2014年5月15日木曜日

日本車でデートがしたい! レクサスRC と スカイラインクーペ

  ダイハツを除く日本メーカー各社が死力を尽くした総力戦の様相となってきているのが「SUV大戦争」。「ハリアー」「エクストレイル」という10年前からSUVを牽引している有名車種が同時に発売されるなど、激しく火花が散っています。どちらも力が入り過ぎで、SUVがほしいならどっちを買ってもとりあえず損は無さそうな完成度です。さすがにトヨタも日産も勝負するジャンルをしっかり選定していて、明らかに「勝つため」のクルマを作ってきました。価格設定もとてもシビアでお互いに相当に意識したものになっています。

  トヨタ・日産の両雄に加えてホンダ、スズキといったグローバルでトップ10に入るクラスの「メガ・メーカー」にここまでやられては、去年は飛ぶ鳥を落とす勢いだったCX5もあえなく失速するしかないですね。新型4台に対抗するマツダCX5・スバルフォレスター・三菱アウトランダー・日産ジュークの4台もとても評価が高くて、今もしぶとく売れ続けています。これだけ競争が激しいと値引きも乱れ飛んでいるでしょうし、どれも文句ない出来ですし、予算や用途に合わせていくらでも選ぶことができますから、今さらBMW X1やアウディQ3など選ぶ必要が全く感じません(ダサいし)。BMWディーラーで虐げられるのが好きなドMの人にはぴったりかもしれませんが・・・。

  国産SUVのレベルがこの数年で飛躍的にレベルアップしましたが、事の起こりはマツダが2年前に出したCX5で、一昨年・昨年と2年連続でSUV国内販売ランキング1位を獲得しました。これまでミニバンばかり目が向いていたファミリー・ユーザーや、プリウスやアクアへ向かう高齢者をも獲得して、SUV市場をメジャーにしました。最近じゃマツダ車が発売されるところではどこでも「"鼓動"革命」が起こっていてますね。まさかスバルも日産も、新規車種であるCX5の前に、熟成を重ねた自慢のフォレスターやエクストレイルが苦杯をなめるとは思わなかったでしょうね・・・。

  蛇足かもしれませんが、「"鼓動"革命」はさらにDセグセダン/ワゴンとCセグハッチバックへと及び、まさかの輸入車ユーザーが大挙してマツダディーラーに押し寄せるという事態にまで発展しました。欧州カーオブザイヤーでも上位に名を連ねた初代アテンザ、初代アクセラの遺伝子がいよいよ本国・日本でも評価されるようになりました。評論家の"掌返し"で世論が「マツダ称賛」へと誘導されている部分も大きいようですが、マツダが単体でメルセデス・BMW・アウディ・VWを相手に「安さ」ではなく「クルマの良さ」で果敢に闘ったことは紛れもない事実です。

  さてマツダの「"鼓動"革命」はさらに今年のデミオ/CX3と来年に予定されているロードスターと続きます。もはやサプライズではなく、新型デミオが日本のコンパクトカー市場を相当なインパクトを与え、VWやフランスメーカー車を強烈な閃光で薙ぎ払う構図が、マツダファンでなくても頭に浮かぶでしょう。ロードスターはトヨタ/スバル連合のあのFRスポーツに格の違いを見せつけるだけでなく、メルセデスやBMWのカブリオレを徹底的に追い込む「正当派スポーツ」でしかもデザイン面でも圧倒する存在になるでしょう。実際現行のNCのエクステリアの奇抜さ(要するにダサい)に腰が引けて、新型を待っている人も多いでしょう。

  さて破竹の勢いのマツダ車を相手にするのは、どのメーカーも骨が折れるところですが、マツダの規模では車種に限界があるので、マツダがやらないジャンルでは他のメーカーにとってはそれなりに気楽に取り組めます。ただしそういうジャンルではどうも新陳代謝が遅くなりがちで、SUVなどで見られた激しい進化が見られない傾向にあります。たとえば「フルサイズ高級車」にはレクサスLSという世界の頂点を極めるモデルが存在しますが、2006年に投入されたままFMCも経ず今に至っていますし、ライバルのメルセデスSクラスも日本の街角で良く見かけるようになりましたが、進化しているのか退化しているのかよく分らないくらいです。

  さらにDセグの「2ドアクーペ」には今後アテンザが参入するかもしれませんが、なかなか続報もないので、まだまだ先になりそうですし、近年のマツダはスペシャリティカーが嫌いなようなので、そもそも無いかもしれません。そんな中で今年はレクサスに久しぶりに2ドアのカタログモデルが復活します(レクサスRC)。そしてそれにシンクロするようにスカイラインクーペのFMCも予定されています。SUVもいいですが、やはりプライベートカーの王道として、ラグジュアリーな2ドアクーペも「隙」が無いほどのクオリティ同士で競い合いを期待したいです。

  この2台は予想ではそれぞれ違ったタイプのエンジンユニットを搭載するので、3.5L&2.5LのHVと5L&3.5L&2.5LのNA、そして2Lターボと少なくとも6種類もある多彩な選択ができるのが興味深いです。エンジンのバリエーションが少ないと言われている日本の高級車の弱点を見事に補っています。一方でグレードが多いと言っても、ターボの強弱でグレードを分けるBMWやアウディのようなやり方はちょっとセコい気がします。高性能なサスを装備して、静かで豊かなパワーを出すパワーユニットを持った「本物」のラグジュアリークーペっていいですね。4シリーズは全く気持ちが向かないですけど、レクサスRCは待ち遠しいです。

