2016年3月25日金曜日

スパルタン・ファミリーカー対決  エクストレイルvsオデッセイ

  日産のSUVと言えば「エクストレイル」。ホンダが誇るピープルムーバーは「オデッセイ」。どちらも誕生以来それぞれのジャンルでその名を轟かせた「名シリーズ」で、熱烈なファンも非常に多いです!なんといっても歴代モデルはどれも「男らしさ」を存分に表現するなど日本車としては独特な存在感を放ってきました。そんな個性派キャラのおかげで一般認知度も高く、それぞれ10年以上前から日産・ホンダの代表的なモデルでした。当初の濃いキャラから考えると、・・・かなりの変遷を経て今に至っています。

  途中の歴史とかメンドクサイのですっ飛ばしますが、「エクストレイル」は北米と日本でのRV車ブームの中から誕生し、頭カチカチの日産エンジニアが悪路走破性などを追求し世界最高レベルの性能を持つSUVへと瞬く間に育て上げました。その後「コスト=カッター」と呼ばれたカルロス=ゴーンが社長に就任すると、エクストレイルの開発費があまりにも高騰していることに驚き、担当者を呼び出してあれこれ聞いたそうです。担当者から「川を渡る時に発揮される世界最高の装備」といった「?」な機構に湯水の如く開発費を注ぎ込んでいたことを聞いて心底呆れ果てたのだとか・・・。

  現行のエクストレイルは、先代までのやたらと武骨なエクステリアから、いきなり大人しいスタイルに変わりました。厳密に言うと、北米・日本向けのエクストレイルは廃止となり、欧州でナンバー1セールスを記録したSUVのキャッシュカイ(デュアリス)と統合された後継モデルが「エクストレイル」として販売されています。相変わらず「新技術」が大好きな日産は高重心のSUVを安定して走らせるトラクションコントロールを新たに投入しています。

  スイスの「アルペンパノラマルート」やアメリカ・コロラドの「パイクスピーク」みたいな山岳ルートを100km/h前後で駆け抜けられるだけの高い操安性を備えたSUVが欧州でも北米でも人気になっているみたいです。日本車の中では「マツダCX5」と「エクストレイル」が現地のカーメディアからも非常に高い評価を得ていて販売が好調です。「山岳ルートをSUVが100km/hで駆け抜ける・・・なかなか日本では想像できないですが、日本でも未舗装の車道を抱える自治体(長野県川上村など)のHPでは「SUVでの走行を推奨します!」など書いてあったりします。

  日本では主要な観光道路はバスが入れるような整備がされていますから、欧州や北米のようなSUV需要は盛り上がりにくく、むしろコンパクトカーの代わりとして使えるような街中だけを走る「都市型SUV」が人気です。自然とふれあうにも、日本ではほとんどの生活圏へはバイパス=アクセスが発達しているため、未舗装林道などはひとたび自然災害に見舞われても、生活圏の影響がないルートに関しては長期間閉鎖されていたりします。さらにマイカー規制なんかも多いです。東京都の人口50万人を擁する八王子市近郊でも数ヶ月以上も通行止めのままの街道があります。SUVが無いと通れない!というような必然性はほぼ無いかな・・・。

  一方で「オデッセイ」はというと、欧州でも北米でも成功したピープルムーバーの代表的なシリーズです。こちらは山岳ルートではなく、ホンダ自慢の低床プラットフォームを使ったアウトバーンを走るための7人乗りです。「3列なのにBMWのような乗り味」と海外でも絶賛されてましたし、日本でも初代の発売直後から爆発的なヒットを遂げました。「日本人はあまりクルマに走りを求めない」とかバカなことを言っている人々(プロ、アマ問わず)がたまにいますが、「初代オデッセイ」や先ほどの「CX5」など、「走り」に定評があってかつ、ユーティリティの高いクルマはほぼ例外なく大ヒットするんですよね。なんだかんだみんな試乗して納得して買っているようです。

  「エクストレイル」も「オデッセイ」も現行ではすっかりファミリーカーです。どちらも待望のHVが用意されましたが、そもそも山岳ルートやアウトバーンをノンストップで駆け抜けるクルマにハイブリッドなんて全く意味はないです。HV化されたということは、いよいよ日本式ファミリーカーとして、家族全員で街道沿いにある大型量販店に出掛けるクルマとして新しいマーケットを目指しはじめたということです。ホンダによると2月に仕切り直しでHVが追加されたオデッセイですが、1ヶ月で約9000台の受注が来るなど好調のようです。そしてHV率はやはりというべきか・・・70%超だとか。

  さらに全体の9割以上がアブソリュートを選んでいるようです。これは「専用シート・18インチホイール・エクステリア」のセットオプションになっていて、HV&アブソリュートだと本体価格だけで400万円ですが、これが一番の売れ線!!!400万円ならば輸入ブランドの3列ミニバンもVW、BMW、シトロエンなどどれでも選べるわけですが、やはりファンが多い「オデッセイ」ですね。さすがです!

