2016年1月13日水曜日

レクサスLC500 世界はこのジャンルの日本車を待っていた(と思うよ)

  1500万円以上はするであろうクルマに対して、「世界は待っていた!」とか書くと・・・高級車なんかに期待しているのはほんの一握りの地域だけだぞ!とツっこまれるでしょうけど。言いたいことはもっと単純なことで、アストンマーティンやマセラティが作ってきた、限りなくスーパーカーに近い「ラグジュアリーGTカー」なら無理してでも乗ってみたい! けれどもアストンやマセラティのディーラー網の貧弱さゆえに、「すぐに壊れたらどうしよう・・・」みたいな悩みを簡単に払拭できないので、貯金すらしようと思わないよ!なんて冗談半分に言っている人なんかもいます。けれども(もしその人に余裕があって)レクサスが作ってくれるなら話は別なんだろうなということです。

  デトロイトMSでレクサスの新型クーペ「LC500」が発表されました。2017年初頭の発売予定で、ほぼ市販モデルの状態なんだとか。確かにトヨタの章男社長が熱くなりそうないい表情したクルマです。さすがにこれほどのデザインをみせられてもまだ「マツダの方がかっこいい!」と言い張る人はいないだろうと思っていたら、まあネット記事のコメントなんて・・・ですけど、ボチボチ居ますね。マツダもリッチな顧客が欲しかったら、中古車が二束三文で溢れているライトウエイトスポーツなんかにこだわらずに、先代ロードスターで見せたリトラクタブルハードトップの機構をガッツリと組み込んで、成金仕様の「ラグジュアリー2シーター」のボディに新開発の直4ターボ載せてみてはどうでしょうか?

  レクサスISとスカイラインが現行モデルになった時に、どれほどのものか?と思ってそれぞれ乗りに行ったんですよ。どちらも購入時をリアルに想像して見積もりまで取りました。「IS350Fスポ」がおよそ700万円。「スカイライン350GT(AWD)」がおよそ550万円。スペック上で有利なのはスカイライン、そして乗ってみて良くできているのもスカイライン。日産が「プレミアムを騒がせる」と豪語するだけのことはあります。実際に乗っていてどっちが見栄えがするか?というと、どっちも「大した事は無い」です。ちょっと豪華な「普段仕様」・・・それ以上でもそれ以下でもない。

  つまり「スカイライン」だから「IS」だからというこだわりは無くて、見栄えだけだったら「アテンザ」でも「レガシィ」でもあまり変わらないくらいです。「普段仕様」のクルマならば、4気筒だから6気筒だからという固定観念も不要です。もちろん1.5L以下の排気量となると高速走行時に相当にウルサイので困りますけど、アテンザはディーゼルですし、レガシィも2.5Lなのでその辺は気になりません。「レガシィ」のトップグレードはおそらく乗り出しで400万円を下回るはずで、「IS」のおよそ半額です。さらに「レガシィ」は全車AWD&全席シートヒーター付きなのに対して、「IS350」にはAWDの設定もなければ、オプションでも後席シートヒーターは付きません。

  なんで最も高価な「IS350Fスポ」にこだわっているのか? それはレクサスが先代ISの弱点(車体と足回り)を真摯に受け止めて、300psオーバーのユニットに負けないクルマを目指した情熱が結実している唯一のグレードだからです。たしかに先代IS350とは全く印象が違います。あまりに足回りがしっかりしているので、パワーがもっとあってもいいのでは?くらいに錯覚します。300psを越える大排気量自然吸気ユニットなのに「パンチ不足」なんてそんなバカな・・・と思ったら本当にそうでした(CGの大谷さんはやっぱり正しい)。アクセルを踏み込んでいけば、グワ〜っとパワーが盛り上がる感覚がありますが、かといってタイヤからの入力が「錯乱する」といったことはなく、低速域ではややフワフワするハンドリングも、一定速度を越えると突如として日産やマツダに負けない「豪傑」へと変貌します。

