ネットで誰でも手軽に情報が得られる時代になって久しいです。ネットで情報収集する際には英米独のカーメディアに手軽にアクセスできるので、おかげさまで学生時代よりも英語、ドイツ語に関しては素早く読めるようになったかも・・・。「日本のカーメディアと違ってずっとまともだな〜!!」なんて得意げにドヤ顔で言うつもりはないですよー。むしろ日本のカーメディアの方がよっぽどマシなんじゃないの!?って思うところもあるくらいです。どこの国でもカーメディアなんてのは、ダメ人間がテキトーにやっている・・・これがグローバリズムってもんですかね。
日本のカーメディアがシビックの属するCセグを語るときに、デフォルトで実力上位に置くのが「VWゴルフ」「スバル・インプレッサ」「マツダ・アクセラ」の3台です。そしてそれがそのまま世界のCセグの頂点であるかのような表現をとてもよく見かけます。確かに・・・VWゴルフは欧州と中国で、アクセラはオセアニアで、インプレッサはスイスでCセグのナンバー1ではあるんですけども、この3台が束になっても北米市場ではシビックやカローラの前に勝負になっていないのは何故なんだー?それは日本車が安いから!!とか説明するライターさんいますけどこれは大嘘!!
ちなみにホンダは北米でシビックより安いフィットも売ってます。トヨタもアクアとヴィッツ(ヤリス)を売っています。フォードもフィエスタの販売を開始しました(旧デミオシャシー)。しかしマツダはデミオを売っていない・・・いやいやデミオのセダン(東南アジア、中国のみ)をOEMでトヨタブランドから「ヤリスiA」として発売してます(マツダブランドはなし)。対してVWポロは発売されていません。アウディA1も。プレミアムブランドではCセグのハッチバックもアメリカでは売らない方針で、Aクラス、A3(ハッチバック)、1erのラインナップもありません。
北米にはあって日本未発売のCセグ車としては、フォード・フォーカス(日本から撤退)、シボレー・クルーズ(オペルが開発)、ダッジ・ダート(アルファロメオ・ジュリエッタがベース)、ヒュンダイ・エラントラ、キア・フォルテ、キア・リオなどなど。・・・車名をずらずら書いても何もわからないので、北米市場のシェア(全登録車ベース)を簡単に分析すると、主に世界の「強豪12グループ」によってシェア争奪戦が繰り広げられています。
その中で「9〜12位」と低位に甘んじて完全にフン詰まっているのが、北米市場を少々小馬鹿にしているところがある、「欧州市場主体」のメーカー連中で、9位VW/アウディ、10位メルセデス、11位BMW、12位マツダといった面々です。日本のカーメディアではかなりチヤホヤされている印象がありますが、北米では完全に「負け組」です。フェラーリやポルシェのように生産能力に限界がある訳でもなく、シェアをもっと伸ばしたくて仕方ないのに、思うように伸びない「能無し」な4メーカーです。だってクルマがクズだもん!!「走りこそが正義」みたいな破廉恥な前近代的フレーズを好み、いかにもアメリカのユーザーに媚びへつらう上位で成功しているブランドのクルマを軽蔑してそうな顔ぶれです・・・。
これら下位(底辺)の4グループは、それぞれの製品から判断するに首脳陣の考え方が・・・「古い」「無難」「セコい」。日本や中国のオッサンユーザーだけが喜びそうな「骨董品」的な要素を大事にしていたけども、結局は将来への展望が甘く、HVの開発も満足にできていません(製品こそあるものの、ユニットの信頼性はトヨタ、ホンダに遠く及ばない)。ヒュンダイみたいに「プリウスは素直にスゴイ」と認めて必死でコピーする!!といったこともせず、気がつけば「内燃機関の廃止」へのカウントダウンが始まった・・・。最先端の液晶テレビを見て、「薄っぺらで重みがない」とか批判して、未だにトランジスタとブラウン管でテレビ作っている4グループと言ってもいいかも。
確かに直近の数年ではメルセデスとBMWは相当な利益を計上こそしていましたけども、費やした開発費は日米韓のグループに遠く及ばず、技術を得る為に買収したメーカーの株式売却益で利益を積み上げてます。確かに困ったらメルセデスは日産に、BMWはトヨタに助けを求めればいいのかもしれないですが、そういった「鼻クソ」みたいなブランドのクルマを絶賛して、プリウスを批判するのが、日本のかーメディアの一番ゴミなところでしょうか・・・。ドイツのメディアは、「トヨタ、日産、ホンダは次に何を仕掛けてくるのか?」「今度こそドイツ3グループは壊滅するぞ!!」くらいのまともな感覚を持ってますけどね・・・。