  
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2014年5月1日木曜日

「トヨタ」を批判する人にひとこと・・・

  国産メーカーで唯一、国内でもプレミアムブランドを展開しているトヨタ。日本での「レクサス」立ち上げ時には、この前まで「アリスト」として売っていたクルマが「GS」となり、同様に「アルテッツァ」が「IS」、「ソアラ」が「SC」といわゆるバッジエンジニアリング(ブランドマークの交換)だけで、価格が100万円以上跳ね上がるという「画期的」な商習慣が日本に導入されました。

  世界の頂点を颯爽とひた走る「ハイパー・メーカー・コンツェルン」トヨタグループですから、もちろん批判されることは覚悟の上での「余裕の"強行"導入」です! そしてまるで世界的な経済危機が到来することを予期していたかのようで、追従して日本上陸を目論んだアキュラはタイミングを逸して断念せざるを得ませんでした。フラッグシップの「LS」以外の車種には一切投資なし。国内の販売網には相当にお金がかかりましたし、当然に赤字転落の憂き目にも遭いましたけど、10年20年のスパンで見たら確実に日本市場に「プレミアムブランド」は定着するので、長い目で見たら「日本上陸」は絶対に正解です。

  どんなクルマを持っていったって、異なる商習慣ですから、周知されるまであらゆる抵抗をうけます。世界を完全に黙らせた奇跡のスーパーサルーン「LS」を投入しても批判されます。BMWと互角に闘える現行の「GS」「 IS」を前倒しして発売しても、まあ無意味だったんじゃないでしょうか。とりあえず「レクサス」の営業力で旧型シャシーを使ったクルマを売る事ができるのか?という遠大なる実験の場だったのだと思います。カローラもどきのISが500万円で売れてしまう恐るべき「レクサス・マジック」が展開されました。

  多くのクルマ好きには「茶番」だということが解っていましたから、この時期はまだまだクラウンやマークXが売れました。一方でマジェスタのお客は順当に「LS」へと移っていきました。この時期のレクサスで価格通りの価値があるのは「LS」だけだったわけです。やがてレクサスは世界の経済危機が収束したころを見計らって、GSの「本格的」なFMCを行いました。この頃からクラウンの販売が下火になります。クルマの価値がよくわかっているユーザーが次々にGSへと乗り換えます。そして同様にISも刷新され、いよいよDセグの頂点に立つクルマになりました。

  さてトヨタブランドの「上客」が次々にレクサスへと乗り換えていくわけですが、今後の「トヨタブランド」はどうなっていくのか? 一般的には高品質なクルマ作りをレクサスへと移管したのだから、「低価格」のモデルを中心に拡充が行われると考えられています。しかしここ数年に発売されたモデルを吟味すると、おそらくブランド全体の平均販売価格は上昇していると思われます。トヨタの売れ筋は「安いクルマ」ではなく圧倒的に「ちょっと高いクルマ」へとシフトしています。

  まずハッキリとしたトレンドとして、「ヴィッツよりもアクア」「プレミオ/アリオンよりもプリウス」が圧倒的に売れています。さらにプリウスもより高価格な「PHV」や「G's」が人気を集めます。もちろん高ければ高い方がいいというものではなく、300万円に近づくまでは「高級化」が好まれます。これが400万円を大きく越えて「レクサス」の領域(500万円~)に近づくとさすがに売りにくくなるようです。

  簡単に言うと「マークX」「カムリ」「プリウス」「ハリアー」「エスティマ」「ノア/ボクシィ」「86」といった主要モデルはことごとく300万円に収束した価格設定になっています。これより高いと「クラウン」「アルファード/ヴェルファイア」といったネームバリューのあるクルマしか成立しないようで、「SAI」は完全に価格設定を見誤っている例です(トヨタは確信犯でしょうけど)。もちろん300万円を下回る「アクア」「カローラ」「ヴィッツ」も売れていますが、それ以外は「オーリス」「ウィッシュ/アイシス」「ラクティス」「ポルテ/スペイド」「パッソ」「ラッシュ」「IQ」と地味な低価格車が並んでいますが、そろって人気はいまいちです。

  さらにトヨタは「ピクシス」という軽自動車も販売していますが、これもまったく売る気はないようで、存在感はまったくありません。トヨタが74万円の軽自動車を売っているなんてほとんどの人は知らないんじゃないでしょうか。トヨタブランドは結局のところ、300万円ラインのクルマが非常に高い競争力を持っていて、それがよく解っているユーザーに手厚く支持されています。よく「トヨタは安物!」などと発言している人がいますが、どこを見て言っているんだろう?トヨタブランドの本質が見えているのか?という気がします。

  下のグレードだけを見て「トヨタ」とか言われても困りますし、大抵そういうことを言っている人は300万円しないくらいの輸入車に乗っていたりするわけです。正直言って、「ゴルフ」「A3」「Aクラス」「1シリーズ」「V40」の争いなんて、トヨタの主要ラインの足元にも及んでいない低次元な争いなんです。そもそも200万円のマツダ車に負けてしまうレベルなんですよ・・・。カーメディアが未だに盛り上げようとしている「輸入車Cセグ」・・・まあ「ゴルフ」が悪いクルマとは思わないですけど、そのレベルから「トヨタ」を批判するのは、まったく理解できないですね。

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