2016年4月29日金曜日

日本車の「現在地」は自分で感じるしかないな・・・。

  日本のスポーツカーが世界各地で大人気みたいです!!!日本の自動車メーカーといえばトヨタを始めとして比較的おとなしくてやや庶民的なクルマ作りを得意としているイメージがあります。700psとか出すマッスルカー(ハイパワーな改造乗用車)が根強い人気のアメリカ車、200psそこそこでもニュルブルックリンクでかなりの好タイムを出すドイツ車・・・に比べるとやっぱり地味かも。速さの為に6や8気筒を使うアメリカやドイツに対して、日本メーカーでは大型エンジンを静かさの為に使ってます・・・。

  それでも先日発売された「トップギアジャパン」の第二号を読むとですね、世界の(イギリスの)ジャーナリストが15年前とは全く別の視線を日本車のスポーツカーに送っているのがわかります。日本車の多くは静かで知的なんだけど、ひとたびスポーツカーになれば彼らの妄想が次々と具現化された官能領域で「走り」のクルマを作ってきやがる!!!エンジン頼みのドイツ、イギリス、イタリア、アメリカでは、その変態っぷりに対抗できませーん!!!いつから日本車はこんなにまでの羨望を集められるようになったのか!?

  この15年の間には「R35GT-R」や「レクサスLFA」といった世界中のエンスーを騒がすような究極的なクルマが発売されるなど、日本車のステージは確実に上がったでしょう。しかし15年前のクルマだって、もちろん「究極」な存在であることは変わらずで、スカイラインGT-Rは公道車両の世界最速を達成するためのクルマでした。BMWが300psそこそこで、メルセデスの方がいくらか洗練されたシャシーで400psに耐えられるくらいの時代に、650psの大出力でも生かせる市販車としては異次元のシャシーを使ってました。もちろんレース車両として使うためなんですが、そんな反則な車両を出されたらレースにならないわけで、全日本ツーリングカー選手権(JTC)のクラス1がスカGのワンメイクレース化しました。

  フェラーリに対して「過去の遺物」と言い放ったホンダは、確信とともにNSXを発表し、さらにフェラーリよりも優美でハンドリングに優れてなおかつ速いマツダ・RX7もありました。さらに小さいサイズのスポーツモデルとしては、ホンダ・インテグラRはスポーツクーペの次元を越えていると海外メディアから激賞され、当時話題のアウディTTなどの欧州のクーペを全く寄せ付けない「走り」のクルマでした。これらはホンダVテックとマツダロータリーを搭載しているわけですから、これまたスカGのような反則的なスポーツカーでした。

  シビック・タイプRの存在は、間違いなく欧州のホットハッチ・シーンを牽引していて、欧州メーカーからは「アンタッチャブル」な存在として煙たがられていました。二輪も作っているメーカーが参入するなんて反則だろ!!!ホンダやスズキの小型エンジンの開発力は、二輪と四輪のシナジーで、他のメーカーを上回るのは当たり前の事ですが、ホンダが創業して戦後の復興期に普及した二輪車の成功したのは、つまるところ日本がたどってきた歴史によるものです。

  二輪を持つホンダやスズキに対抗するために、ヤマハと提携してスポーツエンジンを開発したトヨタ。さらに旧財閥に系譜を持つ三菱(最初は重工)や日産の元にはプリンスなどの中小メーカーが旧通産省の主導で統合され高い技術が結集しました。その一連の統合から逃れるため!!!という名目でマツダは血眼になってロータリーを実用化に舵を切ったという経緯があります(そして住友と組んで西日本の産業を固守した!)。

  普通にクルマ好きならこれらの事をよく知っていて日本のメーカーの強みや弱みもわかっているものだと思うのですが、日本のオッサンってのはなんだか不思議な輩が多くて・・・、こういったことを全く関知せずに、ドイツ車中心のクルマ観で全てを語る「めんどくせーヤツ」が結構多いんですよ。別にプロジェクトXみたいな番組で啓蒙されなくても、ごくごく身の回りの事に関する自然科学を学ぶ姿勢があれば、情報なんていくらでも溢れていますし、クルマを実際に体験する場所だっていくらでもあるわけです。