  エクストレイル(キャッシュカイ)も先日のジュネーブMSで「プレミアム・コンセプト」が公開されました。ナッパレザー(ホワイト塗装仕上げ)でシートやトリムを仕上げてあります。いわゆる最近の日産が得意な「ホワイト」な内装です(スカイライン&シーマの クールエクスクルージブは違う素材だけど)。さらに日産の公式ページにも「週末をアルプスやピレネーで過ごすアクティブな人々に向けて」と書かれてましたが、日本でもそのイメージのままでプロモーションを展開してほしいです。日本での発売があるとしたら、日産はいつも弱気なので300万円台半ばくらいでしょうか?

  100万円台でも3列のプチバンが買えますし、200万円ちょっとで納得のサイズの5ナンバーミニバンもたくさんあるのに、ちょっと豪華なオデッセイやエクストレイルが日本のユーザーに支持されているのはとてもいい傾向だと思います。まだまだ他のメーカーにも「アウトランダー」や「エクシーガ・クロスオーバー7」など「新しいファミリーカー」競争に精力的に参入しています。トヨタにもベストセラーの「エスティマ」がFMCのタイミングを伺っています。ミニバンの廃止が報じられたマツダですが、いよいよ2.5Lターボの「CX9」を日本に持ってくる?


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2016年3月21日月曜日

マツダの決断!? プレマシー終了との報道。

  日本市場で一部のユーザーから「コア」に愛されていたプレマシーが姿を消すことになりそうです。同クラスのミニバンなんていくらでもあるから影響はない・・・とはいえ、国産最強レベルのハンドリング・ミニバンの突然の終焉にショックを隠せない人も少なくないはずです。メルセデスやBMWのFF車に乗っていて「やっぱり欧州車はハンドリングがいい!」とか周囲に噴いている人に、「プレマシー!」と冷や水を浴びせる「ネタ」が無くなってしまうのは、私のような日本車大好きな輩にとっても痛いですね・・・。

  「(マツダが目指す)高級車ブランドにミニバンはいらない」とやや乱暴気味に専決されたとは思わないですけど、トヨタやホンダがすっかり市場を独占したプチバンの「商品性の高さ」(低価格&パッケージ性)によってマツダのミニバンは閉め出されつつあるのも事実です。アクセラベースのプレマシーが、デミオクラスのBセグをベースにしたプチバンに負ける・・・というのは完全なる「市場構造上の敗北」です。マツダにとって悔しいのは、プチバンが未だに国内専売モデルにとどまっていることで、オール・グローバルのマツダには手も足もでないジャンルです。

  プレマシー(マツダ5)ももちろんグローバル車ですが、元々は欧州市場を狙ったマツダの戦略車で、エスティマの前にに敗れさったMPV(マツダ8)を価格面で補完するためのクルマでした。しかし1999年の初代デビュー以来17年が経過し、ミニバンのマーケットもマツダの当初の狙い通りでは無くなったことで、プレマシーとMPVの次期モデルの開発を凍結するのはある程度は致し方ないとは思います。プレマシーが当初想定していた欧州市場は「成長性」「関税」「円高」「輸送コスト」などマツダにとっては厳しい条件を揃っていて今後の見通しが立ちません。それでは他の市場は・・・!?、残念ながらアメリカや中国ではもっと大きなサイズのミニバンが好まれ(MPVが下限?オデッセイはわざわざ日本とは違うサイズで売ってました)、日本では逆にシエンタのようなもっと小さいサイズの販売が伸びています。「帯に短し、たすきに長し・・・」

  個人的に惜しいな・・・と思うのが、「マツダのミニバン開発」という仕事が見れなくなることです。マツダのラインナップは「セダン/ワゴン/ハッチバック」「コンパクト」「SUV」「ミニバン」「スポーツカー」の5部門に分けられますが、ライバルと比較したときに、どの部門が最も「マツダらしさ」を出せていたか?と考えると、断然に「ミニバン」だったと思うのです。ちなみに順位付けすると「ミニバン」「スポーツカー」「コンパクト」「セダン/ワゴン/ハッチバック」「SUV」です。・・・上位3つはそれぞれにいい仕事している!けれども下位2つはどうもダメですね・・・もしディーゼルが無かったら商品として成立するのか?それすら危ういレベルだと思いますよ。

