2015年8月16日日曜日

マツダは新型エンジンでいよいよ「プレミアム」宣言か?

  マツダの国内販売台数が4ヶ月連続!ウハウハの前年比50%越えだそうです!!!前年といえば増税直後ですからまあそれほど驚く結果でもないわけですし、デミオ、CX3、ロードスターの3台が追加されたわけですから、これくらい売れてくれないと困るというのが本音かもしれません。とりあえず国内の他のブランドは微増・微減の範囲に収まっていてハッキリと苦戦モードなので、今や完全にマツダの一人勝ちと言っていい状況になっています。

  そんな絶好調のマツダが早くも次の一手を仕掛けてくるようで、すでに市販時期がほぼ確定しているコンセプトモデル「越(こえる)」を9月のフランクフルトMSで公開するようです。現時点で解っていることは、このクルマはアテンザベースのクロスオーバーモデルだということだけです。・・・簡単に言ってしまえば、ここ数年で北米で最も好調だったスバルの屋台骨である「レガシィ・アウトバック」のコンセプトをそのまま頂戴したものです。

  そんな二番煎じの高級ファミリーカーがそう簡単に売れるか?という懸念ももちろんありますが、しかしマツダにはスバルがなかなか日本に投入しようとしない無い「アレ」があります(フラットディーゼルはいつになったらやってくる?)! 既にどこが一番に作るのか期待して待っている人も多いようですが、いよいよ「3列シート&クリーンディーゼル」を装備した次世代ファミリーカーがマツダから登場するみたいです!形式上ですがまさかの一番乗りはBMWとなったわけですが、あれはダメですね・・・なんだ!?あのやる気の無いキャプテンシートは!日本メーカーが切磋琢磨して育んだ「3列シート文化」をバカにしてんのか?

  マツダの新たなる野望が一体どのくらいのスケールなのかはまだまだ伺いしれませんが、日本市場における「ミニバン/ピープルムーバー」といったジャンルで台頭するにはやはり価格が大きなポイントになりそうです。果たしてブランド最大級のボディにディーゼルエンジンを奢って、乗り出し300万円以下に収めることができるのか?アルファードよりも高い価格設定で売るとなると、それなりの(相当の)覚悟が必要だと思います。マツダが持てるシート設計技術の全てを動員し、活躍が目覚ましいインテリアデザイナー陣がさらなる期待以上の仕事をしたとしても、「アル/ヴェル」が既に築きあげているシェアを奪うのは非常に難しいでしょう。MSアクセラでシビックtypeRを凌駕するよりもずっと大変なことだと思います。まあ何を仕掛けてくるのか楽しみではありますが・・・。

  さてマツダはディーゼル以外にも北米向けに用意された2.5Lガソリンターボがすでに完成しているそうで、今後は複数の車種に追加設定されるみたいなことをマツダの人が言っていました。基本的には重量車向けにはトルク重視の240ps程度に抑えたものを用い、MSアクセラのようなスポーティなモデルには、高回転型の300ps近いハイチューンという作り分けも可能だそうです(・・・そんなことは今となってはどこのメーカーでもやってることではありますけど)。それにしてもディーゼルがあるのになんでガソリンターボで低速トルク重視しなきゃいけないのかな?北米でもさっさとディーゼル売ればいいじゃん!という気もします。・・・・ということは最初からスポーティ路線を完全に視野に入れたガソリンターボ開発が進んでいるのでしょう!と思いたいです。やはりMSアクセラは出る?

  さてMSアクセラやMSアテンザのライバルとなるクルマの現状を見てみると、ドイツ勢もスバルもレクサスも4気筒は「2L」ターボで決まり!みたいな横並び状態です。先行報道の通り300ps前後を発揮する高性能車部門に参入するとしたら、マツダだけがやや異彩を放つ2.5Lターボにしているところが興味深いです。この500ccの余裕が「マツダらしいガソリンターボ」の味わいを見事に演出してくれるのではないか?・・・なんてやや強引な想像(期待)を膨らましています。

  現行のスバルWRX S4、BMW328i(今度は330i)、VWゴルフGTIといったクルマはいずれも2Lターボを使っていて、出力200~300psとやや幅があるものの、各メーカーがクルマの性格に合わせたチューンをしています。しばしばこれらのクルマが語られるときに、多くの自動車評論家は、「このエンジンは3L6気筒の自然吸気と同等の性能だ!」なんて調子の良い事を書いていますが、この表現にはいつもいつも違和感を感じてしまいます。実際に乗ってみると2Lターボのいずれのモデルも高回転域が使えない(限定的)ですし、ミッションもちょっとエンジン音が変わったなと思ったらすぐにシフトアップしてしまうので、アクセルフィールが妙な抜ける感じが連続的に訪れます。底打ち感なのか不安定な出力感なのかやや判断が付きにくいですが、要するに「いっぱいいっぱい」です。

