2014年12月9日火曜日

レガシィB4とアテンザはレクサスを圧迫するか?

  近所を歩いていたら年配の女性が運転するプジョーRCZが目の前を通っていきました。アンバランスといったら失礼になりますが、ド派手なエクステリアとどこにでもいるような「おばあさん」の組み合わせには反射的に違和感を受けました。しかしこのプジョーRCZは日本の若者には全くと言っていいほど人気がありません。割高な車両価格はもちろんですが、その他にも若者がイメージするクルマ観とはいろいろな面で大きく乖離したクルマです。

  RCZは先代のプジョー308をベースに開発されたスペシャルティ・クーペですが、開発時期が欧州経済の低迷期と重なったせいか、エクステリア以外のほとんどの部分はベース車からの流用品で間に合わせています。バブル期以降のクルマしか見ていない若者の多くは、ブランドの上級モデルの内装は洗練されていて当たり前だと思っていますから、プジョーの先代までの慎ましい内装を見ると、「安っぽい」という印象すら受けかねないでしょう。カーメディアがさかんに煽る「高級感」とやらからは取り残されているのがRCZの立ち位置と言えます。しかし高度経済成長期から日本経済の発展を見て来た年配の方からしてみたら、クルマの進化の段階を懐かしく思える「いい感じ」のモデルになるのかもしれません。

  プレミアムブランドしか受け入れられなくなった「バブル世代」(60年代生まれ)と、プレミアムブランドにすら大して興味を持てなくなった「ジェネレーションY」(70年代後半〜80年代生まれ)と呼ばれる世代は、なんというかどちらもあまりクルマを楽しめていません。バブル世代は「メルセデス・BMW・アウディ」を購入することに疲れを感じ、Y世代はクルマを所有するハードルすら超えようとしなくなりました。一応Y世代の私もやはり「クルマはオワコン!」という同世代が持つ感情をヒシヒシと感じます。私の狭い了見で恐縮ですが、そんな鬱屈した日本市場でプジョーRCZのようなクルマを喜んでくれるのは、やはり高齢者だけなのかな?という気がします。

  先日スバルから新型レガシィB4が発売されました。このクルマはここ数年であれよあれよという間に北米で大人気のファミリーセダンになりました。いわゆるカムリやアコード路線のクルマです。この手の売れ方をすると本国・日本ではなぜか冷遇されるケースが多かったりするのですが、このレガシィB4も例に漏れないようで、早くも評論家のレビューから「文句言いたいけど自重」の空気をプンプン感じます。一体このクルマに何を期待しているんでしょうか!?まあいろいろ意見はあるとは思いますが・・・例えばスバルのトレードマークだった「ボクサーターボ」が廃止されたことに対する憤りなどがあるようです。

  しかしですね・・・、この新型レガシィB4の日本仕様はなかなかの意欲作ですよ!まずデザインを「やや地味だな・・・」という辺りに落とし込んでいるのがいいですね。今回のスバルは肩の力がしっかり抜けていることが伺えます。それでもしっかり押える所は押えています。目を引くのが全車パワーシートと前後シートヒーター標準装備です。もはや「レクサスISや3シリーズはハナから相手にしてません!狙うはEクラス・GS・フーガです!」と高らかに宣言しています。フーガは来年1月のマイナーチェンジで全車標準になりそうですが、レクサスGSではversionLにしか設定がないリアシートヒーターですよ!ISや3シリーズに至ってはオプションにすら設定がありません(DIY派は3シリに自ら施行するらしいですが・・・)。レガシィB4が狙う北米市場で、アメリカンラグジュアリーの雄として君臨するキャデラックCTSだって最上級グレードだけの特別装備です。ファミリーセダンにカテゴライズされるレガシィB4がしたたかに下剋上を仕掛けているわけです。

  このレガシィの動きにマツダは直ちに反応したようで、アテンザが1月にMCを迎えてLパケにオプションながらもリアシートヒーターを付けてくると報じられました。これはMCを待つことを選んだアテンザ購入予備軍の方々にはなかなかの朗報だと思います。レクサスISも来年のMC(大規模な年次改良)で追従してくるとは思いますが、現状ではIS350Fスポにフルエアロで総額760万円もするのに、ペラペラのドア、足踏みサイドブレーキ、リアシートヒーター不可と買う気が失せるポイントが出てきます。レガシィやアテンザ(MC後予定)の400万円そこそこの2台にあれこれと下剋上されてしまい、発売当初はかなり興奮しましたが今ではあまり良いイメージが持てなくなってしまいました。まだ発売してから1年半しか経っていないことを考えると、トヨタとレクサスがどれだけ慌てて作ったのかがなんとなく見えてしまいます。まあMCで追加してしまえばいいわけですが・・・。

  レクサスはRCみたいな派手なクルマで評論家に愛想振りまくのもいいですが、主力のISの総合力をもっともっと上げてほしいものです。結局クルマを買ってくれるのは高齢者だから、彼らが喜ぶような2ドアでスポーティで、内装はISのものを流用というトヨタの「鉄壁のマーケティング」に反論の余地は無いかもしれないですが、RC-Fなんて誰が900台も買ったんだろう?とふと気になったりします(もちろんイイ車ですけど!)。まさかトヨタグループのスバルの新型車によってレクサスの恥部が見えるようになるとは思いもよりませんでした。レガシィもアテンザもフーガも各メーカーの重役が使うクルマということで、自然とまともな装備が備わってくるようです。一方トヨタのエクゼクティブはISではなくGSに乗るのでしょうね・・・きっと。


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