  裏を返せば・・・下位2つで売り上げ全体の8割以上を占めるわけですから、開発者はどうしても慎重にならざるを得ないということだと思います。アテンザもアクセラも決して悪くはないのですけど、このクルマを所有する理由を聞かれたら、ちょっと返事に窮すると思います(魅力がわかりにくい)。ネットリでゴリゴリした感じのディーゼル車の乗り味は、やっぱり愛車するにはちょっと躊躇いがあります。かといってガソリンモデルを試してみると、
 「2.5Lのアテンザは『クルーズカー』にはちょうどいいかな」
 「2Lのアクセラは『GTカー』としての汎用性は魅力だけど、3人以上で使うには狭い」
乗ってみて気になるポイントが、結局トヨタやアウディと同じなんですよね。

  「プレマシー」「ロードスター」「デミオ」はマツダらしい「フォロソフィー」がド素人にでもわかるレベルで詰まっているクルマです。最初からそれほど売れるなんて思っていないからでしょうか、なにかと思い切ったことを「やらかして」います。
 「Bセグにディーゼル積む」
 「オープンスポーツに専用シャシー」
 「BMW並みのマルチリンク装備ミニバンを廉価で売る!」
大手メーカーではどこもやらないことをズケズケとやります。そもそもこんな不採算部門を3つも保持していること自体がクレイジーです。スバルなんて、BRZこそトヨタと共同開発してはいますが、「ミニバン」「コンパクト」は既に廃止しています。

  アメリカ市場で成功を収めているスバルを見れば、プレマシー廃止は当然の成り行きなんでしょうけども、、を惜しむ声は多いようで、走りのミニバンとしての完成度圧倒的な定評です。VW、BMW、シトロエンなどが「走りのミニバン」を日本へ投入しはじめていますが、現状ではまだまだプレマシーが完成度で勝るでしょう(未確認ながら)。2010年に登場した3代目プレマシーのハンドリングはミニバンのレベルを超越していました。ラージサイズに迫るアテンザを「上質でスポーティ」だと唸らせるマツダの味わい深いハンドリングも、この車から始まったようです。

  BMWから3列ミニバンの「2シリーズ・グランツアラー」が登場したときに、なぜかカーメディアはプレマシーとの比較を避けました。円熟のプレマシーと出たばかりのグランツアラーではさすがに勝負は明らかですし、BMWを貶めるコーナー展開したところで、メーカー(BMW)からも読者からもブーイングは避けられません。後輪サスにインテグラルアームを採用した450万円のBMWと比べて250万円のマツダがどれだけ凄い走りをするか・・・日本のカーメディアには絶対にありえないテーマです(笑)。

  マツダにとってもBMWのミニバン参入によって、「切磋琢磨」できる環境が期待できたとは思います。もちろん経営判断が待った無しの状況ではあるんでしょう。(マツダの説明によると、年産250万台というマツダの生産能力の上限に迫っていて、メキシコ工場以外に新設するつもりはない、だからSUV作るためにミニバンをやめるとのことです)。それともいよいよミニバンに「まで」参入してきたBMWに対してマツダの幹部が幻滅したのかもしれません・・・。

  さてマツダの決断によって乗り換えのクルマが無くなってしまった、コアなプレマシー愛好家はどこへいくのでしょうか? オデッセイはゴツすぎる、ストリームはヤワすぎる・・・シエンタは論外。VWゴルフトゥーランは街中での使い勝手がDCTと固さでダメ。シトロエン・グランドC4ピカソが最もプレマシーに近い気もするけど100万円以上高くなる。そこで期待できそうなのが、トヨタのヴォクシィの次期モデルでTNGAを使って生まれ変わることが予想されていて、一気にアクセラに接近したプリウスの進化をみる限りでは、プレマシー的なクルマになる予感も。プリウスと同じで、シエンタとアルファードによって上下の需要が押えられているから「個性」が要求されるポジションではあります。思い切ってヴォクシィの開発をマツダに丸投げする・・・愛知産OEMの次期プレマシーってのもいいかも。

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↓最新のマツダ本で、プレマシーのハンドリングについてマツダ社員が自画自賛してるのに・・・やっぱり廃止?

  

2016年3月15日火曜日

プリウス独裁にアクセラは「待った!」をかけることができるのか?