  もちろん3車ともにマニュアルモードがありますから、2速に固定して引っ張ることもできるのですが、5000rpm頃にはトルクが萎んで、今度はパワーの頭打ち感をハッキリと感じてしまいます。やはり2000cc前後という排気量は市販車用の過給器(ターボ)を使った程度では高性能車向けとしてはあくまで「最低限」でしかありません。直噴、ロングストローク&ターボ化で瞬間最大風速としての高スペックこそ実現しているように錯覚しますが、それは決して高級車らしい「余裕」のエンジンフィールではないので、結果としてクルマの格からすれば、エンジンのマナーは悪いですし、なんだか余裕が無い「安っぽい」エンジンになってしまっています。

  実際この3車で比べると、出力こそ最も低いですが、車重が軽いゴルフGTIが一番生き生きとしていてクルマのバランスという意味では最も好感が持てます。ゴルフGTIのボディサイズは今やマツダ車においてはデミオやCX3に最も近いものであり、それよりもハッキリと大きいアクセラ以上の車格のクルマに新たにターボを導入しようとしているマツダとしては、ゴルフGTIよりも「シケた」走りをするMSアクセラやMSアテンザを作って墓穴を掘るようなことは絶対に避けたいはずです。そして「マツダらしい走り」を保ちつつ、ライバルメーカーのハイパワーモデルに無理なく対抗できるスペック・・・という要求から導き出された結論が「2.5Lの直4ガソリンターボ」だと思います。

  マツダの好調を支えているディーゼルターボに対して、販売面ではこの新型ガソリンターボには何ら大きな期待はしていないと思います。よって2Lか?2.5Lか?の選択でモード燃費をいくらか改善することは全くもって重要ではなく、あくまでディーゼルターボのフィールが受け入れられない!というユーザーに向けた、レスポンスや噴け上がりに優れたパワーユニットになるはずです。

  さらにターボ化されるとなると、ノッキング対策としてハイオク化はほぼ避けられないでしょう。しかし日本では発売されていないハイオク仕様のスカイアクティブGは、レギュラー仕様とは全く違う「センセーショナル」なエンジンなんだそうです(私ももちろん未体験です!)。無過給でも爆発的なトルクとキレを見せる高性能なエンジンをベースに、さらに過給器追加によって幅広いレンジで楽しめるスポーティなユニットへと仕上げることで、マツダのブランド価値をさらに押し上げることが最大の目的だと想像できます。

  かつての盟友フォードにはマスタングも使い始めた2.3Lガソリンターボがあります。300psオーバーまでパフォーマンスを追求したツインターボなので、燃費に関してはさっぱり稼げていないようで、V8モデルのマスタングとあまり変わらず高速でも10km/Lに乗せるのがやっとのくらいだそうです・・・。燃焼効率を高めたスカイアクティブをベースにしているとはいえ、このマツダの新型2.5Lターボもまた、フォードの2.3Lと同じく世界的に見てもやや珍しいポジションのユニットで、もはや「ダウンサイジング」エンジンとは言えないかもしれません。

  排気量だけで比較すると、アウディにもTT-RS(本体915万円!)に使われる直5の2.5Lツインターボ(360ps)というVWの旧世代になる直5を直噴化して高出力に耐える素材に変更した横置き用の「マニアック」な特別チューンエンジンがあります。フォードの2.3Lターボもアウディの2.5Lターボも開発時には「あるエンジン」に対抗するために、かなり技術的に無理をして出力を上げた仕様になっているそうですが、どちらも「最大トルク450Nm/最大出力250kw」(トルク45kg・m 馬力330psくらい!)程度を視野に入れていたそうです(フォードは未達成)。つまりBMWの象徴ともいえるあの「直6ターボ」を仮想ライバルとしているそうです。

  なんとなくマツダが狙っているものが見えてきたような気がします。ひと昔前に日産が新型の自然吸気V6エンジンで、BMWの直6を叩き潰すことに成功し、インフィニティ・ブランドを大きく打ち上げました。アウディが、マスタングが、そしてマツダが、グローバルに展開するプレミアムブランド(プレミアムカー)としてさらに羽ばたくためには、スカイライン(インフィニティG/Q50)が歩んでいった「通過儀礼(BMと直6に負けないエンジンを作る)」がやはり必要なのだと思います。MSアクセラやMSアテンザももちろん楽しみですが、マツダが作る「TT対抗車」なんてのもちょっと見てみたいですね!

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