  それでも100年の歴史があるメルセデスやBMWに比べれば、日本メーカーなんて高々60年の新参・・・だから日本車は欧州車には勝てない!とか未だに言っている人いるんですよ。そもそもプロジェクトXみたいな企画が出来ること自体に、「産業の空洞化」以前に日本人のオッサンの「脳内の空洞化」が進んでいているからなんでしょうね・・・。クルマも満足に語れない不自由なオッサンが多過ぎる・・・。決して口には出さないですけど、評論家の意見とか真に受けているなと感じると、「だっせ〜」って思います。15年前の欧州白人主義のまま頭が停止している!!!これこそ「過去の遺物」だ!!!

  さて「トップギア・ジャパンvol2」ですが、コレはかなりの意欲作です。とても面白いですよ!!!最新の日本車がシビアに評価されてます。ちなみに特集として登場する日本車は・・・NDロードスター、レクサスRC、WRX STI、シビックtypeR、S660、コペン、アルトワークス、そしてプリウス!!!外国人ライターが待ったなしで切り込んでます!
ハッキリ言うとそれ以外の部分がもっと面白い!!!大黒取材とか!!「カーグラフィック」と「VIPカー」のいいとこ取りみたいな・・・あと編集が上手い。


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2016年4月21日木曜日

三菱が・・・とうとう。

  トヨタが操業停止(熊本地震の影響)などトラブルを抱えるとやっぱり出てくる!なかなか不思議なタイミングのニュースだな?という気もしないでもないですけど。それにしても三菱の意図的な「虚偽表示」のニュースには心底ガッカリさせられました・・・。モード燃費をチョロまかすなんてさー・・・、どっかのビッグな市場の国でどっかの国を代表するメーカーが大々的にやらかして大バッシングされてましたけども、日本ではVWや三菱ほどには報じられなかったのもまた不思議です。

  繰り返しますけどモード燃費の誤魔化しなんて、まともなメーカーのすることではないと思います。まったく中長期的な戦略など立案できていないメーカーが行き当たりばったりで急場しのぎに作ったクルマで、ちょっと性能が劣っているから「継ぎ足し」しておこう!っていう子どもの発想です。現代のクルマ作りは、そのモデルが販売される予定のサイクルの中で、出現するであろう有力なライバルを予測し、それらのポテンシャルを徹底的にリサーチした上で、満を持して綿密に設計した上で出てくるものじゃないですか?

  もちろん強敵がたくさんいるわけですから、計画どおりには行かないこともあるでしょう。でも一流のメーカーならば当然に最悪のケースを十分に想定していると思うのですよ。そして万が一にも最悪のシチュエーションが再現されても、「燃費をごまかす」という詐欺行為はどう考えても合理的な戦略にはならないと思うのですが・・・。そういうメーカーにまで成り果ててしまった三菱にはガッカリだと言うわけです。

  トヨタとホンダがなんともゲスで不毛な燃費競争を繰り広げていて、その競争に参入しても未来は無い!と十分にわかっているスバルやマツダは「走る」歓びを追求する方向へ舵を取りました。そしてスズキはイニシャルコストを削減して、より経済的な負担が少ないクルマ作りを目指していて、日産はこれまでに蓄積した高度な走行システムを駆使して世界有数の総合力が高いクルマを作るメーカーへ・・・。これまでの三菱だったならば、ドイツでもアメリカでも非常に故障率が低くて高い信頼性を獲得していましたから、日産と同じ路線を突き進むことも出来たでしょう。

  しかし2000年代から俄にターボエンジンのブームが到来して、三菱重工&三菱自動車の収益体制が大きく変化しはじめました(重工は自の親会社)。2002年の排ガス規制強化を期に、欧州の有名ブランド(アルファロメオなど)が次々に三菱のGDIエンジンのライセンス取得に走り、さらに三菱がいち早く実用化した直噴ターボ技術が欧州メーカーの経営合理化策に見事に合致します。1台のエンジンにさまざまなターボチャージャーを組み合わせることで、複数の価格帯のユニットを造り分けることができる!!!という画期的なシステムはメルセデス、BMW、アウディ、VW、ボルボ、ミニなど日本で成功している多くの輸入車ブランドで採用されました。

