2017年5月26日金曜日

三菱デリカD5 「封殺された日本の傑」

  2000年代に社会現象とも言える大流行を見せたミニバンが、曲がり角を迎えているようです。まあどんなジャンルでも10年以上に渡って売れ続けるなんてことはほとんどないので、実用車ゆえに避けられない『デフレ傾向』からくる設計・企画の歪みが出てくる段階に突入したということですねー。出せば売れるから、各メーカーがこぞって企画したミニバンでしたが、グローバル展開においては重荷になるとかでマツダみたいに開発を中止するメーカーも出てきたようです。マツダはCX8が売れなかったら、何もなかったようにスライドドアーを復活させそうな気がしますが・・・。

  先代はデリカスペースギア、そしてその前は『三菱車といったらこれ!!』というくらいに定番化した。あのグリルガードの付いたデリカスターワゴンです。この2世代で築き上げた『イメージ』を大事に引き継いで2007年に登場したのが『デリカD5』で、ちょうどミニバンバブルのど真ん中の時期でした。三菱自にとっては、リコール問題で叩かれ続けた悪夢の2000年代を払拭して、新しい三菱を打ち立てるための決意のニューモデルだったわけですが、このモデルもあまり運がなく、間も無くリーマンショックと震災に巻き込まれ、三菱のメインプロダクトは「災害に強い」アウトランダーPHEVへと移っていきました。

  いつも髪を切ってもらっている美容師さんは、先代アルファードに乗ってますが、現行アルファードはデザインがあまりにもアグレッシブというか、「アレ」な感じなので、別の車種を検討しているそうです。『何かおすすめある?」と訊かれ、マツダの新しい3列SUVがちょっと頭を過ぎるも、まだ発売前のクルマをおすすめしても意味ない・・・そもそもスライドドア車ユーザーのニーズなんてよくわからん。オデッセイHVが良さそうだけどピープルムーバーに400万円近く支出するのは、なんか違うような気がする・・・。

  そもそもピープルムーバー(ファミリーカー)を選ぶ基準なんてさ、休日のお父さんのファッションを選ぶみたいなものだよねー。ジーパンにヨレヨレのTシャツで済ませられる人なら、『日産キューブ』とか『ホンダNボックス』くらいが合ってるかも。きれいめなポロシャツにコットンパンツでそれなりにスタイリッシュにしているなら『ヴォクシー』か『ステップワゴン』。ちょっとイカツいブレスレットを腕や首に欠かさずつけるようなら『アルファード』。上下がセットアップのパーカー&スウェットがお気に入りなら『ソリオ』!?。冬はウール、夏はリネンと季節によって素材を分けたアースカラーのボタンダウンシャツが欠かせないなら『エクシーガクロスオーバー7』。上下のカラーがどうもちぐはぐな人(モノトーンにはしない人)は『マツダ・プレマシー』か『エスティマ』。

  テイラードジャケットでキメるお父さんは?・・・そういう人はスライドドアには乗らない。いやいやジャケットルックでも似合うピープルムーバーがあってもいいはず!?ネイビーのカジュアルセットアップスーツに、上質感漂うクラッチバックを合わせるお父さんは、サングラスをしてラグジュアリークーペに乗るしかないのか!? 日本車はデザイン段階で既にユーザーへの迎合が企画としてたくさん盛り込まれてしまうので、ちょっとだらしないくらいの格好の方が、似合ってしまうという悲しい宿痾を抱えてしまうんですよねー。ミニバンは絶対に嫌!!というお父さんはこの辺の嗅覚が鋭いのです。

  そんな中で三菱のクルマは「いい意味で」ズレているように思います。東富士(サプライヤー集積地)より西のメーカーを、どこか『鼻で笑う』ような雰囲気があります。三菱は『丸の内のクルマ』という誇り・意識は当然に持っているでしょうし、西のデザインは絶対に真似しない!!三菱は西のパクリ屋とは違う!!丸の内の『格式』に合ったクルマでなければ三菱車ではない・・・。とにかくやることなすことが全て『エリート』っぽい。誤解しないでほしいですが『成金」っぽいではないですよ!!『エリート』です。どのドイツ南部のメーカーが『成金』っぽいなんて無粋なことは言いませんよー。




