ホンダはほんの10年くらい前までは、誰もが認める万能型自動車メーカーで、ワクワクさせるクルマをたくさん作ってくれました。しかしNSX、S2000、シビックtypeRの生産が終了すると、いつしか自動車専門誌では突如として軽んじられる存在になり、フィットやヴェゼルが予想外に健闘してもカーメディアはホンダに対しては完全にシラケている様子です。ホンダはそれなりに売れてるけど、それは日本車ユーザーは一般的にセンスがないのでつまらないクルマを喜ぶからだ!・・・とでも言いたそうな「勘違いレビュー」が結構多いです。
アコードやオデッセイでクルマのコンセプトを大きく変えるようなFMCがありましたが、トヨタのカムリHVやアルファード/ヴェルファイアの成功をコピーしたようなコンセプトに対し「ドイツメーカーではありえない浅ましい商業主義」と平気で言い放つライターもいるほどで、案の定どちらも人気はイマイチでした。フィット・ヴェゼルの相次ぐリコール騒ぎに加えて、先日も国交省による自動ブレーキの格付けで国内最低レベルと評価されたりするなど、なかなかブランドイメージを好転させるきっかけが見えてきません。
確かに日本メーカーで随一の「高収益」体質であることから、コスト低減の行き過ぎが目に付いてユーザー側から難癖がつけられて仕方がない部分も確かにあります。しかしホンダの好業績は、「地産地消」をポリシーにしたストイックな現地生産主義に支えられているのであって、コスパそのものは日本市場で売られているクルマの中でもかなり高い部類に入ります。フィット、ヴェゼルといった小型車を中心に展開している姿勢がブランドイメージを多少歪める要素かもしれませんが、ユーザーが楽しく使えるクルマというホンダらしさは多くのクルマで完遂されています。それでもホンダのクルマに難癖をつけるユーザーは根本的にクルマのコンセプトが分っていないまま購入したケースが多いのではないかと思います。
現在の日本市場におけるホンダの登録車で2枚看板となっているのが、フィットとヴェゼルです。この2台のどちらが自分に合っているか? 自動車雑誌が真面目クサく書いているような、「ハッチバック」と「SUV」という四角四面な判断基準では実際のところ納得できない人も多いのではないでしょうか。フィットと同クラスにプジョー208というフランス車があります。この208のミニマムで低重心なキャビンに納得できないという、主に女性ユーザーの為に開発されたのが、プジョー2008というクロスオーバーで、208と比べてだいぶキャビンが広く、運転時の視野も高く運転し易いという明確なコンセプトがウケて本国フランスでは大ヒットしているようです。このコンセプトを最初に成功させたと言われているのが日産でジュークで、この大ヒットに対抗するためにプジョーも2008を慌てて作ったようですが・・・。
そんなライバルメーカーんの流れに乗り遅れずにホンダが作ったフィットのクロスオーバーがヴェゼルです。しかしベース車のフィットは、プジョー208のような欧州コンパクトカーとは一線を画す設計で、「高重心」「ショートノーズ」で「居住性に配慮されたキャビン」が持ち味の、MPV的なコンセプト(メルセデスBクラスなど)で世界中で存在感を示しています。ゆえにクロスオーバー化したところで、居住性にそれほど大きな変化は無いですし、乗り降りの容易さならばむしろフィットに分があるくらいです。どちらを選んでも使い勝手が良いので、どちらも良く売れているのですが、さてホンダはフィットとヴェゼルの”境目”として一体何を意図したのでしょうか?
