2016年1月22日金曜日

北米COTY受賞のシビックセダン なぜ日本で売らないの?

  とりあえず見てもらった方がてっとり早いですね。
⇒ホンダのサイトより「シビックセダン」 
  日本でも販売されているアコードの顔に準じたものなのでしょうが、ホンダ車らしからぬサイドラインの美しさに思わず目が釘付けです。歴代のアコード、インスパイア、インテグラ、オデッセイはクルマ全体から「スポーティさ」を印象づけるような「スリム=ガリガリ」なボディでしたが、それらとは一線を画したような「高級感」を放つグラマラスなデザインになっています。

  初代NSX以来の衝撃!!!はちょっと言い過ぎかもしれないですけど、一目で欲しくなるようないい雰囲気です。バブル期の日本のスポーツカーで、デザインの最高傑作と言われているのがマツダRX-7FD3S(1989年)ですが、初代NSX(1990年)もそれに劣らない傑作デザインでした!というかオーラは完全にこちらが上だと思いますし、なんといってもリアに盛り上がるフェンダー回りの巧みな曲線美には、今でも見かけるとため息でますね(FD3Sはちょっと古臭い)。のちにリトラクタブルヘッドライトが廃止されましたが、それでもそのスタイリングは変わらずにカッコいいですし、リアデザインなどは後期モデルの方がアップデートにより、さらに洗練されたものになりました。

  すっかりNSXの話になってしまいました。さて11月に北米で発売されたばかりの新型シビックセダンは、いよいよホンダの美しいセダンが復活した!ということを強く印象付ける、非常に完成度の高いデザインです。一時的に日本での販売が停止されていたレジェンドですがそれほど間をおかずに新型となって復活しました、しかしそこにはホンダらしさ(他のブランドの先を行く活性化したデザイン力)はなく・・・やや失望したホンダファンは多かったのでは?。北米のアキュラ・デザインはリンカーンなどと並んで日本ではあまり好まれないいわゆる「鉄仮面」デザインなのですが、それを日本向けにフェイスリフトしたレジェンドは、どうもデザイン全体の煮詰めが甘くてチグハグな印象が拭えません(700万円もするのに!)。

  日本で発売されていたホンダ車で、最後のホンダらしいセダンデザインといえば・・・最終型のインスパイアでしょうか。日本のアコードは先代までは欧州仕様が充当され、その前の世代までは限定グレードで「ユーロR」が設定されていたわけですが、当時は北米仕様の一回り大きいアコードを、日本向けの顔にして「インスパイア」としてアコードの上位モデルとして販売していました。そのインスパイアの最終型のデザインは、非常にダイナミックかつ保守的な機能美も兼ね備えたドイツ車にも決して負けない非常に「美しいセダン」でした。日本では印象が薄いですけど、北米ではBMWやアウディよりもホンダのセダンがクールだともて囃された時代は21世紀に入ってからもしばらく続いたようです。しかし2013年の北米アコードのFMCによって、これまで築き上げてきたホンダらしい3BOX車デザインがかなり迷走し始めました。

  高級セダンのレジェンド(アキュラブランド)は販売不振に陥り、ミドルセダンのアコードはライバルであるカムリばかりか新興勢力のアルティマ(ティアナ)、フュージョンにまでまさかの遅れをとることもありました。歴代モデルが受賞してきた北米COTYを逃すなど、ホンダの不調は明らかでした(決して赤字転落ということはないのですけど)。迷走の理由を探ると、レクサスの成功を意識するあまり高級志向の内外装へと舵を切るなかで、何かブランドのイメージを変えるようなターニングポイントになる画期的なデザインのモデルもなく、2000年代初頭から使い続けるやや武骨なセダンデザインをそのまま使って高級車を仕立てたことに原因がありそうです。

  「若さ・溌剌」が取り柄だったホンダセダンに、プレミアムブランド調の重厚なフロントマスクや内装パネルなどをあれこれ押し込んでしまった結果、どうもアコードとクラウンを足して二で割ったような、やや中途半端なアコードの現行モデルが誕生してしまったように思います。ホンダは失速する中でトヨタは堅調でした。ホンダ、トヨタの2強だった北米のミドルセダン市場には、日産アルティマ(ティアナ)が殴り込みをかけ、さらにフォードとマツダがそれぞれにデザインを重視して、ホンダのお株を奪うような「若さ・溌剌」をイメージさせるセダンを成功させました(フュージョン20000台/月をクリアしてアコード、カムリに匹敵、アテンザは10000台/月の手前で足踏み)。

  日本と同じようにアメリカでもSUVがブームになっているようですが、やはりアメリカ人はセダンが好きで、日本では月に200~300台しか売れないアコードやティアナが、アメリカでは月にそれぞれ20000〜30000台は売れます(単純に100倍!)。そんなアメリカ市場での販売を念頭に置いて、アコードもアテンザもレガシィもフュージョンもパサートも4800mm程度まで大型化しています。さらにその下には4700mmクラス、4500mmクラスのセダン市場があります。

  日本ではレクサスIS、3シリーズ、Cクラス、A4などプレミアムセダンばかりになった4700mmクラス(マークXはまだありますけど)は、北米ではクライスラー200Cやダッジ・ダート、VWジェッタ、そしてこのシビックセダンが投入されています。プレミアムDセグと拡大されたCセグセダンで構成されるこのクラスは、日本を走るにはベストのサイズでは?と思うのですが、廉価な拡大Cセグはなかなか日本での発売が始まらないです。ここはぜひホンダに先陣を切ってもらい、やる気満々のフィアット=クライスラー勢(200Cとダート)があとに続く!なんて展開を期待したいです。ちなみにこれらのモデルの北米での価格は17000ドル~19000ドル程度ですから、日本でも200万円台のボリュームゾーンで展開が出来るとは思うのですが・・・。NSXやtypeRもいいですけどシビック・セダンも日本上陸を!(北米製造車ですので「国産車ブログ」で扱うべきではないかも)

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2 件のコメント:

  1. 初めまして。いつもブログを拝見しています。車初心者なので勉強させて頂いております。

    私は、実家の車が長いことホンダだったという単純な理由で、何となく常にホンダが気になってしまうのですが、このシビックセダンは本当に良いですね!サイドのウィンドウの造形にはびっくりしました。

    フロントフェイスも最近のガンダム系ですが、上手くまとまっていると思います(あばたもえくぼ?)。

    リンクを貼られているホンダのリリースには、「クーペやTYPE Rの発売を予定」など書いてあるので、何とも期待が膨らみます。

    セダン氷河期とはいえ、日本にも是非投入してほしいモデルですね!

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    1. コメントありがとうございます。

      ホンダのガンダムルックは、
      ルノー、VW、スバル、メルセデスを巻き込んでの
      1大ムーブメンドかなと思います。

      アコード、レジェンドはちょっとアレでしたけど、
      ヴェゼルやジェイドはけっこう好きですね。
      スバルのレヴォーグもいいガンダム顔ですよね。
      ちなみにルノーのタリスマンという新型セダンも
      大衆ブランドとは思えない良い「ガンダム」でした。

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