  まるで西(スズキ、トヨタ、ホンダ、ダイハツ、マツダ)のクルマとは全然違いますよ!!という『意識高い系』の仕事ぶりばかりが少々鼻につきます(笑)。ライバルは日産とスバルだけ!!確かにスバルも日産もそういう雰囲気出してるかも。しかしお高くとまっているメーカーから、リコール隠しとか燃費偽造とか出てくると、そりゃ炎上しますわ・・・。霞ヶ関官僚が「しゃぶしゃぶ屋」に行ったみたいなもんですかね〜〜〜。余談ですが、当時ゴミカスレベルの倫理観だった官僚連中が、加計問題で内閣に楯突くようになるなんて、時代も変わったなー。風俗通いを菅官房長官に注意された文科省官僚が腹いせに暴露なんて・・・日本の恥だよ。
  
  三菱の技術が抜きん出ているのは、紛れもなく政府(防衛省)との長年の癒着の結果であり、国の青天井の防衛予算に育まれてきた結果です。三菱傘下の『パジェロ製造』で組み立てられるデリカD5(ベースはパジェロではなくアウトランダー)。他のメーカーのミニバンとは意味合いが違う見たいです。ランクルの前身モデルを自衛隊(警察予備隊)に採用してもらえなかったトヨタから見れば、デリカD5は『ズブズブ』が作った『オーバースペック・ミニバン』が偉そうにすんな!!ミニバンは曲芸をするクルマじゃないし・・・。乗り心地・居住性が全てなんだよ!!そんな相容れないピリピリした関係が伝わってくる対比ですねー。三菱自の評価って難しいですよねー。


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ニューカー速報プラス 第2弾 最新デリカD:5 (CARTOP MOOK)
  

2017年5月23日火曜日

ホンダ・ジェイド 「ホンダ・絶品クオリティの新時代」

  いくらスタイルが良くても、パッケージが良くても、乗り心地が良くても・・・売れないことがあるんですねー。発売当初は『これは人気になるんじゃないの!?』と気になった人も多かったんじゃないですか? オデッセイとエリシオンがまさかの統合となり、フラッグシップ・ミニバン新生『オデッセイ』はハイルーフ仕様になり、先代までの『あの』オデッセイと『ザ・HONDA』のイメージをも含めて引き受けるモデルがこのジェイドだったはずです。よって単なるストリームの後継車種ではないわけですが、ファンには「価格はオデッセイで、スペックはストリーム」じゃねーか!!と判断されてしまったかな・・・。

  私も「ジェイドは売れるんじゃないの!?」と思っていました。先代までのオデッセイを連想させるスタイリング。いやそれをさらにアグレッシブに進化させたデザインは、世間で評判の良いメルセデスやマツダ、あるいはホンダ・ヴェゼルなどと並ぶくらいに「優秀」だと思うんですよ。下の動画でも担当開発者が自画自賛してますが、おっしゃる通りですねー。先代のオデッセイからして非常に完成度の高い個性的なスタイルでしたが、さらにこのクルマに影響を与えたと思われるのが『シトロエンDS5』。

  うーんちょっと暴言まじりに好き勝手語りますけど、ホンダの開発者は先代モデルのストリームでもオデッセイにもなかった『キャプテンシート』にこだわったみたいです。ホンダが絶好調な軽自動車で人気の後部座席スライド機構が頭にあったのかなー。ミドルクラスの普通車と軽自動車では、さすがにイメージが断絶していると思うんですよ。Nボックスとジェイドをつないだのが・・・シトロエンDS5だったんじゃないか? シトロエンDS5にキャプテンシートは採用されているわけじゃないんですけどねー。

  同時期に開発されたであろう現行オデッセイは、トヨタのラウンジシートに対抗してフルフラットにもなるオットマン機能付きの『キャプテンシート』にこだわりを見せてます。しかしジェイドの2列目はそれとは全く違うレベルで、あくまで軽自動車のように足元スペースを広げる狙いです。軽自動車でも十分に広いのに、300万円近くするミドルクラスの普通車が狭かったら話にならない!!ってことなんでしょうね(当たり前ですが)。そして内装やらスペースの使い方やらをトータルで考える中で、イメージが重なったのがどうやらシトロエンDS5だった?(下の映像は似た雰囲気出てますね)