フィットに対してあれこれ不満を言う人がたまにいます。「なぜこのクルマが売れるのか良くわからない」などと言っている人の多くは、フィットの本当の魅力が見えていないのだと思います。フィットに特に満足しているユーザーの多くは、DIYのベース車としてのなかなか理想的なシェイプを評価しています。コンパクトカーでありながら、どこか1BOX車のようなスタイルで、ミニバンのDIYテイストも使える類希な汎用性を持っていて、自分だけのオリジナルな1台を作り上げるのにとても都合がよいベース車と言えます。DIYしない人にはフィットは向かないと言うつもりはありませんが、例えば新型デミオのように細部までマツダが作り込んでしまっているクルマとは、全く違った魅力があります。そして何よりヴィッツやデミオのような車高の低いコンパクトカーよりもファミリーカーとしての適正は高いです。
このベース車フィットに対して、派生車のヴェゼルは・・・DIYの部分をホンダが代わりにやっておきましたよ!という企画なんだと思います。全面的に改めたエクステリアから、内装まで特にインパネ回りのデザインまですっかり変えてあります。グレードにもよりますが、フィットのマイルドなテイストのコクピットに納得できない層を黙らせるかのように、カーボン調のパネルやメッキパーツをふんだんに使い、まるでメルセデスかアウディを思わせる上質な色彩に仕上がっています。さらにカラーバリエーションもあってカスタマイズにも幅を持たせています。
マツダ、日産、レクサスなどはメーカーのセンスをそのままユーザーに押し付けるスタイルですが、ホンダそしてスバルは、購入時にインテリアオプションとしてパネルパーツを多数用意して「個性的」なクルマを提案する姿勢を強めているようです。プレミアムブランドとは違って、パーツの価格もかなり手頃ですし、もちろん自作の方が安く上がりますが、手間を考えるとディーラーオプションで徹底的にやってもらうのも悪くないなと思います。フィットやヴェゼルは狙い通りの大ヒットになり、今後もさらにパーツの展開がし易い状況だと思うので、ホンダにはこのスタンスをさらに徹底したものにしてほしいです。そして自動車メディアにももっとフィットやヴェゼルの美点をしっかりと理解した上でこれを広くアピールできる記事を書け!と言いたいです。
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日本車の良さをなかなか報じてくれないメディアにいらいらしてます・・・。これからも日本メーカーに素晴らしいクルマを作ってもらいたいので、率直な想いを発信してます。
2014年10月31日金曜日
2014年10月24日金曜日
日本でもレクサスRC-Fを630万円で売ってほしい・・・
レクサスが日本に上陸してまもなく10年です。ちょっと失礼な言い分かもしれませんが、当初のやたらと敷居の高いブランドコンセプトは次第に影を潜めてきたようで、必ずしもレクサスで買う必然性のないモデルもどんどんと増えてきた気がします。今ではスバルやマツダなんかよりもラインナップが豊富に揃っていて、とても左手団扇で客を選んではいられない台所事情が透けて見えてしまっています(ドイツの高級ブランドも同じようなものですが・・・)。
日本メーカーでたった1つの世界的な高級車ブランドに成長したのですから、他の一般ブランドが絶対に作れないような悶絶させてくれるモデルがどんどん出て来ても良さそうですが、なんだかズッコケてしまうような"地味スペック"のクルマが多いのはやや残念ではあります。超高齢社会・日本ゆえの"特別すぎる"プレミアムブランド「ご隠居スペシャル」みたいなコンセプトに本気で取り組むとしたらそれはそれで面白いと思いますけども、レクサスのお膝元である日本の若者はどんどんクルマへの興味を失っているというのは悲しいことです。
もちろんレクサスブランドの個々のクルマは非常に洗練されたものですが、もっとエゴ丸出しであれこれと議論を呼ぶような"問題"設計のクルマを作っても良い気がします。国沢さんや徳大寺さんに言いたい放題言わせてあげればいいと思います。彼らに安易に煽動されるほど若いユーザーはアホじゃないと思いますし・・・。CTにしてもISにしてもクラス最高レベルの上質さは間違いないですが、プリウスやクラウンと共通のパワーユニットを使って「仕立て直した」クルマといわれれば、まあ否定できない部分もあります。アウディのように直列5気筒といった風変わりなエンジンを積むモデルでもあれば、もっともっとレクサスのメカニズムや存在感に惚れ込むクルマ好きが出てくると思いますが、現状ではメカにあまり詳しくないユーザーをメインターゲットにしているかのように、こだわりの薄いブランドイメージが少なからずあります。
レクサスCTの価格帯ならば、もっとマルチにグレード設定しても良いと思いますし、3.5LのV6を押し込んだブレイド・スピードマスターみたいなモデルでもあれば、もっとクルマ好きな若い世代の感心を呼ぶ事ができたと思います(いまからでも遅くはないですよ!)。ほかにもセリカのようなFFクーペだったり、MR-Sのようなミッドシップもさらりと作ってレクサス調の内装をあしらえば、アウディTTやメルセデスSLKを軽く蹴散らせる人気モデルが出来そうな気もします(これからでもお待ちしてます!)。MR-SにレクサスのV8積んでしまえば、もう立派なスーパースポーツの誕生ですし、とりあえずV6を載せてしまえばポルシェのユーザーを吸収できそうです。ポルシェのスポーツカーユーザーは、もはや虫の息なので、いよいよトドメを刺してしまうかもしれませんが・・・。
そんなレクサスから、久しぶりにスペシャルティ感満載の2ドアクーペが登場しました。かつて「カリーナED」や「ソアラ」といった2ドア・スペシャルティカーの名車と幾つも作ってきたトヨタですから、本気でやり始めればデザインなどはお手の物で、迫力満点で大興奮してしまうほど"猥褻的"でもあるリアを備えた、とても華のあるデザインに仕上がったと思います。どうやらトヨタも売る気満々のようでラグジュアリークーペ路線にも関わらず、クラウンやカムリに使われるおなじみの2.5Lの直4HVのユニットを設定するなど色気を見せています。そして5LのV8NAで477ps(北米版は467ps)を搾り出す新開発ユニットを積んだRC-Fまでも同時に発売してきました。セレブ奥様の買い物車から、ドイツのハイパフォーマンス御三家「M/アルピナ」「AMG」「RS」に真っ向から勝負するサーキット向けまでを網羅するワイドレンジなグレード設定は吉と出るのか?