  ちょっと褒めてみましたが、スカイライン、アテンザ、レガシィでは全てのグレードでブランドが表現する「GTツアラー」としての「いいクルマ」感は得られますが、「IS」に関しては「IS350Fスポ」しか認めないです。それ以外のグレードは、「クラウンを取り回しの良いサイズにしてレクサス化したクルマ」に過ぎないと思うからです(お年寄り向け?)。しばしばレクサスが批判される「他では400~500万円で買えるくらいのクルマを700万円で売るブランド」という評価はとりあえず間違っていないです。それではなぜレクサスに顧客が集まるのか・・・それは決してレクサスに強烈な「憧れ」を抱くセレブ志向な人々(主に女性)が群がるからというわけではないと思います。

  冒頭にも書きましたが、レクサスにはとりあえずマセラティやアストンマーティンには無い「安心感」があります。そしてそれと同時に、日産・ホンダ・スバル・マツダにも無い「信頼感」を兼ね備えている!これこそが「あえてレクサスでクルマを買う理由」だと思うのです。レクサスのディーラー設備が整っていて、美味しいコーヒーや、ただ試乗にいっただけで同伴していた連れにテディベアをくれる、「おもてなし」の精神もいいですけど、そんなことよりも「いいなあ!」と思ったのは別のことです。

  日産に「普段仕様」のスカイラインを見に行きました。日産の販売店は「普段仕様」として見られているとは思ってないのかもしれません。もちろん本体価で500万円ですから、走行性能も抜群で内装も申し分ないです。いちいち重箱の隅をつつくような「足踏み式サイドブレーキが・・・」という自分の意識を逆に恥ずかしく思ったくらいです。そんな至れり尽くせりの現行スカイラインに何が問題か?というと、タイヤがランフラット化されたことです。

  乗り心地がどうか?韓国製のハンコックでは?・・・といったカーメディア特有の関心事には興味がないです。「普段仕様」ですから、もちろん「スタッドレスタイヤ」はどうするの?ってことです。天下の日産だから当然に納得できる方法を用意していると思いきや、なんと!某ドイツプレミアムメーカーと全く同じ次元(不満足)の対応でした。「パンク修理キットと合わせたもので間に合わせます」って、じゃあそのキットはどこに収納されるのか〜?トランク内でガタゴトするのか〜!!!「プレミアムを騒がす」とか言っておいて、なんてザマだ・・・。

  もちろん同じ部分でレクサスではそんな不始末はありませんでした。すでにオプションの段階で「パンク修理キット」か「スペアタイヤ」かを選べるようになっています。全てをメルセデスやBMW基準で行ってしまえ!という安易過ぎる日産と、独自のサービスノウハウをきちんと確立させているレクサス。もちろんクルマの出来不出来も大事ですけども、いくらいいクルマでも「安心して乗れない」というのはダメじゃないかと思うのです。もちろんパンクしても通常の速度で100km程度は走れるランフラットタイヤを装着する合理性もわからないでもないですけどね。ランフラットを実車配備するにしてもレクサスだったら杞憂すら無くしてしまうくらいの「安心感」とともに提供してくれるのではという期待は間違いなくあります。

  バブルの頃には手付金を払ったスーパーカーのディーラーが夜逃げする!なんてこともリアルにあったとか。店の前の屋外展示スペースにズラッと並べられた高級車に200~300万円!!!なんて値札が付いていたら「メーター巻き戻し」だなと直感してしまうものです。そんなくだらないトラブルによって必死で溜めたお金が消えたら悲し過ぎますよね。だからこそ「生きたお金」を「生きたまま」使えるような気持ちのいい消費サイクルの中に、「自動車」がどうやって入りこむのか?を考えることが「クルマの性能」なんかよりもずっと大事だと思うのです(そういえばGT-Rの水野さんもこんなことおっしゃってました)。日本に高級車の売り方を心得た専門のディーラーができて良かった!安心してお金を注ぎ込むことができそう!・・・そこから「貯金」が始まるのでは?

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