2017年5月23日火曜日

ホンダ・ジェイド 「ホンダ・絶品クオリティの新時代」

  いくらスタイルが良くても、パッケージが良くても、乗り心地が良くても・・・売れないことがあるんですねー。発売当初は『これは人気になるんじゃないの!?』と気になった人も多かったんじゃないですか? オデッセイとエリシオンがまさかの統合となり、フラッグシップ・ミニバン新生『オデッセイ』はハイルーフ仕様になり、先代までの『あの』オデッセイと『ザ・HONDA』のイメージをも含めて引き受けるモデルがこのジェイドだったはずです。よって単なるストリームの後継車種ではないわけですが、ファンには「価格はオデッセイで、スペックはストリーム」じゃねーか!!と判断されてしまったかな・・・。

  私も「ジェイドは売れるんじゃないの!?」と思っていました。先代までのオデッセイを連想させるスタイリング。いやそれをさらにアグレッシブに進化させたデザインは、世間で評判の良いメルセデスやマツダ、あるいはホンダ・ヴェゼルなどと並ぶくらいに「優秀」だと思うんですよ。下の動画でも担当開発者が自画自賛してますが、おっしゃる通りですねー。先代のオデッセイからして非常に完成度の高い個性的なスタイルでしたが、さらにこのクルマに影響を与えたと思われるのが『シトロエンDS5』。

  うーんちょっと暴言まじりに好き勝手語りますけど、ホンダの開発者は先代モデルのストリームでもオデッセイにもなかった『キャプテンシート』にこだわったみたいです。ホンダが絶好調な軽自動車で人気の後部座席スライド機構が頭にあったのかなー。ミドルクラスの普通車と軽自動車では、さすがにイメージが断絶していると思うんですよ。Nボックスとジェイドをつないだのが・・・シトロエンDS5だったんじゃないか? シトロエンDS5にキャプテンシートは採用されているわけじゃないんですけどねー。

  同時期に開発されたであろう現行オデッセイは、トヨタのラウンジシートに対抗してフルフラットにもなるオットマン機能付きの『キャプテンシート』にこだわりを見せてます。しかしジェイドの2列目はそれとは全く違うレベルで、あくまで軽自動車のように足元スペースを広げる狙いです。軽自動車でも十分に広いのに、300万円近くするミドルクラスの普通車が狭かったら話にならない!!ってことなんでしょうね(当たり前ですが)。そして内装やらスペースの使い方やらをトータルで考える中で、イメージが重なったのがどうやらシトロエンDS5だった?(下の映像は似た雰囲気出てますね)


 

  ちょっとホンダに対しての悪口になってしまうかもしれないですが、先代オデッセイよりも150mm短いサイズに3列を押し込んで「同等のクオリティ」を狙うことにそもそも無理がありそうです。頑張ってインテリアを綺麗に作っているんですけども、当然に問題になってくるのがシートレイアウトです。それを2列目のスライドシートで解決しようとしたものの、結果的にミドルクラスの普通車にとって重要な要素になっている「高級感」が十分に上手く表現できていないのかも。動くシートの『軽さ』とサイドウインドーが気持ち大きすぎで、包まれ感が好きなユーザーにはちょっと不満かも。ユーザーはジャンルを超えて、CX5やハリアーなどと比べるわけですから。

  「走り」「個性的なスタイル」「やすらぎの空間」・・・欲張り過ぎってことはないですけど、開発者の頭にはホンダ内外のトレンドがギッシリ詰まっていて、いろいろ工夫を凝らしているし妥協する気もさらさら無いのもよくわかります。しかし出来上がった『ジェイド』とはどんなクルマ?と聞かれて、最初に浮かぶのは「6人乗れるクルマ」。うーんこれは無念でしょうね。『走り』を厳正に判断するならば、FF車同士ならどのドイツメーカーにも負けてないですから。BMWの2シリーズ・アクティブツアラーなんぞ買うくらいならこの『ジェイド』の方がよっぽどいい。そもそもBMWのFFってホンダのノウハウをローバーから受け継いだものですけどね・・・。

  さてこの『ジェイド』ですが近々予定されているビッグマイナーチェンジによって、5人乗り2列シートを追加して『走りのワゴン』として出直しを図るみたいです。タイミングとしてもシビックの発売時期に重なるので、1.5Lターボも現状の150psから174〜205ps版へスープアップしたりしないのかなー。しかし2列シートにしてしまったら、欧州で販売しているシビック・ツアラー(ワゴン)とほぼ同じだな。だからツアラーは日本に来ないのかな?



  日本のカーメディアではなかなか「ホンダ vs BMW」という対峙は見られないのですが、アメリカの雑誌ではしばしばライバル関係として持ち上げられます。四輪車に関してはホンダは後発メーカーなのですが、北米で先に存在感を発揮して現地生産を始めたのはホンダ。さらにVtec機構による高回転高スペックを実現して世界を驚かしたのもホンダ。そしてホンダに対してバルブトロニックを開発して対抗したのがBMWです。ホンダというと軽自動車やコンパクトカーばかりが売れてますけども、上位モデルは間違いなく世界の有名ブランドと互角以上に戦えるモデルばかりで、その出来栄えはどうもBMWをかなり意識しているんですよ。

  惜しむべくは先代まで圧倒的な『走り』の質と普及できる価格に抑えたエンジニアリングで、成長を続けるホンダの象徴だった、4輪DWBのアコード&オデッセイの時代が終焉してしまったことです。同じく4輪DWBを配するBMWの上級セダン(5/7er)に対抗するレジェンドはもちろんそのままですけども、ミドルクラスのアコード、シビックそしてこのジェイドは、BMW3シリーズと同じクラスのサスペンションに格下げされています。セダンに関しては意図的に車格を上げてシビックは3シリーズに相当するクルマになりました。上級グレード『Si』にはBMW・Mスポのような電制サスペンションがついたり、BMW・MのようなLSDがつけられたりしています。

  そしてジェイドに相当するモデルが『3シリーズ・グランツーリスモ』です。どちらも上質な走りとゆとりあるキャビン空間を狙ったモデルですが、FFの4650mmとFRの4825mmの2列目の快適性を比べると、これが結構いい勝負になります。どっちも『親孝行なクルマ』として十分に満足できますよ。320iGTをレザーシートで見積もってもらうと大まかに550万円くらい。ジェイドRSを本革シートやハンドグリップ4つに革巻きなどの上質装備を加えて見積もると値引きなしで340万円くらいです。排気量で100万円。ブランド料で100万円。どっち選んでも『家庭的でいいクルマ』だと思いますね。結婚する気がある独身貴族もコレにしておけ!!


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↓265万円のRSです。タマ数少ないからちょっと高めですね。
  

  
  

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