どうやらアメリカ人の感覚では「Cセグ」は日本市場における「軽自動車」みたいなものらしいです。「直4エンジンなんて男のクルマじゃねー!!」という意見もまだ根強いようで、BMW320iなんて完全に女性向けのハイソカーらしいです。もっともマスタングもマツダ・ロードスターもポルシェ718ボクスターも半数以上のユーザーは女性という統計が米国のMOTOR TRENDという雑誌に出てました。
Cセグも当然に女性向けなんでしょうけども、米ビッグ3の1つであるフォードが展開するハイパフォーマンス系の「シェルビー」とは別の企画で、よりお手軽にスポーツ・フィールを愉しめる「フォーカスST」を投入したことから、数年前から徐々にCセグスポーツというジャンルが確立されたようです。これ日本市場にもぴったりで、カーメディアがもっと騒いでも良さそうだったのですけども、やはりメーカーからお金貰って仕事をするだけの日本のカーメディアが動くなんてことはあるはずもないですね。
北米で「フォーカスST」に対峙するのは、直4ターボCセグの嚆矢でアメリカ市場にも愛されているメーカーである「スバルWRX」。この2台を軸にCセグスポーツが広がりを見せつつある中で、BMWはM2クーペの前身である「M1」を投入。ゴルフGTIとRももちろん投入されていますし、それを追いかけてメルセデスがCLA45AMGを投入。ホンダもVテック搭載自然吸気の2.4L直4(201ps)を積む「シビック・Si」を設定しています。ホンダにただならぬライバル意識を燃やすヒュンダイもエラントラ・スポーツに1.6Lターボ(201ps)というマッチョなエンジンを搭載しています。
日本で売ってないクルマのことをとやかく言っても意味ないですけども、北米ではまだまだCセグのシェアは大きくはなく、主流はDセグだと思っていたのですが、いつの間にかカムリやアコードとほぼ同水準までカローラとシビックは伸びています。ヒュンダイに至ってはDセグのソナタよりもCセグのエラントラの方が売れている!!さあこれからCセグシェアの分捕り合戦が本格化しようとしているのに、北米でやらかしてしまったVW/アウディや、まともにCセグを用意すらしていないメルセデスやBMW、そして完全にユーザーがCX5に移ってしまったマツダ。ついでにブランド別で第8位に位置しているスバルは、北米市場に愛されているとはいえ、インプレッサの伸びは限定的で、もっぱら牽引役はアウトバックとXVです。
アメリカ新大統領は日本の自動車産業に対して皮肉を言うそうですが、これは決して現実が見えていない政治のトップによる単なるパフォーマンスとは言い切れない部分があるようです。ある統計によるとここ数年の生産用機械の増加数において、アメリカは中国をも上回る水準にあります。日本やドイツが横ばいか緩やかな減少を迎えている中で、中国の「突き抜け」に待ったをかけるのが、アメリカの成長戦略として動いているわけです。
工業の再成長を見せるアメリカで、国内製の部品の使用率の高さで知られるモデルが、カムリ、アコード、カローラ、シビックです。GMやフォードのベストセラーのピックアップトラックよりも圧倒的に使用率が高いのだとか・・・。「アメリカ車なんてレベルが低すぎる!!」と嗤う日本のカーメディアからは何も伝わってこないですが、アメリカの新大統領の「発言」とは、積極的な設備投資に踏み切った(もう後戻りできない!!)アメリカの自動車産業から生み出される部品を世界3位の生産台数を誇る日本へ売るという意思表示のはずです。
そんなタイミングでホンダがシビックの生産拠点を日本に移してきたことの意味って結構根深いように思います。K沢さんは「(売れるわけはない)ホンダは狂っている」と断じておられましたが、「日本のシビックは日本で作る」というホンダの決断の裏には、日本の自動車産業の炎を消してはいけない!!というホンダ経営陣の危機感が現れているように思うのです。
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