  街中で見かけると「やっぱり少々マヌケかな・・・」そんな印象を振りまいているのが4代目となった新型プリウスです。「Cセグなんてどれもマヌケだ・・・」なんてシニカルな指摘もあるかもしれないですが、一応・・・新型プリウスを迎え撃つ側になった自称「走りのCセグ」なモデルが国産・輸入の各ブランドから発売されています。

  予想外だったのは、プリウスの対極にありながら、こんどこそ「走りのCセグ」の頂点へと登り詰めると思っていた、期待のフォード・フォーカスが・・・新型プリウスの無双ぶりを見て怯えたのか、日本から逃亡することになってしまったことです。残念ですね・・・。一説によると日本の新しい排ガス規制(2017年〜)が、フォードのエンジンには完全に逆風になっていることが原因だとか。この調子では・・・同じ路線で販売しているVWゴルフやプジョー308もフォーカスの後を追って撤退もあるかもしれません。

  ちょっと前まで、自動車メディアではあれだけ「先進的なダウンサイジングターボを日本メーカーも採用せよ!」と吠えてました。それに感化されたのか私の弱小ブログにも「ターボ化の流れは常識だ!バカもの!」・・・と本質には興味がない頭でっかちな自称インテリなオッサン?から幾つもツッコミを入れられましたよ・・・怖かったな〜・・。3シリーズ、ゴルフ(GTI以外)、Aクラスは全部ゴミだった!!!と正直過ぎる記事を書いた自分が世間知らずだったのは確かですけど・・・。

  それなのに!?なぜか真っ先に規制に引っ掛かって退場されられるのがガソリンターボです。一体どこが先進的だったんだ?と訊いてみたいですね。他にも先進のミッションとして当時話題だったDCTも、今ではかなり危うい立場へと追い込まれつつあります。CVTと比べて乗り味が一方的に悪いとは思いませんけども、ジャダーが抑えられない難点はついに解消されずじまいでした(結局コスト削減が目的だったんでしょ!)。「日本車も早くDCTにしろ!」とか迷言をほざいていた評論家は今頃何を考えているのでしょうか?

  「HVやCVTに乗るヤツは情弱」といまだにカーメディアが大合唱してたりしますが、トヨタが逆風の中で推し進めてきた「ハイブリッド&CVT」による「マトモなクルマ作り」がいよいよ20年目にして新型プリウスとして結実しました・・・そしてそれを苦虫をかみつぶしたような渋さでレビューするカーメディア連中(プライドを持てよ!)。そしてそんな時代の寵児プリウスの前に立ちはだかるクルマなんてあるのか・・・。規制によって締め上げられるダウンサイジングターボ陣営に勢いはなく、なんだかんだで「自然吸気&AT」という旧態依然のスタイルを維持したまま熟成されたマツダ・アクセラだけが対抗馬です。

  アクセラ・・・2013年の発売時にはかなりの反響があったのですが、翌年にはデミオが刷新されやや注目度が薄れ、さらに昨年の2015年にはCX3が発売されて、手頃な価格の1.5Lディーゼル車がマツダの中心になったことで、いっそう影が薄くなってしまいました。 ブランド内ではやや地味なクルマですけども、プリウスが進化の方向性として目標にしたのが、アクセラ、ゴルフの2台だったことが示すように、アクセラはゴルフと並んで乗り味から車体の剛性感に至るまであらゆる点での「清々しさ」が心に染みるクルマです。

  日本から撤退したフォードとマツダそしてボルボはかつては共同でクルマを開発していたこともあり、「フォーカス」と「アクセラ」と「ボルボV40」の3台は、源流の部分で繋がっています。また初代フォーカスによって欧州市場を席巻されたVWがフォードのエンジニアを引き抜いて5代目「ゴルフ」を作ったのは有名な話です。そのゴルフをベースにしているのが「アウディA3」で、ゴルフをベンチマークにしてそっくりに作ったと言われるのが「プジョー308」です。かつてはこれらのモデルがその乗り味の良さをアピールして、プリウスからユーザーを奪う!とかなり息巻いていましたが、立場は逆転しいよいよ防戦一方になりそうな気配です。

