2017年4月5日水曜日

レガシィB4 「スバルの孤独な戦い」

  2014年に登場した6代目レガシィ。この世代から日本市場での主力だったツーリングワゴンを切り離してレヴォーグとして発売したため、レガシィは一気に日本での存在感を失っている感じです。私だけでは無いかもしれませんが、さらにレガシィB4にネガティブなイメージを持つきっかけとなったのは、全く不人気だった5代目B4の販売が終了するときに、警視庁にパトカーとして相当の台数を納入されてたからですね。街中であまり会いたく無いのに見かけることが多いです。一般ユーザーはほとんどいないのに、もっぱら警察車両として使われるセダン。スズキのキザシ・・・。そんなこともあって直後に登場した6代目レガシィB4にも「負」の先入観がありました。

  レガシィは2世代ごとにクルマのコンセプトが大きく変わります。「花の1989年組」の初代は世界的な大ヒットというセンセーショナルな登場をしました。1981年にはすでにレオーネツーリングワゴンとして原型が成り立っていましたが、それが新型モデルとネーミングのインパクトで広く認知されるようになりました。レガシィのスタート地点はほぼ「ツーリングワゴン」と言って間違いではないですが、1971年に登場した初代レオーネはクーぺ&セダンでしたし、それ以前に遡ると1969年のスバルFF-1、1966年のスバル1000となりスバルのフラッグシップ・ラインを形成してきました。

  そのまま年代で合わせていくと、レガシィへと繋がる一連のモデルは、ホンダ・アコード(1976〜)はもちろんマツダ・アテンザの原型となるカペラ(1970~)よりも歴史があるんですね。さすがに「ノイエクラッセ」以降に登場した1961年登場のBMW1500(のちの3er)には「歴史は」及ばないですけども、レガシィと3erの現在地を比較するならば・・・日本では3erが優位。北米ではレガシィが人気。ブランド力とか価格差とは無視できないですけども、ミドルクラスセダンとしてよりラグジュアリーな質感を持つのは・・・。

  アメリカで売れているのが正義!!はちょっと強引かもしれないですが、やっぱりBMW3erには大きなハンデがありますね・・・「駆け抜ける喜び」から切り離してクルマ作れないですから。レガシィB4が目指す上質なセダンにおいては、開発時におけるハンドリングの優先度は低いみたいですね。「そんなクルマいらねー」と言ってしまうスポーツセダン大好きな人々もそれなりにいるでしょうけども、今じゃマイルドなスポーツカーが「ノーマル」なエンジン載せてスバルの工場でもライン生産されている時代ですから、上級モデルを意識したセダンとは切り離して考えるべきか・・・そういう意味でスバルがやっぱり正義?(BMWには5erがある!!)

  歴代レガシィの進化を見ると、初代&2代目はツーリングワゴン人気で独走し、1998年に登場した3代目&4代目は当時のスポーツセダンブームに乗っかるようなスタイリングを展開。E46型3erやアルテッツァ(レクサスIS)、アコード(6代目CF)の人気を意識した設計でした。BMWもレクサスISもこの世代のイメージにまだまだ囚われたままですが、レガシィは2009年の5代目でボデーサイズを拡大してアメリカで人気を得ました。同じような路線を採ったプジョー508、マツダアテンザ(2代目GH)、VWパサートが苦戦する中で、レガシィ(5代目BM)だけが羨ましいくらいの大成功を収めました。

  世界はハンドリングにこだわるプジョーやマツダではなく、直進安定性においてFRのプレミアムセダン勢に圧倒的な差をつけることができるAWDを信じて、それで勝負したスバルの戦略の先進性が・・・だんだん私のような「ど素人」にでもわかってきました。カムリやアコードは日本ではすでにHV専売モデルであるように、日本におけるセダンの慢性的な販売不振に対して各メーカーは相当な強硬策を採っています。結局は乗り心地追求のために1500~1600kgまで膨れ上がった車重に見合っていて、動力性能と燃費を両立させて受け止められるパワーユニットを「日本基準で」作ることに無理があったとも言えます。