それにしても日本価格が950万円、アメリカ価格が630万円という「RC-F」の価格差にはちょっとゲンナリさせられます。BMW・M3/M4のコンセプトをそのまんまパクりましたと自らゲロったようなマヌケな価格設定です。ちなみにGT-Rは日本価格が930万円で、アメリカ価格が1000万円なんですが・・・。ポルシェ並みに維持費がかかるGT-Rは車両価格を抑える戦略を採っているという指摘も確かにありますけど。
「V8NAを放り込んだ3BOX車」というアメリカンスタイルなレクサスRC-Fですから、その北米価格はBMWだけでなく現地のライバル車の価格をも意識せざるを得ないのかもしれません。ポルシェ911ターボを撃ち落としたGT-Rならば10万ドル突破の強気な価格設定も可能ですが、北米では珍しくもないV8NAを載せたD/Eセグの2ドア車では、「フォード・マスタング」「ダッジ・チャージャー」「シボレー・カマロ」といった定番モデルが、びっくりするくらいに安くてV8モデルがたったの3万ドルしかしません。よっていくら高級ブランド・レクサスだといってもせいぜい6万ドル程度に抑えないと話にならないという判断があったと思われます。ちなみに北米を代表する高級車ブランド・キャデラックから発売されている、RC-Fより一回り大型のボディを持つ「CTS-V」(日本未発売)が6万4千ドルなので、北米市場で売る以上はこれを上限に考えた判断は至極妥当だと思います。
北米で300万円の現行モデルのV8マスタングが、日本では500万円で売られています。新型はまだ価格が発表されていませんが、日本でも随分使い勝手が良くなるであろう右ハンドルが設定されて、後輪サスもマルチリンクに変わり、いよいよドイツ車や日本車にかなり接近したモデルになるようです。日本価格が現行モデルとあまり変わらないのであれば、俄に注目のモデルになりそうです。もし急転直下で日本とアメリカのTPP加盟が実現して、現在も紛糾していると言われる「自動車非関税障壁」でアメリカの言い分が大筋で通った場合には、マスタングもRC-Fもアメリカ市場に近い価格で日本でも販売されるようになるかもしれません。次いでに160万円なのに日本仕様よりも圧倒的に高性能な北米版VWゴルフ(1.8Lターボ)も歓迎されるでしょうし、RC-Fとほぼ同じ価格の630万円に設定されているBMW・M3が日本でも買えるならば、若者のクルマ離れは大幅に改善されそうです。
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日本メーカーでたった1つの世界的な高級車ブランドに成長したのですから、他の一般ブランドが絶対に作れないような悶絶させてくれるモデルがどんどん出て来ても良さそうですが、なんだかズッコケてしまうような"地味スペック"のクルマが多いのはやや残念ではあります。超高齢社会・日本ゆえの"特別すぎる"プレミアムブランド「ご隠居スペシャル」みたいなコンセプトに本気で取り組むとしたらそれはそれで面白いと思いますけども、レクサスのお膝元である日本の若者はどんどんクルマへの興味を失っているというのは悲しいことです。
もちろんレクサスブランドの個々のクルマは非常に洗練されたものですが、もっとエゴ丸出しであれこれと議論を呼ぶような"問題"設計のクルマを作っても良い気がします。国沢さんや徳大寺さんに言いたい放題言わせてあげればいいと思います。彼らに安易に煽動されるほど若いユーザーはアホじゃないと思いますし・・・。CTにしてもISにしてもクラス最高レベルの上質さは間違いないですが、プリウスやクラウンと共通のパワーユニットを使って「仕立て直した」クルマといわれれば、まあ否定できない部分もあります。アウディのように直列5気筒といった風変わりなエンジンを積むモデルでもあれば、もっともっとレクサスのメカニズムや存在感に惚れ込むクルマ好きが出てくると思いますが、現状ではメカにあまり詳しくないユーザーをメインターゲットにしているかのように、こだわりの薄いブランドイメージが少なからずあります。
レクサスCTの価格帯ならば、もっとマルチにグレード設定しても良いと思いますし、3.5LのV6を押し込んだブレイド・スピードマスターみたいなモデルでもあれば、もっとクルマ好きな若い世代の感心を呼ぶ事ができたと思います(いまからでも遅くはないですよ!)。ほかにもセリカのようなFFクーペだったり、MR-Sのようなミッドシップもさらりと作ってレクサス調の内装をあしらえば、アウディTTやメルセデスSLKを軽く蹴散らせる人気モデルが出来そうな気もします(これからでもお待ちしてます!)。MR-SにレクサスのV8積んでしまえば、もう立派なスーパースポーツの誕生ですし、とりあえずV6を載せてしまえばポルシェのユーザーを吸収できそうです。ポルシェのスポーツカーユーザーは、もはや虫の息なので、いよいよトドメを刺してしまうかもしれませんが・・・。
そんなレクサスから、久しぶりにスペシャルティ感満載の2ドアクーペが登場しました。かつて「カリーナED」や「ソアラ」といった2ドア・スペシャルティカーの名車と幾つも作ってきたトヨタですから、本気でやり始めればデザインなどはお手の物で、迫力満点で大興奮してしまうほど"猥褻的"でもあるリアを備えた、とても華のあるデザインに仕上がったと思います。どうやらトヨタも売る気満々のようでラグジュアリークーペ路線にも関わらず、クラウンやカムリに使われるおなじみの2.5Lの直4HVのユニットを設定するなど色気を見せています。そして5LのV8NAで477ps(北米版は467ps)を搾り出す新開発ユニットを積んだRC-Fまでも同時に発売してきました。セレブ奥様の買い物車から、ドイツのハイパフォーマンス御三家「M/アルピナ」「AMG」「RS」に真っ向から勝負するサーキット向けまでを網羅するワイドレンジなグレード設定は吉と出るのか?