  さらにややこしいことを書くと、ゴルフの設計をコピーしたようなモデルを2000年頃にトヨタも作り欧州に投入しました(カローラ・ランクス)、それがオーリス/ブレイドへと進化し、その末裔といえるシャシーにプリウスのパワートレーンを乗せたクルマが「レクサスCT」です。このクルマはレクサスブランドにおいて欧州でもなかなか販売が好調です。さらにレクサスCTを越えるべく企画されたのが、アクセラのシャシーにプリウスから譲り受けたユニットを使った「アクセラHV」です。発売当初のマツダディーラーの売り文句は「レクサスCT」を越えた!でしたが、販売はイマイチ・・・。

  新型プリウスが「目からウロコの乗り味でした!」というのはあくまで先代のプリウスとの比較においての話であり、シャシーや車体剛性などの進化を認めるならば、すでに新型プリウスと同じ狙いを持った「レクサスCT」や「アクセラHV」が存在していたわけだから今さらに騒ぐのもちょっと違う気がします。しかしこの2台はレクサスやマツダにはあまり相応しくない「CVT装備車」としてブランドのファンから「禁忌」されるモデルだったことも確かです。レクサスやマツダがやっても全然ダメだけど、トヨタが同じことをやったら大絶賛・・・レクサスCTとアクセラHVの開発者は完全に貧乏くじですね。

  私も心当たりがありまして・・・アクセラHVをLパケ(280万円)で乗ろう!とは少しも思わなかったのに、プリウス・Aプレミアムツーリング(320万円)には、ちょっとだけ「ありかも!?」と惹かれましたね!!! 冷静にこの両者を比べれば、あらゆる面でアクセラHV・Lパケが優位ですから、買うならどう考えてもアクセラHV・Lパケです。たしかに新型プリウスはブレーキなどが先代よりも断然にマトモになりましたけど、アクセラHVは最初からマトモですから・・・。

  目には目を、HVにはHVを・・・。AプレミアムにはLパッケージを。・・・しかし慌てて決める必要がなければ、次期インプレッサの登場と、シビックの日本凱旋を待って検討したほうがいいでしょう。アクセラにもビッグマイナーがあるようですし、次期ルノー・メガーヌも意欲的なユニットを積んで日本にやってくると思います。FF化された1シリーズ・・・代わりにFR化されたジュリエッタなどなど、300万円台前半の攻防戦が激しくなってくれればいいですけど、日本に果たしてそれだけの需要があるのか・・・。


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2016年3月8日火曜日

プリウス が レクサスとトヨタを喰らう。

  「プリウス」は知っているけど「レクサス」は知らない。 クルマに興味がない人からしてみたらそんなもんらしいです。いくらクルマが高級でも度が過ぎれば、ブランドでもなんでもない・・・ブガティ、パガーニ、ケーニッグセグなんて誰も知らないですし、フェラーリやランボルギーニだって下手すれば「まず運転する機会がないブランド」という意味では「三菱ふそう」「日産ディーゼル」みたいなものです。(特別な人が運転するクルマなんて興味は無いです・・・)

  自動車メーカーが掲げる「商標」のなかで最も知名度が高いものはなんなのかな? もしかしたら!?いよいよ「プリウス」の知名度が「トヨタ」の知名度をも越えてしまったのではないか!? 他にも「ベンツ」「ホンダ」「BMW」「ポルシェ」などレジェンド級の「商標」はいくつかありますが、「車種名」でこれらに肩を並べるまでに至ったのは「プリウス」くらいじゃないかと思います。先輩格の「カローラ」の影がここ数年でみるみるうちに小さくなりました。

  トヨタではレクサス以外に4つの販売チャンネルによって日本市場では展開が行われています。「トヨタ」「トヨペット」「カローラ」「ネッツ」失礼ながら格式が高い順に並べるとこんなところでしょうか。恥ずかしながら大学生の頃まではトヨタ、トヨペット、カローラはともかく「ネッツって何?」くらいの認識でした。今の若い人にとっては「カローラって何?」なんじゃないかと思います。

  もし諸般の事情を考えなくてよいならば、「プリウス」という名の販売チャンネルを作ったらどうかな?と思います。「クルマはクルマ屋で!プリウスはプリウス屋で!」とかいうくだらない皮肉ではなく、「カローラ」に変わる新たなアイコンとしての地位を築いた「プリウス」を独立したブランドにすることで、一般の人々がクルマに対して抱いている「もやもや感」を振り払うきっかけになればいいと思うからです。

  ちょっと暴走気味に話をすすめますが、ブランドが持つ「もやもや感」ってのは営利企業にとってはなかなか無くせない要素です。「プレミアムブランドなのに、こりゃダメだ・・・」となってしまう部分だったり、走りにこだわった!と宣言している割に、案外な操縦安定性だったりと、いろいろなメーカーのいろいろなブランドから絶えず噴き出す難点・・・これがあまりにも多過ぎるとユーザーはやはり混乱しますし、その結果として「敬遠」します。もしくは「あんまりユーザーをバカにするなよ!」と反発します。

