2016年3月25日金曜日

スパルタン・ファミリーカー対決  エクストレイルvsオデッセイ

  日産のSUVと言えば「エクストレイル」。ホンダが誇るピープルムーバーは「オデッセイ」。どちらも誕生以来それぞれのジャンルでその名を轟かせた「名シリーズ」で、熱烈なファンも非常に多いです!なんといっても歴代モデルはどれも「男らしさ」を存分に表現するなど日本車としては独特な存在感を放ってきました。そんな個性派キャラのおかげで一般認知度も高く、それぞれ10年以上前から日産・ホンダの代表的なモデルでした。当初の濃いキャラから考えると、・・・かなりの変遷を経て今に至っています。

  途中の歴史とかメンドクサイのですっ飛ばしますが、「エクストレイル」は北米と日本でのRV車ブームの中から誕生し、頭カチカチの日産エンジニアが悪路走破性などを追求し世界最高レベルの性能を持つSUVへと瞬く間に育て上げました。その後「コスト=カッター」と呼ばれたカルロス=ゴーンが社長に就任すると、エクストレイルの開発費があまりにも高騰していることに驚き、担当者を呼び出してあれこれ聞いたそうです。担当者から「川を渡る時に発揮される世界最高の装備」といった「?」な機構に湯水の如く開発費を注ぎ込んでいたことを聞いて心底呆れ果てたのだとか・・・。

  現行のエクストレイルは、先代までのやたらと武骨なエクステリアから、いきなり大人しいスタイルに変わりました。厳密に言うと、北米・日本向けのエクストレイルは廃止となり、欧州でナンバー1セールスを記録したSUVのキャッシュカイ(デュアリス)と統合された後継モデルが「エクストレイル」として販売されています。相変わらず「新技術」が大好きな日産は高重心のSUVを安定して走らせるトラクションコントロールを新たに投入しています。

  スイスの「アルペンパノラマルート」やアメリカ・コロラドの「パイクスピーク」みたいな山岳ルートを100km/h前後で駆け抜けられるだけの高い操安性を備えたSUVが欧州でも北米でも人気になっているみたいです。日本車の中では「マツダCX5」と「エクストレイル」が現地のカーメディアからも非常に高い評価を得ていて販売が好調です。「山岳ルートをSUVが100km/hで駆け抜ける・・・なかなか日本では想像できないですが、日本でも未舗装の車道を抱える自治体(長野県川上村など)のHPでは「SUVでの走行を推奨します!」など書いてあったりします。

  日本では主要な観光道路はバスが入れるような整備がされていますから、欧州や北米のようなSUV需要は盛り上がりにくく、むしろコンパクトカーの代わりとして使えるような街中だけを走る「都市型SUV」が人気です。自然とふれあうにも、日本ではほとんどの生活圏へはバイパス=アクセスが発達しているため、未舗装林道などはひとたび自然災害に見舞われても、生活圏の影響がないルートに関しては長期間閉鎖されていたりします。さらにマイカー規制なんかも多いです。東京都の人口50万人を擁する八王子市近郊でも数ヶ月以上も通行止めのままの街道があります。SUVが無いと通れない!というような必然性はほぼ無いかな・・・。

  一方で「オデッセイ」はというと、欧州でも北米でも成功したピープルムーバーの代表的なシリーズです。こちらは山岳ルートではなく、ホンダ自慢の低床プラットフォームを使ったアウトバーンを走るための7人乗りです。「3列なのにBMWのような乗り味」と海外でも絶賛されてましたし、日本でも初代の発売直後から爆発的なヒットを遂げました。「日本人はあまりクルマに走りを求めない」とかバカなことを言っている人々(プロ、アマ問わず)がたまにいますが、「初代オデッセイ」や先ほどの「CX5」など、「走り」に定評があってかつ、ユーティリティの高いクルマはほぼ例外なく大ヒットするんですよね。なんだかんだみんな試乗して納得して買っているようです。

  「エクストレイル」も「オデッセイ」も現行ではすっかりファミリーカーです。どちらも待望のHVが用意されましたが、そもそも山岳ルートやアウトバーンをノンストップで駆け抜けるクルマにハイブリッドなんて全く意味はないです。HV化されたということは、いよいよ日本式ファミリーカーとして、家族全員で街道沿いにある大型量販店に出掛けるクルマとして新しいマーケットを目指しはじめたということです。ホンダによると2月に仕切り直しでHVが追加されたオデッセイですが、1ヶ月で約9000台の受注が来るなど好調のようです。そしてHV率はやはりというべきか・・・70%超だとか。

  さらに全体の9割以上がアブソリュートを選んでいるようです。これは「専用シート・18インチホイール・エクステリア」のセットオプションになっていて、HV&アブソリュートだと本体価格だけで400万円ですが、これが一番の売れ線!!!400万円ならば輸入ブランドの3列ミニバンもVW、BMW、シトロエンなどどれでも選べるわけですが、やはりファンが多い「オデッセイ」ですね。さすがです!

  エクストレイル(キャッシュカイ)も先日のジュネーブMSで「プレミアム・コンセプト」が公開されました。ナッパレザー(ホワイト塗装仕上げ)でシートやトリムを仕上げてあります。いわゆる最近の日産が得意な「ホワイト」な内装です(スカイライン&シーマの クールエクスクルージブは違う素材だけど)。さらに日産の公式ページにも「週末をアルプスやピレネーで過ごすアクティブな人々に向けて」と書かれてましたが、日本でもそのイメージのままでプロモーションを展開してほしいです。日本での発売があるとしたら、日産はいつも弱気なので300万円台半ばくらいでしょうか?

  100万円台でも3列のプチバンが買えますし、200万円ちょっとで納得のサイズの5ナンバーミニバンもたくさんあるのに、ちょっと豪華なオデッセイやエクストレイルが日本のユーザーに支持されているのはとてもいい傾向だと思います。まだまだ他のメーカーにも「アウトランダー」や「エクシーガ・クロスオーバー7」など「新しいファミリーカー」競争に精力的に参入しています。トヨタにもベストセラーの「エスティマ」がFMCのタイミングを伺っています。ミニバンの廃止が報じられたマツダですが、いよいよ2.5Lターボの「CX9」を日本に持ってくる?


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