 

  ちょっとホンダに対しての悪口になってしまうかもしれないですが、先代オデッセイよりも150mm短いサイズに3列を押し込んで「同等のクオリティ」を狙うことにそもそも無理がありそうです。頑張ってインテリアを綺麗に作っているんですけども、当然に問題になってくるのがシートレイアウトです。それを2列目のスライドシートで解決しようとしたものの、結果的にミドルクラスの普通車にとって重要な要素になっている「高級感」が十分に上手く表現できていないのかも。動くシートの『軽さ』とサイドウインドーが気持ち大きすぎで、包まれ感が好きなユーザーにはちょっと不満かも。ユーザーはジャンルを超えて、CX5やハリアーなどと比べるわけですから。

  「走り」「個性的なスタイル」「やすらぎの空間」・・・欲張り過ぎってことはないですけど、開発者の頭にはホンダ内外のトレンドがギッシリ詰まっていて、いろいろ工夫を凝らしているし妥協する気もさらさら無いのもよくわかります。しかし出来上がった『ジェイド』とはどんなクルマ?と聞かれて、最初に浮かぶのは「6人乗れるクルマ」。うーんこれは無念でしょうね。『走り』を厳正に判断するならば、FF車同士ならどのドイツメーカーにも負けてないですから。BMWの2シリーズ・アクティブツアラーなんぞ買うくらいならこの『ジェイド』の方がよっぽどいい。そもそもBMWのFFってホンダのノウハウをローバーから受け継いだものですけどね・・・。

  さてこの『ジェイド』ですが近々予定されているビッグマイナーチェンジによって、5人乗り2列シートを追加して『走りのワゴン』として出直しを図るみたいです。タイミングとしてもシビックの発売時期に重なるので、1.5Lターボも現状の150psから174〜205ps版へスープアップしたりしないのかなー。しかし2列シートにしてしまったら、欧州で販売しているシビック・ツアラー(ワゴン)とほぼ同じだな。だからツアラーは日本に来ないのかな?



  日本のカーメディアではなかなか「ホンダ vs BMW」という対峙は見られないのですが、アメリカの雑誌ではしばしばライバル関係として持ち上げられます。四輪車に関してはホンダは後発メーカーなのですが、北米で先に存在感を発揮して現地生産を始めたのはホンダ。さらにVtec機構による高回転高スペックを実現して世界を驚かしたのもホンダ。そしてホンダに対してバルブトロニックを開発して対抗したのがBMWです。ホンダというと軽自動車やコンパクトカーばかりが売れてますけども、上位モデルは間違いなく世界の有名ブランドと互角以上に戦えるモデルばかりで、その出来栄えはどうもBMWをかなり意識しているんですよ。

  惜しむべくは先代まで圧倒的な『走り』の質と普及できる価格に抑えたエンジニアリングで、成長を続けるホンダの象徴だった、4輪DWBのアコード&オデッセイの時代が終焉してしまったことです。同じく4輪DWBを配するBMWの上級セダン(5/7er)に対抗するレジェンドはもちろんそのままですけども、ミドルクラスのアコード、シビックそしてこのジェイドは、BMW3シリーズと同じクラスのサスペンションに格下げされています。セダンに関しては意図的に車格を上げてシビックは3シリーズに相当するクルマになりました。上級グレード『Si』にはBMW・Mスポのような電制サスペンションがついたり、BMW・MのようなLSDがつけられたりしています。

  そしてジェイドに相当するモデルが『3シリーズ・グランツーリスモ』です。どちらも上質な走りとゆとりあるキャビン空間を狙ったモデルですが、FFの4650mmとFRの4825mmの2列目の快適性を比べると、これが結構いい勝負になります。どっちも『親孝行なクルマ』として十分に満足できますよ。320iGTをレザーシートで見積もってもらうと大まかに550万円くらい。ジェイドRSを本革シートやハンドグリップ4つに革巻きなどの上質装備を加えて見積もると値引きなしで340万円くらいです。排気量で100万円。ブランド料で100万円。どっち選んでも『家庭的でいいクルマ』だと思いますね。結婚する気がある独身貴族もコレにしておけ!!