それにしても日本価格が950万円、アメリカ価格が630万円という「RC-F」の価格差にはちょっとゲンナリさせられます。BMW・M3/M4のコンセプトをそのまんまパクりましたと自らゲロったようなマヌケな価格設定です。ちなみにGT-Rは日本価格が930万円で、アメリカ価格が1000万円なんですが・・・。ポルシェ並みに維持費がかかるGT-Rは車両価格を抑える戦略を採っているという指摘も確かにありますけど。
「V8NAを放り込んだ3BOX車」というアメリカンスタイルなレクサスRC-Fですから、その北米価格はBMWだけでなく現地のライバル車の価格をも意識せざるを得ないのかもしれません。ポルシェ911ターボを撃ち落としたGT-Rならば10万ドル突破の強気な価格設定も可能ですが、北米では珍しくもないV8NAを載せたD/Eセグの2ドア車では、「フォード・マスタング」「ダッジ・チャージャー」「シボレー・カマロ」といった定番モデルが、びっくりするくらいに安くてV8モデルがたったの3万ドルしかしません。よっていくら高級ブランド・レクサスだといってもせいぜい6万ドル程度に抑えないと話にならないという判断があったと思われます。ちなみに北米を代表する高級車ブランド・キャデラックから発売されている、RC-Fより一回り大型のボディを持つ「CTS-V」(日本未発売)が6万4千ドルなので、北米市場で売る以上はこれを上限に考えた判断は至極妥当だと思います。
北米で300万円の現行モデルのV8マスタングが、日本では500万円で売られています。新型はまだ価格が発表されていませんが、日本でも随分使い勝手が良くなるであろう右ハンドルが設定されて、後輪サスもマルチリンクに変わり、いよいよドイツ車や日本車にかなり接近したモデルになるようです。日本価格が現行モデルとあまり変わらないのであれば、俄に注目のモデルになりそうです。もし急転直下で日本とアメリカのTPP加盟が実現して、現在も紛糾していると言われる「自動車非関税障壁」でアメリカの言い分が大筋で通った場合には、マスタングもRC-Fもアメリカ市場に近い価格で日本でも販売されるようになるかもしれません。次いでに160万円なのに日本仕様よりも圧倒的に高性能な北米版VWゴルフ(1.8Lターボ)も歓迎されるでしょうし、RC-Fとほぼ同じ価格の630万円に設定されているBMW・M3が日本でも買えるならば、若者のクルマ離れは大幅に改善されそうです。
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2014年10月17日金曜日
デミオ・フィーバーだけど、最近のBセグはいろいろ面白い。
トヨタ・アクアが発売してまだ3年も経っていないことに正直驚きですが、今や完全に日本の道路を象徴する存在になりました。これだけの大ヒットはさすがに当初の予想すら上まわるものだったようで、アフターパーツ・メーカーも慌てて開発に着手し、この1年くらいであれこれと出揃ってきました。最近では楽しげに走るカスタマイズ"アクア"を、休日の度に街中でちょくちょく見かけます。トヨタのHPで扱われているエアロパーツを見ると、どのシリーズもフロント・サイド・リアにフル装備しても10万円足らずです。同クラスのVWポロでエアロ4点セットを組むと、工賃と塗装代が別途に計上されて50万円程度かかることを考えるとかなりお値打ちです。ちなみに国産ではスバルWRX S4が3点で27万円程度だそうです。
コンパクトカーにおいて10万円が高いか安いかは意見が分かれるでしょうが、これだけ街中にありふれるようになった量販モデルだからこそ"個性化"の意義はより大きいと思います。しかも10万円の3点セットで印象はガラリと変わりますので、費用対効果が非常に高いです。やや垢抜けないノーマル・アクアからのギャップが大きいので、その振り幅は大きくかなり良い仕上がりに感じます。そもそも車高が低く抑えられているアクアの素材の良さが、絶妙なプロポーションを演出するのに大きく貢献しているようです。