  クルマを売らなくても、ターボチャージャーが売れるので十分に儲かる!!!そんなバブルなぬるま湯に浸かっていては、構造改革も進まないですし、中長期的なビジョンも無かったのかもしれません。そんな魂の抜けた三菱を軽蔑するかのように、スバルやマツダはアメリカのハネウェル製のタービンをFA20/FB16ターボやスカイアクティブDでは採用しています・・・。

  別に2000年代の三菱がターボチャージャー販売にあぐらをかいていて、何もしてないというわけではありません。2009年には世界もびっくりの手頃な価格のEV「iミーブ」を発売し、その後にはiミーブに関するEVライセンスもぜひ売ってくれ!とPSAグループなど欧州方面から熱烈なオファーが殺到したようです。「あの三菱が作ったのだからさぞかし優秀だろう!」といった、直噴ターボやSUVのOEM実績(シトロエンにRVRを納入)など、三菱はグローバルでのBtoBにおける「ブランド力」を存分に発揮していたようです。

  2010年頃にまとめられた自動車メーカーを分析した書物によると、2000年代後半の三菱は北米市場から車種を削減したことで赤字に陥っていたものの、欧州ブランドがバタバタと死滅した大不況期の欧州市場でもそこそこ堅調に推移し、マツダのような「火だるま」にはなっていなかったようです。さらになんと!!!大方の予想に反して国内ではきっちり黒字を確保!!!三菱グループによる商用車需要が基盤になっているので底堅いんですね。だから一般ユーザーの意見なんて聞く耳持たないのかな・・・。

  そもそも戦前の財閥直系の軍需企業が、いまでも自衛隊の兵器やミサイル部品や戦闘機を作りつづけているんです。親会社の重工業にとって最大のお得意様は、自衛隊・JR・大手私鉄などなど。機械製造の分野では、トヨタや日立を軽く凌ぐほどの構造上の利権を確保した安定企業なんですね・・・。「三菱は国家なり」マスコミに躍らされて、市井の雑魚市民が三菱をいくら批判したところで全くびくともしない!いくら不買運動を展開したところで、痛くも痒くもないのかもしれません。

  報道を聞いて三菱批判を始めた俄な人々へ!!!三菱自は日本国を守るためにこれまで粉骨砕身の献身をしてきました!!!ODAの一環として日本からの技術援助の中核を担っていたのは三菱自です!!!韓国・中国・マレーシアなどのほとんど全てのメーカーにエンジン製造技術を提供したのは三菱です。中国では三菱は「中国自動車産業の父」として崇められています。貿易摩擦軽減の為に、不採算覚悟で747ジャンボを大量購入して、そのまま経営難へと落ちていった日本航空と同じで、三菱自は自らが犠牲になることで日本の国益に貢献しています!!!

  三菱自の会長が今回の一件で辞任といったニュースが流れるかもしれないですが、それは全く責任を取ったことにはなりません。その人物は三菱重の会長も兼任してますから・・・。
さてこの国策メーカー・三菱自は今後一体どうなっていくのでしょうか? 不死身の復活を果たして、再び世界のどっかの自動車産業を盛り上げるかもしれません。

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2016年4月14日木曜日

エクストレイル20Xt  メルセデス製エンジン搭載ではないです・・・

  「エクストレイル20Xt」昨年の12月の発売なので今更なんですけども、なんとも紛らわしいグレード名ですね。明らかに「スカイライン200GT-t」と同じ要領でグレード名が付いていると誤認させようとしている気が・・・。もちろんよーく考えてみれば、スカイラインは縦置き2Lターボですから、FFベースの横置きエンジンのエクストレイルにそのまま積めるはずもないわけで、まずはあり得ない話なんですが・・・。日産が自ら「最強のSUV」だとするエクストレイル。欧州では先代キャッシュカイにGT-R用の3.8LのV6ターボを搭載したモデルもありました!日本でももうちょっと派手な展開を期待したいものです。