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↓265万円のRSです。タマ数少ないからちょっと高めですね。
  

  
  

2017年5月17日水曜日

ホンダ・オデッセイ 「理念のクルマから、納得のクルマへ」

  F1参戦中のホンダの評判が悪いです。まあ実際に弱いから仕方のないことですが、エンジンを供給するマクラーレンやそのマシンに乗るフェルナンド=アロンソからの批判や皮肉がF!開催ごとに同じような内容で日本のメディアから報道されていて、「またかよ・・・」と報道以外にも意図があるんじゃないか?なんて気分にさせられます。あれ?WRCのコルシカ(4th)、アルゼンチン(5th)でヒュンダイの前に手も足も出ないトヨタへの批判はあまり見かけないよなー。なんだこの扱いの差は!?

  1970年代に最後方から一気にごぼう抜きをして躍進、二輪工場がアメリカにあったことから、真っ先にアメリカで四輪車の製造を始め、トヨタに先行してアメリカ地盤を築きます。レクサスよりも先の1986年に高級車ブランド「アキュラ」を北米に設置しているなど、日本ではあまり知られていない実績を積み上げた結果、創業者の本田宗一郎はアメリカ自動車産業の「殿堂入り」を果たしています。

  誰の目にもトヨタやヒュンダイの北米戦略はホンダの模倣だと思うのですが、ヒュンダイはホンダのパクリと言い放つのに、トヨタをホンダのパクリとは誰も言わないのはなぜなの!?(今更ですが)これがメディアの力ってやつなんですね。なんでニューモデルマガジンXは今も「フィット・リコール事件」を追い続けるのか? 確かに「日本車ならば安心」という信頼を根底から崩壊させかねない出来事だったとは思いますけどねー。

  さらに不可解なのが、ホンダがここ数年力を入れている軽自動車に関しては非常に評価が高いことです。「ホンダは軽自動車をつくるのがちょうどいい。」・・・そんな意識がカーメディアに蔓延している? そしてそんな評価をホンダが自ら受け止めて、逆手にとって利益を獲得しているように見えなくもないです。日本人は「軽自動車のホンダはすごい!!」と言いますが、北米や欧州で軽自動車を販売しているはずもなく、世界ではホンダの中型の3モデル(アコード、シビック、CR-V)で、大半の実績を稼いでいるんですけどね。

  軽自動車のない世界のホンダにおいてボトムを担うフィットにしても「安いクルマ」というイメージがありますけど、スズキ、VW、ルノー、フィアットが参入するインド市場(50万円市場)には参戦していません。VW、ルノー、フィアットは日本で販売活動を活性化させていますが、少なくともインドで1台売るよりも4倍以上(200万円以上)の売り上げが確保できる日本市場はまだまだ捨てがたい魅力があるようです。ホンダにとっては主力の中型車がなかなか売れない日本市場はしんどいみたいです。フィットとヴェゼルはよく売れているのですが・・・。

  日本に導入されている中型モデルは、プラットホームベースでは現状はアコードのみです。オデッセイ、ジェイド、ステップワゴンそして新たに導入されるシビックtypeRは、VWのMQB、トヨタのTNGAと同じようなホンダの小型車汎用プラットホームが使われているようです。面白いことに、北米向けシビックと日本で新たに作られるシビックはアコードと同じ中型車シャシーになります。なんと紛らわしいことでしょう・・・。

  北米展開されている中型車プラットフォームは、各ジャンルで北米NCAPで頂点を取っているので、安全性は太鼓判です。日本ではスバルが安全だと思っている人が多いようですが、北米での成績は圧倒的にホンダ!!次がマツダ。この2メーカーが際立っています。ホンダの魅力ってここじゃないの? しかし小型車プラットフォームで作られているフィットやフリードも、JNCAPを見るとプリウスやVWゴルフといったライバルメーカーに対して優位だったりします。MQBやTNGAを使うモデルに比べて、フィットはレベルが低いかのように捉えられていますが、エンジンや安全性などを吟味すれば150~200万円の価格設定は妥当ですし、性能面でなんら劣ったところはないです。

