2014年8月15日金曜日

カローラはもう「お役御免」ですか?

  数年前からカーメディアがうっとおしいくらいに「日本メーカーはいよいよ正念場を迎える!」という厳しくも無責任な言葉を吐き続けたおかげかもしれませんが、最近の日本メーカーは凶暴なまでに商品力が高過ぎます・・・。今や相対手にに商品力がかなり堕ちてしまった輸入車をわざわざ買う人は「本物のセレブ」か「変態」もしくは「おバカさん」しかいない!と言っても過言ではないです。1000万円以下の価格帯で買える「輸入車」というだけでなんだか胡散くささが充満するほどで、この価格帯で日本車に対して何らかのアドバンテージを持っているブランドを如いて挙げれば「シトロエン」くらいじゃないでしょうか?このブランドを選ぶ理由はなんとなく解ります・・・。なのでシトロエンだけは「まとも」ですね。

  あとはフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェといった「セレブ」向けスポーツカーはやはり本場のものがいいという意見もなんとなく解ります。しかし実際に日本で売れてるブランドとなると結局はVW、メルセデス、BMW、アウディ、ボルボ、ミニの6強が抜けてます。どれも「変態」が買うような個性があるクルマでもないですし、AMGやアルピナを除けば「セレブ」のクルマでもないです。つまり大変恐縮ですが・・・なクルマです。総合的な実力ではCセグ、Dセグ、Eセグ、Fセグも全て日本勢に完全に「マウント」されていますし、私の知る限りではSUVも断然に日本車の方が素晴らしい!とにかくいちいち車名を挙げるまでもなく、明らかに日本メーカーの方が高い志でクルマ作っているのを感じます。

  自動車雑誌はそれでも日本メーカーが「遅れている」という結論に持ち込みたいようですが、ドイツメーカーなんて揃いも揃って日本メーカーのHVなどの特許が切れるのを待っているだけです。ドイツ車が装備する技術をあれこれ調べればほとんどがバブル期にアメリカや日本のメーカーによって開発されたものを使っています。そもそもクルマの設計にしても、VWは三菱とスズキの技術をかすめ取り、メルセデスは絶縁関係にある三菱の技術を何の躊躇いもなく移植してFF車を開発しました。BMWはトヨタの包括的な援助によって何とか性能面で大きくひけを取らないクルマを作ってはいますが、残念ながらどのブランドも乗り味がどんどん日本車化(トヨタ化)しています。ゴルフ乗っても3シリーズ乗ってもCクラス乗っても「何だかクラウンやマークXぽいな・・・」って気がするようになってませんか?

  そもそも日本車とドイツ車では作られる環境が全く違います。様々なサーキットだったり、公道テストができるという意味ではドイツ車にアドバンテージがありますが、今やトヨタ・日産・ホンダ・マツダ・スバル・スズキ・ダイハツまでも欧州に開発拠点を持ってますから、その気になればいくらだって良いクルマは作れます。その一方で鉄鋼業が衰退した欧州と違って、鉄鋼大手がひしめく東アジア地域はマテリアル面で圧倒的に優位な状況にあります。もともと自動車専用鋼を使って世界を支配した日本車ですが、経済オンチのクルマバカの皆さんからは、しばしば「ペラペラの外板」などと言いがかりを付けられたりもしていました。ジャガーやメルセデスがアルミに活路を見出し始めた今となってはどんなにアホなメディアでも外板で日本車を叩くなんて愚かなことはしなくなりましたが・・・。

  ここ数年話題になった「ゴルフ」も「アウディA3」もメディアが大騒ぎするほどのクルマとは到底思えません。確かにトヨタが大衆車として売っているプリウス、カローラアクシオ、プレミオ辺りと比べれば、ハンドル・アクセル・ブレーキのダイレクト感で「良い!」と結論したい気持ちはわかります。でもそれでは素人の感想とまったく一緒です。トヨタにだってオーリスRSなど「価格」と「イメージ」がハマらずにマイナーな存在になっているクルマがありますし、これと比べてしまうと、ゴルフもA3も「大騒ぎ」というほどじゃないじゃないです。たまたま日本においては「VW」やら「アウディ」やらのブランド力でそこそこブレイクスルーしているだけのことです。

  トヨタだってこれに対抗して、「ヤング・レクサス」とか銘打って新しいブランドを立ち上げて、戦略価格(現在の価格)で「オーリスRS」「ヴィッツRS」「86」「マークX」「アベンシス」を売れば、ゴルフなんかを軽く上回る反響が得られるはずです。トヨタが世界で売っているVWを抑え込む走行性能のモデルを、このチャンネルに揃えて日本で大々的に売り出したら、若いユーザーをごっそりと取込むこともできるでしょう。まあそんあことしたらいよいよ日産・スバル・マツダは国外逃亡しか手が無くなってしまうわけですけど・・・。

  徳大寺さんを始め日本の多くの評論家は説明不要の前提として「ゴルフ>カローラ」という力関係を主張されていますが、もちろんこれが成り立つのはごく限られた条件においてのみです。良識のある評論家は、ゴルフ的価値観でカローラを判断することがそもそも間違っているということがよく解っておられます。トヨタが国内専用モデルとしてポイントを絞って作り上げているカローラを、「アウトバーンでは全く通用しない」みたいな貶し方をするライターがゴロゴロいます。

  もちろん欧州で販売されているカローラ(日本名オーリス)は、かの地ではゴルフよりも高級なハッチバックとして人気を博しています。オーリスのシャシーを使ったセダンボディのものも用意されていて、ドイツでトヨタブランドで発売されている3BOXはこのカローラだけです。あとはアイゴ、バーソといった小型車とプリウス、アベンシス(ワゴン)、そしてラブ4とランクルで全トヨタラインナップですから、ブランドの大黒柱は完全にカローラです。この貧弱なラインナップにもかかわらず、トヨタは好調の日産やマツダと同じくらいの販売規模を誇っています。ドイツにおいては「アクセラ」も「オーリス」も「シビック」も「ゴルフ」も同じくらいの評価を得ています。ちなみにセダンの「カローラ」は全長4620mmで3シリーズに迫るサイズです。

  もういっそのことトヨタがドイツや北米向けに販売している3BOXのカローラを日本でも売ったらどうですかね。みんな涙を流して喜びますよ・・・そしてクラウンやレクサスが売れなくなっていくでしょうけど。グローバルで闘うトヨタの本当の姿を、本国の日本人だけが解っていないのは寂しいかぎりですね。ただこれはVWに関しても全く同じことが言えるようで、ドイツ人にとってゴルフとは日本人にとってカローラ、プリウス、アクアみたいな「ありふれた」存在であり、とくに自動車好きの興味を強く引くような存在ではないようです。トヨタもその辺の事情が痛いほどよくわかっているので、「国内専用カローラ」という極端な政策を取るのでしょうね・・・。まあどうでもいいことですが。


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