  そういうワケがわからないクルマが多い中で、「プリウス」はもっともユーザーの期待を裏切らないクルマだったと思います。その「完成度」「満足度」は、かつての高級車の代名詞「ベンツ」や、Vテックエンジンの「ホンダ」、スポーツセダンの「BMW」がブランド単位ではありますが、これまで築いてきたステータスに並ぶくらいにまで、「プリウス」はユーザーに対して正直なクルマであったと思います。

  「トヨタ」という商標(社名)からどんな具体的なイメージが得られるでしょうか? もちろん「安心の品質」くらいのニュアンスは十分にありますけど、そこから先なかなか魅力的なクルマのイメージをハッキリとは連想しにくいです。これは日本トップで世界トップであるトヨタゆえの悩みでもあるとは思いますが、それでも現在の社長は持てる力を総動員して「魅力あるクルマづくり」を推し進めています。その社長の肝いりで作られたと言われる「86」と「RC-F」が相次いで発売されましたが、知名度に関してはまだまだです。「プリウス」がここまで知られるようになるまでに約20年かかっていますから、この2台もあと20年根気強く作り続ければ、それぞれに素晴らしい「商標」になるとは思いますが・・・。

  もちろん日本車にはプリウスよりも長い年月を経ている「商標」(車名)もたくさんあります。クラウン、カローラ、スカイライン、フェアレディZ、レガシィ、インプレッサ、ジムニー、パジェロ、ランクル、ロードスター・・・・あれ!?結構少ないかも。1997年発売・・・変化の激しい時代を右肩上がりで成長してきたプリウスですが、すでに発売から20年ですから、本来ならばそれほど注目されることもなく、「伝統」という言葉だけが似合う世代なのかもしれません。とにかく日本車の中でも「古株」の仲間入りを果たしたと言ってよさそうです。

  どのクルマもそうですが、「車名」が25年くらいに渡って続けて販売されるようになると、そのクルマが目指してきた「理想」だったり、歩んできた「道」だったりが、ユーザーには非常にダイレクトに伝わります。もし「クラウン」という販売チャンネルをトヨタが作ったならば、静かで乗り心地が良いセダンを求めるユーザーがはるばるやってくるはずです。軽自動車やコンパクトカーならば全国のディーラー網でどんどん売ればいいと思いますけども、クラウンのようなクルマを売るならば、求めるユーザーを動かして買いにこさせるくらいの方が販売にいい効果があると思うのですが・・。

  クラウンの快適さをイメージして、このクルマは自分にとって良さそう!と価値を感じてくれるユーザーに向けて展開しているのがレクサスだとも言えます。「スカイライン」という販売チャンネルがあれば・・・これは単なるインフィニティですね。レガシィ=スバル、インプレッサ=スバルなので、「スバル」はブランドとして比較的に高い機能性を発揮できていると思います。あとはスポーツカーと本格クロカン・・・。

  トヨタは「エリア86」という86専門の疑似チャンネルを全国に用意しました。とりあえず86に試乗する時は、はるばるエリア86まで足を運びます。まだまだ販売歴が浅くクルマのキャラクターが曖昧で、このクルマに何を期待できるのか?が不明瞭なので「お試し」以外の何者でもないです。これって「GTカー」?「ライトウエイトスポーツ」?それとももっと別のものなのでしょうか(ドリ車?)。GTカーだとしたらスカイラインの快適さには遠く及ばないですし、ライトウエイトスポーツだとしたらロードスターに対抗する余地がなさ過ぎます。なんか「もやもや」します。

  「エリア86」の販売網に加えて、「プリウス」専門の販売網もつくったらどうでしょうか? プリウスの純正パーツにも精通したアドバイザーが居てくれれば・・・。さらにプリウスの販売を一手に引き受ければ、パーツの販売数もそれに比例して増えるでしょうし、そうすれば値引きの幅も大きくなり、その結果ユーザーが限られた予算の中で個性的なプリウスのカスタムを楽しむこともできそうです。

  あれほどクルマ好きからそっぽを向かれた「プリウス」ですが、4代目に入って各方面からの評価は概ね好評です。もっとも「ブランド」とは遠いタイプのクルマだったはずですが・・・あまり上手くは言えないですけども、これだからクルマは面白いなと思います。

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