  ハイブリッドかディーゼルターボか・・・というソリューションをレガシィも6代目では採用してくると思いきや、欧州向けの水平対向ディーゼルを廃止!!わざわざ自社開発したハイブリッドシステムもレガシィには投入されず!!という度肝を抜く「逆張り」戦略です。残ったガソリンターボはスバルの得意分野ではありますがレガシィからは排除!!もはやこの段階で「スバル圧勝」の結論が出ていたのか? トヨタやホンダはHV投入の元が取れてないですし、メルセデス、BMW、マツダ、ボルボ、プジョーはディーゼル投入でやっとモデル存続が図れるギリギリの水準に喘いでいます。ガソリンターボ(直4)は・・・(高級車のユニットとしては)論外。

  全く何もしなかったわけではないでしょうけども、日本向けの全てのレガシィB4に搭載されている何の変哲も無い「2.5L自然吸気(FB25)」エンジンの水平対向、シュートストローク、ポート噴射が圧倒的な「キレ」を生み出しています。「CVTは嫌い」が合言葉だったクルマ好きをも黙らせる「感性豊かなエンジンによるピュアな走り」が実現しています。ディーゼル勢の力強いけどややフワフワしたレスポンスや、アコードの緻密すぎるモーター加速も、ある程度はセダンの魅力を引き出してますけども、下から上までアクセルに対して「納得の筆致」でついてくる自然吸気180psユニットはやっぱりいいですね。

  ショートストローク、自然吸気、ポート噴射といえば、日産のVQ37もありますが、フロントヘビーなFRという仕上げの車が多く、しかも採用車種がフーガとZのみで、ミドルクラスには設定されていません。マークXに使うトヨタの3.5L(2GR)は、直噴&ポートの併用になっていて思った以上にはスッキリと回らないです(ターボに比べればずっとマシです絵けど)。ちなみに官能領域エンジンへの日産の情熱は素晴らしくVQ37の後継となるVR30DETTも素晴らしい出来栄えなんだとか!!日本でもスカイラインで売ってください!!余談ですが直噴化を全世界で推し進めた某ドイツ系サプライヤーは、近年はタカタ以上の茶番を繰り広げていて、エンジンに対する考え方もだいぶ変わってきて、スバルや日産にとっては追い風かもしれません。

  全車AWD、パワーシート&シートヒーター(前後)、アイサイトは全グレードで標準装備。「レガシィに乗る人にふさわしい装備」ということなんでしょうね。スバルが見通すミドルセダンの未来は、「21世紀的バブルカー」な装いです。2019年にはいよいよ次のステージのレガシィが登場するみたいです。スバルがパワーユニットを放り出してでも開発を優先した新型プラットフォームが使われ、現行レガシィB4の数少ない弱点である、動き出し時の微細な振動と低速での操舵もかなり修正されるでしょう(インプレッサはその部分の進化が著しかった!!)。

  直噴化しないままの自然吸気フラット4を、AWD(のための縦置き)と、低重心化のためのユニットとして使い続けるとすると、フロント前部の下方暴れるエンジンを抑え込むためにサブフレームとサス剛性の強化は不可欠で、新型シャシーではその問題に的確な対応をしたと思います。だけどもエンジンスペース上の制約でフロントにはストラットしか使えない・・・。この辺をどのようにクリアしてくるかが、次のレガシィB4の見どころでしょうか。もちろん先代から継続で熟成されてきた現行モデルも価格を考えるとびっくりなくらいにお買い得なのですけどね。

↓4代目BP型 (4人のコメントは失笑ですが)とりあえずスポーティ・・・


↓ウゼー・・・5代目BM型


↓日本にもフラット6を!! 現行の6代目BN型
  


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