  その「小型車プラットフォーム」を使った最上級車が現行のオデッセイです。先代まではアコードと同じシャシーを使っていたのですが、アコードの「大刷新」のタイミングで、エリシオンとオデッセイを統合するという「ファン不在」の改革が断行されました。なんで「大刷新」で「ファン不在」かというと、先代までのオデッセイはホンダの技術の「塊」みたいなクルマだったんですよ。Vテックと4輪DWBを装備したオデッセイとアコード。こんなの出されたら他のメーカーはもう手出しができないですよ。ホンダの成長戦略において大きな意味があった「ハイテク」でした。これをベースに車体を拡大してSH-AWDを組み込んだものが先代レジェンドでした。

  Vテックとはエンジンに付随する吸排気システムです。これを原動力にホンダはロングストロークエンジンをフェラーリなどに匹敵する9000rpm。もちろんフェラーリはショートストロークですから、これ結構すごいことです。世界の一流メーカーはこのホンダに勝つために極限までシリンダーのピストン速度を上げます。アウディ、BMW、アルファロメオ、トヨタ(ヤマハ)の4グループがVテック対抗の高回転化に挑みましたが、結果的には泥沼の消耗戦に突入し、リーマンショックがそこに襲いかかります。

  ホンダとしてもこれ以上の高性能化は先が見えないですし、多額の開発費をかけても搭載するモデルが北米でも日本でもせいぜい300万円前後のアコードとオデッセイですから、もはや創業者から引き継いだ「理念」や「ロマン」だけで続けることは無理だったのだと思います。「ホンダ1300」以来、あらゆる市販モデルの頂点は「ホンダであるべき」という伝統は、700万円するレジェンドに引き継がれました。北米中型車プラットフォームでも4輪DWBを諦め、エンジンも1.5Lターボへとシフトしていて、頂点ではなくて合理的に市場のライバル関係を見据えた設定へと変わっています。

  その中で、日本&欧州向けの小型車プラットフォームへと振り分けられたオデッセイですが、2L級のVテック自然吸気が残る唯一のモデルで、HVにはアコード用の2Lの2モーターシステム(i-MMD)が搭載されています。またまたややこしいですね。とりあえず乗ってみるとアコードの方がいくらか静かでハンドリング・加速性能に優れていますが、これはシャシーというよりボデータイプによる差かな?と思います。

  トヨタのTNGA新型車であるC-HRの売りの一つはザックス製ダンパーですが、オデッセイは2013年からすでにザックス採用しているんですけどねー。ザックス大好きな国沢さんですが、オデッセイにはなかなか言及してくれないですねー。ちょっと前にカーメディア業界を揺るがす大騒ぎになりましたが、やっぱりVWやトヨタから何かしらの依頼を受け取っているんでしょうか?

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↓Vテック&4輪DWB時代のアコード最終モデル。163万円でBMWを圧倒します。
  

  

  

2017年5月9日火曜日

日産マーチ 「このブランドにとって車名はどんな意味があるの!?」

  海外サイトでは新型マイクラ(マーチ)のレビューが次々出ていますが、現状ではフランスのルノー工場のみでの生産になっているようで、日本市場に入れようという考えはないようです。現行マーチはタイ工場の生産モデルが日本向けにも充当されていますが、成長著しいアジア市場もこのモデルで飲み込むべくタイ生産も遅滞なくFMCかな?と思ってましたが、どうやらアジアは後回しにされたようです。日本市場では目下のところノートe-POWERが大ヒットしていて、200万円もするコンパクトカーがバカ売れしているという世界でもまれな「確変」状態なので、しばらく知らんぷりをしているつもりでしょうか?

