反論するでしょう。どうやらアクセラのボンネット長は、マツダが取り組んだ内燃機関の進化の要所ともいえる「4-2-1排気」の設計から来ているとのこと。BMWのボンネット長に関しては苦言の一つも言わないのに、この立ち振る舞いはちょっと看過できないかも。

  この方は呼ばれた講演会ではしばしば日本メーカー全般の仕事ぶりをバカにして、自分の業績を浮き立たせるみたいですが、どうやらそのテンションのままにアクセラの設計をバッサリと斬ってしまったようです。1.5Lディーゼルターボに関しては大絶賛してましたけども・・・。この方は他のマツダ車に対しても、あーだこーだとイチャモンを付けておられます。CX3とロードスター1.5Lに関しても素人にはほとんど意味不明な難癖を付けていて、クルマは素晴らしいけど、マツダの仕事ぶりは三流だと・・・そんなことってあるかー?

  もうご自身の言葉の重荷に押しつぶされてますね。この方は講演会では「人々が興味を失っているのは500万円以下の日本車だけ!!」などと堂々と発言されます。つまり500万円以上のカタログモデルが無いスバル、マツダ、スズキのクルマは全てクソ!!って公言している相当にエグいオッサンです。決して100%間違いとは思いませけども、日本車だけでなくメルセデスもBMWもラインナップの大部分のクルマに関してはみなさまとっくに興味なくなっていると思いますけどね〜。50万円でも売れない2007年製E90を見ても同じことを言いますかね? 日本メーカーほど念入りに各部を仕上げる仕事をする連中もいないと思うんですよ。それなのに縦置きミッション一つまともに自製で作れないBMWをベタ褒めされてもみんなシラケちゃいますって・・・。

  さてカーメディアは一斉にインプレッサの躍進を報じてますが、いまのところ水野和敏さんだけはアクセラ支持のようですね。まあ新型シャシー1年生のインプレッサと、Gベクタリング・コントロール1年生のアクセラですから、勝負はこれからだとは思うんですけど、双方の熟成を2~3年も待っている内に、プリウスが全てをさらっていってしまうかも。インプレッサもアクセラも国内から撤退!!なんて事態も絶対無いとは言い切れないです。気がついたらスバルもマツダもトヨタの海外部門になっていたりして・・・。

  誤解を恐れずに言ってしまうと、スバルもマツダも「日本市場はあまり重要ではない・・・」といった不遜な態度が隠しきれていないと思います。バブルを過ぎてから長らく低迷した両社ですが、海外市場の成長に乗っかる戦略で立て直しを図り、海外で成功したクルマをドヤ顔で日本に出して来る、とっても「関わりづらいメーカー」になってしまいました・・・もはや価格もVWやBMWとそれほど変わらないくらいですし。この様子だと1980年にマツダが出した5代目ファミリア(2年ちょっとで100万台を販売!!)や、1989年にスバルが出した初代レガシィツーリングワゴンのような、日本市場を根底から揺さぶるだけの影響力のあるクルマはもう出てこないかな・・・。

  現行アクセラを5代目ファミリアの生まれ変わりだと熱弁した福野礼一郎さんの想いも虚しく存在感は希薄なまま・・・。初代レガシィツーリングワゴンの強烈なインパクトの再現を狙ったレヴォーグも、上級グレードの限定モデルがチョロチョロ発売されるだけで、スバルが日本での主導権を主張するようなことは今のところは感じられません。日本国内でCセグ人気を二分するアクセラとインプレッサと捲し立てられたって、どっちも地味だしこだわりを感じる点も少ないし、何にもないからとりあえず「ハンドリング対決」で盛り上げよう!!ってカーメディアに気を使わせる始末。ガチでハンドリング対決したいならNDロードスターとBRZでいいじゃん!!

  日本に限らず全世界のメーカーもユーザーもCセグの未来なんてあまり見えてないと思います(もちろん私にもわかりません)。なんとなく欧州の人々が愛用するサイズのオールマイティな中型車で、アメリカでも「スモールカー」としてブランドの最廉価モデルに設定されることが多くなってます。Cセグを堅実な経済感覚で乗っている欧州と米国のユーザーに対して、「ハンドリング対決」などとクオリティを重視して買う日本のユーザーの間にはとてつもなく広いギャップがあるように思います。そこそこ値打ちをつけて売ろうとするメーカーと首を傾げるユーザーのギクシャクした関係・・・これでは5代目ファミリアや初代レガシィTWのようには行かないのも無理ないなーと思う次第です。