  先日、別ブログの記事で「トヨタ、日産、マツダ、ホンダのクルマ作りは素晴らしい!」と白々しい理由を付けてもっともらしく書いたりしてました。そうしたら昨日届いたばかりの沢村さんの新刊「自動車問答」の巻頭を飾る一節で、なんと事もあろうか!日産(とホンダ)のクルマ作りが最近とんでもなく酷いと槍玉に上がっていて、もはや自動車メーカーとしての態を成してない!?再起不能!?とでも言いたいほどにボコボコに叩かれてるのを見て、ただただ唖然というか戦慄が・・・。「新興アジア向けの安普請車とアメリカで売るインフィニティ車だけ」という簡素な表現であっさりと叩き切られてましたよ。失礼ですが、沢村さんのようなスーパーカーが専門のやや古典的な評論家の手に掛かれば、「日産=スカイラインとマーチ」という認識なんでしょうね。

  これはもう本当にがっかりしましたよ〜・・・。欧州ナンバー1のSUVブランド「日産」という輝かしい実績は無視ですか!? キャッシュカイ(エクストレイル)とジューク以来の日産の欧州大攻勢は、もはや日本のカーメディアが全く関知しない領域のようです。他にも日産のロングセラーミニバンのセレナはフルモデルチェンジしたばかりのステップワゴンよりもよく売れてます!!!5ナンバー・ミニバン(ヴォクシー系とステップワゴン)の対決に勝利したときは、「やっぱり日産だな!」と思ったんですけどね。ライバル勢に比べて優れた静音性がユーザーから評判なのにな〜・・・。日産こそが日本市場にとって具合のいいクルマを作ってくれるメーカーだと思いますよ!!!

  「インフィニティ車」とかあっさり括られてますけど、スカイラインもフーガも日本で走らせることも十分に視野に入った素晴らしいサイズ感の高級セダンです(スカG世代には目の敵にされてますけど)。何より素晴らしいのがドイツブランドの安普請なライバルと比べて、これまたかなり具合がいいことです。単純に比較すると意図しない結果になるからか、もはや多くのカーメディアがどういう対応をとっていいかわからないほどにインフィニティ車は冴えてますよ。BMW5erとフーガを比べてみましたが、どこを切り取っても5erの優位はほぼ感じられないくらいです。クルマ全体の雰囲気もフーガの方が間違いなくいい!フーガは本気でオススメできるけど、5erは一言諌めてあげたいくらい・・・。

  日産の4気筒ノートが「安普請」というのであれば、BMWやミニの3気筒なんてFF、FR問わず低速域では「絶対に買ってはいけないレベル」のNVHを覚悟しなければならないです。度々失礼ですが、いよいよ沢村さんも耄碌してきたのかな・・・。私が思うに日本市場のクルマは相対的にレベルが高いわけですが、それでも日産無くして「上質」は語れない!ような納得のクルマの仕上げをしています。

  確かに現行マーチのような「?」なクルマもありますけど、主要なモデルに関してはコンパクトカーもミニバンもSUVもセダンも・・・全てのジャンルにおいて、日産車が質感における「スタンダード」を作っているといっていいくらいです。スカイラインがあるから、アテンザがセダンとしてまだまだのレベルだということがわかる。これをCクラスや3erを基準に測定するのは無理ですよ!ハンドリングやらNVHやらでアテンザが下剋上してますから・・・、もはやスカイライン以外で、他のライバルモデルの性能を測ることはできないです。

  SUVではもちろんエクストレイルです。マツダのCX5が高く評価されるのも、エクストレイルという既存勢力が比較対象として存在したからこそ、その性能の高さが伝わったはずです。SUVなのにここまで操安性が高いのか!? エクストレイルもCX5発売後にフルモデルチェンジをして、やはり「操安性」というマツダと同じテーマに挑んで、トラクションとハンドリングを同時に改善する装置「ヨー・モーメント・コントロール」をAWD車に装備してきました。スカG時代の遺産といわれる日産自慢の「ATTESA(アテーサ)E-TS」をさらに進化させた機能のようで、トルク配分を絶えず適性化してハンドリングやコーナー時の加速性能を高めるのだとか(スポーツカーか?)。