  ジュークやキャッシュカイといった新型SUVを日本と欧州で同時に仕掛けたら、圧倒的に欧州でウケた!!しかし日本ではスベりまくった!!そんなトラウマのせいか、完全に「アンテナ市場」としての日本を信頼しなくなった日産。欧州や北米で予想外に好評のQX30や、Q60を頑固として日本では売らない!! そりゃあれだけ3世代のスカイラインをボロクソに言われ続けて、あまりにも露骨に冷淡な日本のカーメディアとそれに安易に誘導されてしまった、車の良し悪しすらもわからない「無能」なユーザーには、確かにお灸を据える必要があるわけですけど。

  いつだったか?現行のスカイラインをブログで絶賛したら、オウム返しのように「独特な感覚の持ち主ですね」と、ドイツ車ユーザー(自称)という圧力団体の構成員から完全に上から目線で揶揄されました・・・終わってんなーと思いましたね。そりゃE90ユーザーから見ればスカイラインの完成度は異次元かもしれないですけど、フェアに考えてありえねー(いらねー)のは・・・E90の方だろ。ドイツ車と南アフリカ車の区別もつかない輩には、栃木車の良さなんてわからねーだろーよ。




  そんな日本市場に対して冷淡でやや「へそ曲がり!?」な感じの最近の日産。この新型マイクラはデビュー間もないですが、英国でもドイツでもすでに大人気なようです。今やルノー日産は、ロシアメーカー(アフトヴァース)や三菱の買収による規模拡大ももちろんありますが、いよいよグループ全体で年産1000万台とともにトヨタ/VW/GMの背中がはっきりと見えるほどに急成長中です。もはや日本市場なんかにいちいち構ってられないようですね。

  非常に合理的だと感じるのは、SUVやコンパクトカーなどの「実用車」に関しては主に欧州のメディアを通してブランディング展開しますが、GT-RやフェアレディZ、ルノースポールの各モデルや、ルノー傘下で復活を果たすアルピーヌA110といった、歴史を刻んできたスポーツカーは、「世界一の高齢化率」を誇る日本で展開するなど、非常に巧妙です。年内に噂されるファン待望の「シルビア後継車」は日本で真っ先に発売されそう・・・。なんともステレオタイプなマーケティングにちょっとイラっとしますね。

  新型マイクラですが、某英国メディアでは多少は厳しい評価もされていました。新型マイクラと同クラスの「VWポロ」「シトロエンC3」との3台比較では、なんと屈辱的な最下位の評価に・・・。兄弟車のルノー・クリオ(ルーテシア)はローレンス=ヴァン・デン・アッカー(元マツダ)をデザイナーに迎えて新デザインになってから、本国フランスではナンバー1ヒットを独走するシリーズに成長しました。しかしどうもイギリスメディアからはあまり芳しい評判ではなく、新型マイクラの評価にもその影響がいくらかあったように思います。

  詳しく比較レビューを読んでみると日産が新しく取り組んだ0.9L直3ターボの出来栄えがいまひとつなんだとか。VWのエンジン(1.2L直4ターボ)の出力はキャッチアップしたものの、排気量が小さいゆえにトルクは不足気味。そして渾身の新型エンジン(1.2L直3ターボ)を搭載してきたPSAグループのシトロエンC3には、スペック面で格負けしている!!とのことです。イギリス人ってのはさ・・・計算が苦手なのかな!?

  このクルマは先代マイクラ(4代目=現行マーチ)の欧州での存在意義である「日産のエントリーカー」という立場を引き継いでいません。2010年に登場した4代目マーチは、日本に続いて英国工場でも間も無く生産中止に追い込まれ、生産ラインをジュークに明け渡しました。日本向けマーチはタイ工場、欧州向けマイクラは先代まではインド工場で生産されていましたが、日産はこれらのアジア地域では「ダットサン」ブランドを新たに展開していて、4代目マーチをベースに、その後継モデル(派生モデル)として「ダットサンGO」と「ルノー・パルス」(パルサーじゃないよ!)がすでに生産されています。