いくつかのパーツメーカーがトヨタのHPでアナウンスされてますが、いずれもホワイトベースのものがテーマカラーになっているようで、出来上がりはまるでシトロエンDSシリーズみたいに見えます。シトロエンDSといえば、DS3でルーフ塗り分けをするなど、新しいコンパクトカーの潮流を作る、デザイナーズブランドとしての地位を着々と築いていいて、ホンダCR-ZやレクサスCTなど比較的高価格な国産小型モデルが相次いでルーフの塗り分けを採用するなど、特に国産車への影響の強さが象徴的です。アクアのパーツメーカーもDS3、DS4のホワイトを念頭においているようで、"レイヤード調"ともいうべき、外板を重ねたようなフロントグリル回りの重厚感のある意匠を上手く"パクって"いると思います。
デザイン重視でBセグを選ぶならば、最近なにかと話題のデミオのデザインは確かに冴えてますが、ホワイトで勝負できる"カスタマイズ"アクアの高級感演出はなかなかで、デミオ絶賛の世論に水を差すようで恐縮ですが、カーメディアが騒いでるほどには必ずしも「デミオ絶対優位」というわけではないと思います。さらに言うと国産Bセグは従来の「お手軽さ」というセールスポイントを軽自動車に奪われて久しく、新たな価値観が強く要求される時期に差し掛かってきたようです。
今回のデミオのFMCで完全に刷新されたカラーバリエーションを見ても、全10色がどれも本気モード全開で、先代にあったような"カナブン色"のパステルグリーンを廃止し、小型車にありがちなイエローもありません。トヨタ・パッソでブレイクしたピンクを新たに取り入れましたが、新色「スモーキーローズマイカ」は、パッソのような若い女性向けではなく、男性ユーザーや年配の女性ユーザーも使える深みのある色彩をしていて、今回もっとも注目しています。さらにマツダの意図を感じるのが、3色用意されているブルーでしょうか。先代アクセラで密かに人気だったブルーを小型スポーツHBのイメージカラーに据えようという考えのようです。
2年前までは国産Bセグの"エース"は間違いなくスイフトスポーツが担っていました。どの評論家も挙ってスイスポを絶賛し、まるで今のデミオのようなスター的な扱いでした。「走り」に主眼を置いた正統派のスイスポに対して、圧倒的な環境性能+デザイン新提案で見事にシェアをごっそりと奪ったアクアによるトヨタのしたたかさと確かなヴィジョンは、評論家によって特に持ち上げられることもなかったのですが、次世代コンパクトカーを渇望する市場のニーズを完璧なまでに取り込む見事な企画だったと思います。これはもはやトヨタの営業網が無くても、十分に結果が出せるだけの競争力があったように思います。発売から3年近くが経ってなお、新型デミオに大きく立ちはだかるだけのポテンシャルを秘めた設計の奥深さには、ただただトヨタの企画力への畏敬の念が湧いてきます。
アクア・デミオとは逆のコンセプトでしたたかにシェアを獲得しているフィットのユーティリティの高さも、カーメディアの後押しなどないままに市場に受け入れられました。軽自動車を次々と投入し、ヴェゼルを大ヒットさせるなどホンダの小型ラインナップ急拡大路線は、旧来のホンダファンにとっては複雑な想いがありそうですが、この"ホンダショック"こそが、従来の国産Bセグに大きなインパクトを与え、ノート・マーチ・スイフト・ヴィッツ・パッソは淘汰の淵に追い込まれつつあります。現状ではアクアだけが生き延びて、デミオがここに挑むためにマツダの"総力"が動員されました。VWポロやBMWミニが国産Bセグを圧迫している!みたいなややおかしな論調がカーメディアには見られますが、間違いなく競争を激化させているのはホンダの体質変化(社長人事!?)によるものだと言えます。さて・・・果たしてカーメディアが"ゴリ押し"するデミオは、良識ある日本市場に手厚く支持されたアクアとフィットの2強をどこまで切り崩すことができるのでしょうか?
