2016年3月8日火曜日

プリウス が レクサスとトヨタを喰らう。

  「プリウス」は知っているけど「レクサス」は知らない。 クルマに興味がない人からしてみたらそんなもんらしいです。いくらクルマが高級でも度が過ぎれば、ブランドでもなんでもない・・・ブガティ、パガーニ、ケーニッグセグなんて誰も知らないですし、フェラーリやランボルギーニだって下手すれば「まず運転する機会がないブランド」という意味では「三菱ふそう」「日産ディーゼル」みたいなものです。(特別な人が運転するクルマなんて興味は無いです・・・)

  自動車メーカーが掲げる「商標」のなかで最も知名度が高いものはなんなのかな? もしかしたら!?いよいよ「プリウス」の知名度が「トヨタ」の知名度をも越えてしまったのではないか!? 他にも「ベンツ」「ホンダ」「BMW」「ポルシェ」などレジェンド級の「商標」はいくつかありますが、「車種名」でこれらに肩を並べるまでに至ったのは「プリウス」くらいじゃないかと思います。先輩格の「カローラ」の影がここ数年でみるみるうちに小さくなりました。

  トヨタではレクサス以外に4つの販売チャンネルによって日本市場では展開が行われています。「トヨタ」「トヨペット」「カローラ」「ネッツ」失礼ながら格式が高い順に並べるとこんなところでしょうか。恥ずかしながら大学生の頃まではトヨタ、トヨペット、カローラはともかく「ネッツって何?」くらいの認識でした。今の若い人にとっては「カローラって何?」なんじゃないかと思います。

  もし諸般の事情を考えなくてよいならば、「プリウス」という名の販売チャンネルを作ったらどうかな?と思います。「クルマはクルマ屋で!プリウスはプリウス屋で!」とかいうくだらない皮肉ではなく、「カローラ」に変わる新たなアイコンとしての地位を築いた「プリウス」を独立したブランドにすることで、一般の人々がクルマに対して抱いている「もやもや感」を振り払うきっかけになればいいと思うからです。

  ちょっと暴走気味に話をすすめますが、ブランドが持つ「もやもや感」ってのは営利企業にとってはなかなか無くせない要素です。「プレミアムブランドなのに、こりゃダメだ・・・」となってしまう部分だったり、走りにこだわった!と宣言している割に、案外な操縦安定性だったりと、いろいろなメーカーのいろいろなブランドから絶えず噴き出す難点・・・これがあまりにも多過ぎるとユーザーはやはり混乱しますし、その結果として「敬遠」します。もしくは「あんまりユーザーをバカにするなよ!」と反発します。

  そういうワケがわからないクルマが多い中で、「プリウス」はもっともユーザーの期待を裏切らないクルマだったと思います。その「完成度」「満足度」は、かつての高級車の代名詞「ベンツ」や、Vテックエンジンの「ホンダ」、スポーツセダンの「BMW」がブランド単位ではありますが、これまで築いてきたステータスに並ぶくらいにまで、「プリウス」はユーザーに対して正直なクルマであったと思います。

  「トヨタ」という商標(社名)からどんな具体的なイメージが得られるでしょうか? もちろん「安心の品質」くらいのニュアンスは十分にありますけど、そこから先なかなか魅力的なクルマのイメージをハッキリとは連想しにくいです。これは日本トップで世界トップであるトヨタゆえの悩みでもあるとは思いますが、それでも現在の社長は持てる力を総動員して「魅力あるクルマづくり」を推し進めています。その社長の肝いりで作られたと言われる「86」と「RC-F」が相次いで発売されましたが、知名度に関してはまだまだです。「プリウス」がここまで知られるようになるまでに約20年かかっていますから、この2台もあと20年根気強く作り続ければ、それぞれに素晴らしい「商標」になるとは思いますが・・・。

  もちろん日本車にはプリウスよりも長い年月を経ている「商標」(車名)もたくさんあります。クラウン、カローラ、スカイライン、フェアレディZ、レガシィ、インプレッサ、ジムニー、パジェロ、ランクル、ロードスター・・・・あれ!?結構少ないかも。1997年発売・・・変化の激しい時代を右肩上がりで成長してきたプリウスですが、すでに発売から20年ですから、本来ならばそれほど注目されることもなく、「伝統」という言葉だけが似合う世代なのかもしれません。とにかく日本車の中でも「古株」の仲間入りを果たしたと言ってよさそうです。

  どのクルマもそうですが、「車名」が25年くらいに渡って続けて販売されるようになると、そのクルマが目指してきた「理想」だったり、歩んできた「道」だったりが、ユーザーには非常にダイレクトに伝わります。もし「クラウン」という販売チャンネルをトヨタが作ったならば、静かで乗り心地が良いセダンを求めるユーザーがはるばるやってくるはずです。軽自動車やコンパクトカーならば全国のディーラー網でどんどん売ればいいと思いますけども、クラウンのようなクルマを売るならば、求めるユーザーを動かして買いにこさせるくらいの方が販売にいい効果があると思うのですが・・。

  クラウンの快適さをイメージして、このクルマは自分にとって良さそう!と価値を感じてくれるユーザーに向けて展開しているのがレクサスだとも言えます。「スカイライン」という販売チャンネルがあれば・・・これは単なるインフィニティですね。レガシィ=スバル、インプレッサ=スバルなので、「スバル」はブランドとして比較的に高い機能性を発揮できていると思います。あとはスポーツカーと本格クロカン・・・。

  トヨタは「エリア86」という86専門の疑似チャンネルを全国に用意しました。とりあえず86に試乗する時は、はるばるエリア86まで足を運びます。まだまだ販売歴が浅くクルマのキャラクターが曖昧で、このクルマに何を期待できるのか?が不明瞭なので「お試し」以外の何者でもないです。これって「GTカー」?「ライトウエイトスポーツ」?それとももっと別のものなのでしょうか(ドリ車?)。GTカーだとしたらスカイラインの快適さには遠く及ばないですし、ライトウエイトスポーツだとしたらロードスターに対抗する余地がなさ過ぎます。なんか「もやもや」します。

  「エリア86」の販売網に加えて、「プリウス」専門の販売網もつくったらどうでしょうか? プリウスの純正パーツにも精通したアドバイザーが居てくれれば・・・。さらにプリウスの販売を一手に引き受ければ、パーツの販売数もそれに比例して増えるでしょうし、そうすれば値引きの幅も大きくなり、その結果ユーザーが限られた予算の中で個性的なプリウスのカスタムを楽しむこともできそうです。

  あれほどクルマ好きからそっぽを向かれた「プリウス」ですが、4代目に入って各方面からの評価は概ね好評です。もっとも「ブランド」とは遠いタイプのクルマだったはずですが・・・あまり上手くは言えないですけども、これだからクルマは面白いなと思います。

リンク
最新投稿まとめブログ

  

  

  

0 件のコメント:

コメントを投稿