  ルノー・パルスは日産マーチのデザインがそのまま流用された「ルノーブランド車」みたいですね。2013年発売でこのデザインなのですが、昨年の暮れに慌ただしく発売された某メーカーの同クラス車にもなんだかよーく似てます(これはやったな!?)。そのまま欧州に持って行っても売れそうな感じですけども、ルノーにはメルセデスと一緒に作ったトゥインゴがあるので、現状ではインド専売になっているみたいです。実は2012年にもEU-インド間のFTAが発効する見通しだったのですが、なんと交渉がまとまらずに現在に至っているのですが、どうやらルノーと日産の目論見が外れたみたいですね。

  予定通りならば、ダットサンGOとパルスを欧州へ入れる。そして欧州の4代目(先代)マイクラはお役御免になり、新たに日産が全力を挙げて「欧州向けBセグスポーツハッチ」として生まれ変わる!!フィットをパクったようにキャビンが大きくて実用性の高さを見せるノートと、スポーティなデザインと高性能エンジンの搭載にも耐えられる新型シャシーのマイクラの2本立てで、EU圏で非欧州系ナンバー1ブランドを狙う計画だったんですかね。

  誤算があったのかもしれないですが、とりあえず5代目となる新型マイクラは、デミオ、スイフト、そしてWRC参戦のヤリス(ヴィッツ)に続く、本格派の日本勢スポーツハッチの第四弾!!といった扱いになったようです。欧州的な走りをするBセグ車の中核を担うポロ、フィエスタ、208/c3に対抗できるモデルへと変貌を遂げたました。4代目は、5ナンバー幅ギリギリですらなく、さらに一回り小さいAセグ(マイクロカー)扱いだったのが、ライバルに伍して一気に3ナンバー幅にまで拡大しました。

  年内にもトヨタが欧州で製造を予定している「ヴィッツGRMN」には、ロータスに供給している1.8Lスーパーチャージャー(220ps)が搭載されるようです。これに対して日産もほぼ同時期頃には、フランス?で製造される「マイクラNISMO」には、欧州ジュークターボに限定設定されている1.6L直6ターボの220psバージョン(ルーテシアRSにも使ってますね)を搭載して、ガチンコの「ホットハッチ対決」が、とうとうトヨタと日産の間で起こるのか!?現状ではMINIジョンクーパーワークスがBMWの2Lエンジンを231psで搭載してますが、車重は1280kgもあります。これが1100kg台で実現したら・・・世界中の公道がアクティブになる!?2013年に発売されたマーチNISMO・Sは1.6L(NA)で187万円でしたけど、この危険な香りが漂う「マイクラNISMO」は限定発売になって、MINI・JCWと変わらない400万円近くもぼったくるのかな!?

  ルノー日産の急成長は、想像を絶するペースで進んでいますが、これを警戒するトヨタは系列サプライヤーのアイシンAWの横置きATを、VWやPSAにも提供していて(すでにルノーにも供給)、欧州や周辺地域での大きな市場変動を抑え込もうという狙いがあるのかもしれないです。・・・トヨタと日産は、日本のBセグ市場で見事な大ヒットを記録した「アクア」を日産が執念で投入した「ノートe-POWER」でこちらも見事に撃ち落とすなど『熱い』です。この2メーカーが争うことが、自動車産業全体にとっても価値あるイノベーションになるはずですが、欧州で実績を築いてきたマツダやスズキを踏み潰す結果になる可能性もあります。

  スイフトやデミオ(フィエスタの兄弟車)が頑張ってきた市場に、規格外の巨大グループが2つも参入してくるなんて!!PSAとボクスホール/オペルも統合を果たして、巨大欧州系グループが出来上がりましたし、VWはまだまだ元気・・・マツダとスズキの今後がちょっと心配です。そして日産は日本市場でそのような判断を下すのか!?4代目マーチの販売が激減した理由は、3代目マーチみたいな個性的と言える「可愛いデザイン」ではなくなったことと、MTを廃止して注目度が一気に下がったことにあるわけですから(タイ生産はあまり関係ないと思う)、マーチの後継がマイクラになるのかダットサンGOになるのかわかりませんが、NISMO以外のベースモデルでもMT復活を期待したいですね。両方入ってきたら車名はどうなるんだろう!?


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