2016年4月6日水曜日

マツダCX4 「ビーエムの真似とか言わないで〜」

  発売から3年半が経過した3代目アテンザが当初の目論見通りにグローバルで月に1万台を売り続けているマツダ。アテンザは日本市場でもしぶとく月1000台を確保するなど予想外に健闘しています。フラッグシップが好調ということもあって、他の下位モデルも全て堅調に推移しています。

  以前のスポーティなハンドリングへ突き進むマツダがとても好きだったので、「スカイアクティブ」以降のややどんよりしたマツダには個人的には懐疑の目を向けていました。実家のトヨタと自分のマツダ(旧型)は「走り」に関するあらゆるパラメーターが違っていて、実際にそのギャップはとてつもなく大きいです。同じCDセグのセダンなんですけど、クルマの乗り味ってこんなに振り幅が大きの!?というくらいです。おかげさまで、それを尺度に他のメーカー車の乗り味をあれこれと断定させてもらってます。BMW3erはトヨタとマツダのほぼほぼ中間くらいでしょうか、電動ステアになってからなんとも薄味に感じます。スカイラインは「あのステアリング」のインパクトもあってかかなりマツダ寄りです。Cクラスは完全にトヨタ寄りですね・・・現段階ではとてもスポーティとは表現できないです。

  しかし「スカイアクティブ」になってからというもの、マツダのハンドリングはハッキリとマイルドになりました。当初はフロントサスの変更が影響したのかな?と勘ぐってましたが、マツダのエンジニアがいろいろな場所で、ステアリングの切り始めをマイルドにした!と言っているので、どうやらメーカーぐるみの意図的な変更のようです。2012年まではロータリー搭載車を販売していたので、その機動性を生かすためにも、「アウトロー」で「アヴァンギャルド」なハンドリングをブランド全体の個性として打ち出してきたマツダですが、自己都合によりディーゼルをブランドの目玉に据えるようになったり、排気を改良したガソリンエンジンを積む為に長いノーズのボディが必要だったりするなどで、どうも凡百な輸入車と同じような「ゆるさ」が出てきています。

  それでもデザインを中心にマツダの美徳とする「こだわり」が存分に出ていて、それが世界的なヒットに繋がっているようです。しばしば「マツダのデザインはいい!」と漠然と評価されていますが、細部までしっかり作り込んでいるという意味では新型プリウスやミライもそれなりに時間はかけているのがわかるデザインだと思います。マツダよりも圧倒的なインパクトを持つド派手な「面(ツラ)」をつかってます。

  マツダ車を見ていて「すごいな〜・・・」と思うのは、どのモデルも「デザイナーとの対話」が楽しめるところです。近くで眺めていたら、さりげないこだわりにあれこれと気がつきます。例えばアテンザならば・・・グリルやライトの造形に最初に目がいきますけど、これらはそれほど感銘深くはないです。しかしサイドの肉厚なパネルとそこから醸し出される全体の素晴らしいバランスに気がつくと、もうクルマの全景が一気に変わって惚れ惚れします。これを見てしまったあとでは、アホみたいなライン入れてるレクサスISや、妙に弱々しいオモチャみたいなCクラスや、何も意図していないジャガーXE、スカイラインや、パサートやレガシィと見分けが付かないアウディA4や、ただただ安っぽくて塗装もずば抜けて下手くそなBMW3erなど・・・これらのサイドのデザインが自分の意識の中で完全否定されてしまうほどです。

  「セダンはサイドデザイン」・・・ドイツ車も他の日本車も全く欠落していた真理を再発見するのが、マツダ・デザインの非常に有り難いところです。もしアテンザが無かったら?・・・メルセデスCLS→CLA→S→Cのようなリアからボデーが溶け出してしまったようなブサイクな「デザイナーズ・セダン」が流行っていたでしょうね。この4台を街中で後ろから見るとあまりに酷いデザインに失礼ですが嗤ってしまいます。新型Eクラスも相変わらずの「小さなケツ」デザインで登場しましたが、発売前からすでにダサいです。もっとも「小さなケツ」の源流は日産レパードJフェリーなんですけどね・・・。