  理屈としてはホンダNSXが新たに採用するハイブリッドのモーター制御によるSH-AWDシステムと同じですね。マツダも似たようなものを開発していて、空転によるロスを徹底的に減らすことで2WD車よりも燃費の良いクルマを目指すことを掲げています。沢村さんの最新作で「自力で開発している!」と評価されていたマツダですが、そのマツダの進む先を走っているのが日産とホンダ!!!やはり開発力は素晴らしい!!!。「日産に対する批判」いくら沢村さんの主張でもこればっかりは疑問符を付けざるを得ないです。


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2016年4月6日水曜日

マツダCX4 「ビーエムの真似とか言わないで〜」

  発売から3年半が経過した3代目アテンザが当初の目論見通りにグローバルで月に1万台を売り続けているマツダ。アテンザは日本市場でもしぶとく月1000台を確保するなど予想外に健闘しています。フラッグシップが好調ということもあって、他の下位モデルも全て堅調に推移しています。

  以前のスポーティなハンドリングへ突き進むマツダがとても好きだったので、「スカイアクティブ」以降のややどんよりしたマツダには個人的には懐疑の目を向けていました。実家のトヨタと自分のマツダ(旧型)は「走り」に関するあらゆるパラメーターが違っていて、実際にそのギャップはとてつもなく大きいです。同じCDセグのセダンなんですけど、クルマの乗り味ってこんなに振り幅が大きの!?というくらいです。おかげさまで、それを尺度に他のメーカー車の乗り味をあれこれと断定させてもらってます。BMW3erはトヨタとマツダのほぼほぼ中間くらいでしょうか、電動ステアになってからなんとも薄味に感じます。スカイラインは「あのステアリング」のインパクトもあってかかなりマツダ寄りです。Cクラスは完全にトヨタ寄りですね・・・現段階ではとてもスポーティとは表現できないです。

  しかし「スカイアクティブ」になってからというもの、マツダのハンドリングはハッキリとマイルドになりました。当初はフロントサスの変更が影響したのかな?と勘ぐってましたが、マツダのエンジニアがいろいろな場所で、ステアリングの切り始めをマイルドにした!と言っているので、どうやらメーカーぐるみの意図的な変更のようです。2012年まではロータリー搭載車を販売していたので、その機動性を生かすためにも、「アウトロー」で「アヴァンギャルド」なハンドリングをブランド全体の個性として打ち出してきたマツダですが、自己都合によりディーゼルをブランドの目玉に据えるようになったり、排気を改良したガソリンエンジンを積む為に長いノーズのボディが必要だったりするなどで、どうも凡百な輸入車と同じような「ゆるさ」が出てきています。

  それでもデザインを中心にマツダの美徳とする「こだわり」が存分に出ていて、それが世界的なヒットに繋がっているようです。しばしば「マツダのデザインはいい!」と漠然と評価されていますが、細部までしっかり作り込んでいるという意味では新型プリウスやミライもそれなりに時間はかけているのがわかるデザインだと思います。マツダよりも圧倒的なインパクトを持つド派手な「面(ツラ)」をつかってます。

  マツダ車を見ていて「すごいな〜・・・」と思うのは、どのモデルも「デザイナーとの対話」が楽しめるところです。近くで眺めていたら、さりげないこだわりにあれこれと気がつきます。例えばアテンザならば・・・グリルやライトの造形に最初に目がいきますけど、これらはそれほど感銘深くはないです。しかしサイドの肉厚なパネルとそこから醸し出される全体の素晴らしいバランスに気がつくと、もうクルマの全景が一気に変わって惚れ惚れします。これを見てしまったあとでは、アホみたいなライン入れてるレクサスISや、妙に弱々しいオモチャみたいなCクラスや、何も意図していないジャガーXE、スカイラインや、パサートやレガシィと見分けが付かないアウディA4や、ただただ安っぽくて塗装もずば抜けて下手くそなBMW3erなど・・・これらのサイドのデザインが自分の意識の中で完全否定されてしまうほどです。