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コンパクトカーにおいて10万円が高いか安いかは意見が分かれるでしょうが、これだけ街中にありふれるようになった量販モデルだからこそ"個性化"の意義はより大きいと思います。しかも10万円の3点セットで印象はガラリと変わりますので、費用対効果が非常に高いです。やや垢抜けないノーマル・アクアからのギャップが大きいので、その振り幅は大きくかなり良い仕上がりに感じます。そもそも車高が低く抑えられているアクアの素材の良さが、絶妙なプロポーションを演出するのに大きく貢献しているようです。
いくつかのパーツメーカーがトヨタのHPでアナウンスされてますが、いずれもホワイトベースのものがテーマカラーになっているようで、出来上がりはまるでシトロエンDSシリーズみたいに見えます。シトロエンDSといえば、DS3でルーフ塗り分けをするなど、新しいコンパクトカーの潮流を作る、デザイナーズブランドとしての地位を着々と築いていいて、ホンダCR-ZやレクサスCTなど比較的高価格な国産小型モデルが相次いでルーフの塗り分けを採用するなど、特に国産車への影響の強さが象徴的です。アクアのパーツメーカーもDS3、DS4のホワイトを念頭においているようで、"レイヤード調"ともいうべき、外板を重ねたようなフロントグリル回りの重厚感のある意匠を上手く"パクって"いると思います。
デザイン重視でBセグを選ぶならば、最近なにかと話題のデミオのデザインは確かに冴えてますが、ホワイトで勝負できる"カスタマイズ"アクアの高級感演出はなかなかで、デミオ絶賛の世論に水を差すようで恐縮ですが、カーメディアが騒いでるほどには必ずしも「デミオ絶対優位」というわけではないと思います。さらに言うと国産Bセグは従来の「お手軽さ」というセールスポイントを軽自動車に奪われて久しく、新たな価値観が強く要求される時期に差し掛かってきたようです。
今回のデミオのFMCで完全に刷新されたカラーバリエーションを見ても、全10色がどれも本気モード全開で、先代にあったような"カナブン色"のパステルグリーンを廃止し、小型車にありがちなイエローもありません。トヨタ・パッソでブレイクしたピンクを新たに取り入れましたが、新色「スモーキーローズマイカ」は、パッソのような若い女性向けではなく、男性ユーザーや年配の女性ユーザーも使える深みのある色彩をしていて、今回もっとも注目しています。さらにマツダの意図を感じるのが、3色用意されているブルーでしょうか。先代アクセラで密かに人気だったブルーを小型スポーツHBのイメージカラーに据えようという考えのようです。
2年前までは国産Bセグの"エース"は間違いなくスイフトスポーツが担っていました。どの評論家も挙ってスイスポを絶賛し、まるで今のデミオのようなスター的な扱いでした。「走り」に主眼を置いた正統派のスイスポに対して、圧倒的な環境性能+デザイン新提案で見事にシェアをごっそりと奪ったアクアによるトヨタのしたたかさと確かなヴィジョンは、評論家によって特に持ち上げられることもなかったのですが、次世代コンパクトカーを渇望する市場のニーズを完璧なまでに取り込む見事な企画だったと思います。これはもはやトヨタの営業網が無くても、十分に結果が出せるだけの競争力があったように思います。発売から3年近くが経ってなお、新型デミオに大きく立ちはだかるだけのポテンシャルを秘めた設計の奥深さには、ただただトヨタの企画力への畏敬の念が湧いてきます。
アクア・デミオとは逆のコンセプトでしたたかにシェアを獲得しているフィットのユーティリティの高さも、カーメディアの後押しなどないままに市場に受け入れられました。軽自動車を次々と投入し、ヴェゼルを大ヒットさせるなどホンダの小型ラインナップ急拡大路線は、旧来のホンダファンにとっては複雑な想いがありそうですが、この"ホンダショック"こそが、従来の国産Bセグに大きなインパクトを与え、ノート・マーチ・スイフト・ヴィッツ・パッソは淘汰の淵に追い込まれつつあります。現状ではアクアだけが生き延びて、デミオがここに挑むためにマツダの"総力"が動員されました。VWポロやBMWミニが国産Bセグを圧迫している!みたいなややおかしな論調がカーメディアには見られますが、間違いなく競争を激化させているのはホンダの体質変化(社長人事!?)によるものだと言えます。さて・・・果たしてカーメディアが"ゴリ押し"するデミオは、良識ある日本市場に手厚く支持されたアクアとフィットの2強をどこまで切り崩すことができるのでしょうか?
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2014年10月3日金曜日
スカイラインとティアナ ジャンル細分化の時代。
日産ティアナの国内販売がどうも盛り上がりません。まあある程度は予想していたことですが、このクルマの良さをもっと敏感に捉える人々が多くいるかなと思いましたがさっぱりです。日本はまだまだ豊かな国で、中古車市場で程よい価格のクルマが供給されてしまうため、新車で売るとなるとそれなりに話題性を持つ必要がありますので、その点で3代目ティアナは苦戦を強いられているようです。日産としてもほぼ同時期に発売したスカイラインの販売が一巡するまではあまりティアナを前面に押し出すことができないという苦しい事情がさらに重なっています。しかもスカイラインは新たにやや廉価なターボモデルを追加販売しましたから、まだまだグイグイ売れ続けています。メルセデスのガヤガヤと騒々しい2L直噴ターボエンジンなんかよりも、ティアナの2.5L直4NAの方がよっぽど快適ではあるのですが、セールスマンはおそらく廉価なティアナを推す事が"禁じ手"になっているはずです。