  マツダに話を戻すと、CX5もとてもバランスの良いSUVデザインだったと思います。もしこのクルマが無かったら、レクサスもメルセデスもSUVデザインの方向性を完全に見失っていたでしょう。素人が言うことではないですが、余計なことをせずに淡々とマツダのデザインをパクっておけば、ロングテールで売れる評判良い定番SUVが作れるような気がします。レクサスもメルセデスも雑然としたSUV市場を「派手な仕掛けデザイン」で楽に目立ちたいと思うでしょうが、ハイクラスのブランドがジューク路線を安易に追従するのは危険です。

  とにかく「俄」「俄」「俄」なSUV市場ですから、トヨタのように開発に手間ひま賭けると完全に商機を逸します(プリウスSUVはまだまだ先でしょうか?)。そこで登場するのが、BMWのような「ヤクザ」なブランドです。BMWのSUVはなんとも玉虫色で、そもそも開発が面倒だからM&Aでランドローバーのノウハウを手軽にゲットして、他人のふんどしでクルマ作りをする超合理主義で、ルノー経営陣にいちいち楯突く日産のクルマ作りとは真逆です。もはやBMWのSUVはドイツとは何の関係もないクルマでしかなく、デザインまでそれぞれ他社に丸投げしてますから、X1、X3、X5でも統一感がかなり希薄です。ちなみにX1は中国の下請けが、X3はオーストリアのマグナシュタイナーが、X5はサウスカロライナがそれぞれ担当しています。

  参入・撤退が比較的に容易な「ライセンス生産」でやっつけ仕事で作られているBMWのラインナップを、マツダが真似してる!?みたいなミーハーな記事を見かけると、なんだかとってもやるせない気分になります。いよいよマツダ公式HPでもCX5→CX3に続いて「CX4」という名称の新型SUVが北京MSで公開されることになりました。

  実際のところBMWのSUVはどれも良さがよくわからなんのですよ。何がしたいのか?全くわからない!近頃じゃセダンも同じ臭いがいますけど・・・。SUVでは特にBMWらしい操安性の良さなんてまるで感じないですし、スタイルも日本で販売している全メーカーのSUV中でも最低レベルに「すぼら」です。X5とX6はクロカン好きのツボを押えたラダーフレーム車ですけども、X1、X3、X4はまるで存在意義がわからないです。ホンダのCR-Vやヴェゼルの方がよっぽどいい。この3車種を褒めているライターは絶対に信用できないな・・・。まともなライターなら「コメントは控えます!」と評価を放り投げるレベルですから。

  そんなBMWのSUV展開に対比されちゃうマツダは少々気の毒ですね。マツダのCX5とCX3は国内外で販売も至って好調で、各地のCOTYでも軒並み高い評価を受けていて、激戦区を見事に勝ち抜いた「傑作SUV」としての評価を勝ち取っています。・・・が今回のCX4はプロトモデルが中国の工場で作られたようで、かなり早い段階で情報が漏れてました。いよいよマツダもBMW的な「投機」に走ったか?と嫌な予感もしましたけど。

  CX5のCD値を改善するボデースタイルで高速道路での風切り音を低減させたり、「低床車と同じように走れる操安性」をCX5からさらに高めた企画なのだと思いますが、ボデー以外はCX5の「ノックダウン(流用)」になるのでしょうか? それともCX5とは全く別の世界観を見せてくれる、マツダらしい「こだわり」の新型車として登場するのでしょうか? マツダの予告だと、デザイナーとの対話が楽しめる自信のデザインのようです。セダンを越えた操安性で・・・アテンザユーザーをも取り込むのか? まあボチボチ発売が楽しみな1台ではあります。


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2 件のコメント:

  1. >どのモデルも「デザイナーとの対話」が楽しめる

    最近のマツダの「いいカンジ」ってこれだったんですね。
    自分で言葉にできなかったことを言葉にしていただいて感謝です。

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    1. コメントありがとうございます

      他のメーカーもちょくちょくいいデザインありますけど、
      マツダはとことん「捨てデザイン無し!」なんですよね。

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