  「セダンはサイドデザイン」・・・ドイツ車も他の日本車も全く欠落していた真理を再発見するのが、マツダ・デザインの非常に有り難いところです。もしアテンザが無かったら?・・・メルセデスCLS→CLA→S→Cのようなリアからボデーが溶け出してしまったようなブサイクな「デザイナーズ・セダン」が流行っていたでしょうね。この4台を街中で後ろから見るとあまりに酷いデザインに失礼ですが嗤ってしまいます。新型Eクラスも相変わらずの「小さなケツ」デザインで登場しましたが、発売前からすでにダサいです。もっとも「小さなケツ」の源流は日産レパードJフェリーなんですけどね・・・。

  マツダに話を戻すと、CX5もとてもバランスの良いSUVデザインだったと思います。もしこのクルマが無かったら、レクサスもメルセデスもSUVデザインの方向性を完全に見失っていたでしょう。素人が言うことではないですが、余計なことをせずに淡々とマツダのデザインをパクっておけば、ロングテールで売れる評判良い定番SUVが作れるような気がします。レクサスもメルセデスも雑然としたSUV市場を「派手な仕掛けデザイン」で楽に目立ちたいと思うでしょうが、ハイクラスのブランドがジューク路線を安易に追従するのは危険です。

  とにかく「俄」「俄」「俄」なSUV市場ですから、トヨタのように開発に手間ひま賭けると完全に商機を逸します(プリウスSUVはまだまだ先でしょうか?)。そこで登場するのが、BMWのような「ヤクザ」なブランドです。BMWのSUVはなんとも玉虫色で、そもそも開発が面倒だからM&Aでランドローバーのノウハウを手軽にゲットして、他人のふんどしでクルマ作りをする超合理主義で、ルノー経営陣にいちいち楯突く日産のクルマ作りとは真逆です。もはやBMWのSUVはドイツとは何の関係もないクルマでしかなく、デザインまでそれぞれ他社に丸投げしてますから、X1、X3、X5でも統一感がかなり希薄です。ちなみにX1は中国の下請けが、X3はオーストリアのマグナシュタイナーが、X5はサウスカロライナがそれぞれ担当しています。

  参入・撤退が比較的に容易な「ライセンス生産」でやっつけ仕事で作られているBMWのラインナップを、マツダが真似してる!?みたいなミーハーな記事を見かけると、なんだかとってもやるせない気分になります。いよいよマツダ公式HPでもCX5→CX3に続いて「CX4」という名称の新型SUVが北京MSで公開されることになりました。

  実際のところBMWのSUVはどれも良さがよくわからなんのですよ。何がしたいのか?全くわからない!近頃じゃセダンも同じ臭いがいますけど・・・。SUVでは特にBMWらしい操安性の良さなんてまるで感じないですし、スタイルも日本で販売している全メーカーのSUV中でも最低レベルに「すぼら」です。X5とX6はクロカン好きのツボを押えたラダーフレーム車ですけども、X1、X3、X4はまるで存在意義がわからないです。ホンダのCR-Vやヴェゼルの方がよっぽどいい。この3車種を褒めているライターは絶対に信用できないな・・・。まともなライターなら「コメントは控えます!」と評価を放り投げるレベルですから。

  そんなBMWのSUV展開に対比されちゃうマツダは少々気の毒ですね。マツダのCX5とCX3は国内外で販売も至って好調で、各地のCOTYでも軒並み高い評価を受けていて、激戦区を見事に勝ち抜いた「傑作SUV」としての評価を勝ち取っています。・・・が今回のCX4はプロトモデルが中国の工場で作られたようで、かなり早い段階で情報が漏れてました。いよいよマツダもBMW的な「投機」に走ったか?と嫌な予感もしましたけど。

  CX5のCD値を改善するボデースタイルで高速道路での風切り音を低減させたり、「低床車と同じように走れる操安性」をCX5からさらに高めた企画なのだと思いますが、ボデー以外はCX5の「ノックダウン(流用)」になるのでしょうか? それともCX5とは全く別の世界観を見せてくれる、マツダらしい「こだわり」の新型車として登場するのでしょうか? マツダの予告だと、デザイナーとの対話が楽しめる自信のデザインのようです。セダンを越えた操安性で・・・アテンザユーザーをも取り込むのか? まあボチボチ発売が楽しみな1台ではあります。


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↓福野さんの新刊だってさ〜!!