スカイラインはライバル車に比べればお買い得ですが、それでも軽く500万円に到達しますので決して安くないです。もっとお手軽に良いクルマを求める層にはティアナがちょうど良いと思うのですが、300万円台となると話題性を備えたアテンザが魅力的に見えますし、中古でメルセデスかBMWの程度の良いものを選ぼうと考える人も多いようです。スカイラインの影に隠れてしまって、ほとんど注目もされなくなったティアナですが、コンセプトや設計方針のブレがないことで定評のある日産のグローバル最量販モデルですから、もちろんその存在価値に疑いの余地はありません。アメリカ市場や中国市場で売られるモデルはしばしば「日本軽視!」という汚名を着せられることがありますが、すっかりアメリカナイズされた生活環境に今日まで憧れ続けてきたのに、クルマに関してはイチャモンをつけるのはオカシイですよね。
そもそもクルマの専門家であるカーメディアが、スカイラインもティアナも一括りに「セダン」と捉えてそれで終わりにしてしまっていることに不満を感じます。海外のカーメディアを見ていると、最高に静かな「サルーン」と最高に軽快な「スポーツカー」に関しては日本車が世界ナンバー1だから世界で日本車は売れている!というある程度固まったイメージの上に評論が行われています。果たしてこの日本車の世界で評価される特徴を正確に伝えようと努力している国内ライターがどれほどいるでしょうか? どいつもこいつもと言ったら失礼ですが、優雅でもスポーティでもなく、日本にはまったく関係ないアウトバーン専用車に過ぎないメルセデスやBMWこそが絶対正義と考えているライターばかりが威張っています(まあ欧州市場では正義でしょうけど・・・)。
ティアナというモデルは北米の2万ドル車というカテゴリーにおいては、トヨタカムリとホンダアコードとともに高い評価をされていて、エンジンパワーでいくらか上回るヒュンダイソナタやVWパサートがこの3台の日本車サルーンの足元にも及ばないほどに優れた静粛性と乗り心地を実現しています。最近ではマツダの基本設計を使っているフォード・フュージョンがシェアを伸ばしてきてはいますが、「サルーンは日本車」という盤石なイメージがすでに出来上がっています。アメリカ人はこれらの日本車サルーンの実力を高く評価しているのに、日本のカーメディアは「パンチ力がない」という訳の解らない"物差し"を振りかざし、これらのモデルに最大級の賛辞を送ることはまずないです。その心理の裏側には長年に及ぶアメリカ自動車文化への軽蔑の念と欧州自動車文化への憧れからくる歪んだ視点があるように思います。
その一方で、敢えてメルセデスやBMWのような世界観に挑戦していく日本車版GTカーの代表格が「スカイライン」や「スバルWRX S4」や「レクサスRC-F」です。カーメディアは意地が悪いのか頭が悪いのかわかりませんが、この手のクルマのレビューに際してはしばし「良く出来てるが、少々騒々しい上に乗り心地がイマイチ・・・」みたいな"愚論"を展開します。最近でも「スカイラインより新型デミオの方が乗り心地がいい」と動画レビューで清◯◯夫氏が仰ってましたが、そりゃあタイヤの太さがこれだけ違えば十分にあり得ることじゃないですか?正論かもしれないですが、クルマのプロを自認するなら嫌みたらしくスカイラインを蔑むように言うべきではないと思いました。余談ですがこの人のルボランの連載は本当に"クソ"です。
何が言いたいかと言うと、日本メーカーの開発者にとって「世界一良いクルマをつくれ!」という"詔"を受けたときに、もっともポジティブになれる要素が「ジャンル」なんだと思います。日本メーカーは現状では最高のマテリアルを使うことができますから、とりあえず国内のライバルに決定的に負けさえしなければいいわけです。しかしそこではもはや「セダン」という大雑把すぎるジャンルは死語となっていて、「サルーン」「GTカー」「ショーファー」「スモール」と細分化された上で、そのニーズに「最適解」を持ち込むわけです。日産の場合だと、ティアナ(サルーン)、スカイライン(GTカー)、シーマ(ショーファー)、シルフィ(スモール)といった具合で上手く役割分担がされています。さて何だかちょっと浮いた存在になっているのがフーガ・・・でしょうか。トヨタ陣営にも同じことが言えますがレクサスGSが浮いちゃっています。
スバルがGTカーを目指すなら、マツダはサルーンを志向する!といったような棲み分けも見られます。加速が楽しみたいならスバル、長距離を経済的に走りたいならマツダなのですが、スバルはCVTにこだわりマツダはトルコンATを使っているのが面白いところです。まあ別に律儀に分けて考えて、目的に合ったクルマを買いなさい!なんて説教がましいことを言うつもりは毛頭ないですし、日本車のように「最適解」だけがベストというのも視野が狭いですし、ドイツ車のロジックも十分尊重するに値する点が多いです。ただし日産のような潔癖のジャンル設定と各ジャンルで世界最高を義務づけられて、そこで頑張っているエンジニアの想いを踏みにじるようなプロのジャーナリストの評論に出会ったり、素人のバカみたいな誹謗中傷が目に余ったりすると、「ふざけんな!」と代弁してあげたくなってしまいますが・・・。
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↓スカイラインのGTカーへの適正はどうなんですか?
スカイラインはライバル車に比べればお買い得ですが、それでも軽く500万円に到達しますので決して安くないです。もっとお手軽に良いクルマを求める層にはティアナがちょうど良いと思うのですが、300万円台となると話題性を備えたアテンザが魅力的に見えますし、中古でメルセデスかBMWの程度の良いものを選ぼうと考える人も多いようです。スカイラインの影に隠れてしまって、ほとんど注目もされなくなったティアナですが、コンセプトや設計方針のブレがないことで定評のある日産のグローバル最量販モデルですから、もちろんその存在価値に疑いの余地はありません。アメリカ市場や中国市場で売られるモデルはしばしば「日本軽視!」という汚名を着せられることがありますが、すっかりアメリカナイズされた生活環境に今日まで憧れ続けてきたのに、クルマに関してはイチャモンをつけるのはオカシイですよね。
そもそもクルマの専門家であるカーメディアが、スカイラインもティアナも一括りに「セダン」と捉えてそれで終わりにしてしまっていることに不満を感じます。海外のカーメディアを見ていると、最高に静かな「サルーン」と最高に軽快な「スポーツカー」に関しては日本車が世界ナンバー1だから世界で日本車は売れている!というある程度固まったイメージの上に評論が行われています。果たしてこの日本車の世界で評価される特徴を正確に伝えようと努力している国内ライターがどれほどいるでしょうか? どいつもこいつもと言ったら失礼ですが、優雅でもスポーティでもなく、日本にはまったく関係ないアウトバーン専用車に過ぎないメルセデスやBMWこそが絶対正義と考えているライターばかりが威張っています(まあ欧州市場では正義でしょうけど・・・)。
ティアナというモデルは北米の2万ドル車というカテゴリーにおいては、トヨタカムリとホンダアコードとともに高い評価をされていて、エンジンパワーでいくらか上回るヒュンダイソナタやVWパサートがこの3台の日本車サルーンの足元にも及ばないほどに優れた静粛性と乗り心地を実現しています。最近ではマツダの基本設計を使っているフォード・フュージョンがシェアを伸ばしてきてはいますが、「サルーンは日本車」という盤石なイメージがすでに出来上がっています。アメリカ人はこれらの日本車サルーンの実力を高く評価しているのに、日本のカーメディアは「パンチ力がない」という訳の解らない"物差し"を振りかざし、これらのモデルに最大級の賛辞を送ることはまずないです。その心理の裏側には長年に及ぶアメリカ自動車文化への軽蔑の念と欧州自動車文化への憧れからくる歪んだ視点があるように思います。
その一方で、敢えてメルセデスやBMWのような世界観に挑戦していく日本車版GTカーの代表格が「スカイライン」や「スバルWRX S4」や「レクサスRC-F」です。カーメディアは意地が悪いのか頭が悪いのかわかりませんが、この手のクルマのレビューに際してはしばし「良く出来てるが、少々騒々しい上に乗り心地がイマイチ・・・」みたいな"愚論"を展開します。最近でも「スカイラインより新型デミオの方が乗り心地がいい」と動画レビューで清◯◯夫氏が仰ってましたが、そりゃあタイヤの太さがこれだけ違えば十分にあり得ることじゃないですか?正論かもしれないですが、クルマのプロを自認するなら嫌みたらしくスカイラインを蔑むように言うべきではないと思いました。余談ですがこの人のルボランの連載は本当に"クソ"です。
何が言いたいかと言うと、日本メーカーの開発者にとって「世界一良いクルマをつくれ!」という"詔"を受けたときに、もっともポジティブになれる要素が「ジャンル」なんだと思います。日本メーカーは現状では最高のマテリアルを使うことができますから、とりあえず国内のライバルに決定的に負けさえしなければいいわけです。しかしそこではもはや「セダン」という大雑把すぎるジャンルは死語となっていて、「サルーン」「GTカー」「ショーファー」「スモール」と細分化された上で、そのニーズに「最適解」を持ち込むわけです。日産の場合だと、ティアナ(サルーン)、スカイライン(GTカー)、シーマ(ショーファー)、シルフィ(スモール)といった具合で上手く役割分担がされています。さて何だかちょっと浮いた存在になっているのがフーガ・・・でしょうか。トヨタ陣営にも同じことが言えますがレクサスGSが浮いちゃっています。
スバルがGTカーを目指すなら、マツダはサルーンを志向する!といったような棲み分けも見られます。加速が楽しみたいならスバル、長距離を経済的に走りたいならマツダなのですが、スバルはCVTにこだわりマツダはトルコンATを使っているのが面白いところです。まあ別に律儀に分けて考えて、目的に合ったクルマを買いなさい!なんて説教がましいことを言うつもりは毛頭ないですし、日本車のように「最適解」だけがベストというのも視野が狭いですし、ドイツ車のロジックも十分尊重するに値する点が多いです。ただし日産のような潔癖のジャンル設定と各ジャンルで世界最高を義務づけられて、そこで頑張っているエンジニアの想いを踏みにじるようなプロのジャーナリストの評論に出会ったり、素人のバカみたいな誹謗中傷が目に余ったりすると、「ふざけんな!」と代弁してあげたくなってしまいますが・・・。
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