2017年4月19日水曜日

トヨタ86 「NC指定」

  トヨタがスバルに開発させてグローバルで絶賛されているスポーツカー。何といっても「86」というやや掟破りで「ヤケクソ的」なネーミングなんですけども、発売から5年が経ってもまだまだバカ売れ!!これはもうどんなネーミングでも売れたんじゃ無いか?と思いますね。圧倒的な企画力が素晴らしいです。日本で人気のある「GT-R」や「M4」といったスポーツモデルに、わざわざ寄せて作ったりしなくてもスポーツカーは十分に成功する!!ということを示しました。

  発売当初から多くの有名ライターが懐疑論を連発して浴びせました。素人が書く掲示板には「何でターボが無いんだ!!」「リアシートはいらない」「標準タイヤがプリウスと同じ」などなど、最大手メーカー・トヨタゆえのアンチがたくさん現れました。それらの中傷を一通り目にした結果、頭の中を「86」に対するマイナスイメージで充満させてから、勇躍して試乗に行ったからなのかもしれませんが、このクルマは印象が全くといっていいほど悪く無いんですよ。何度か乗りましたけど、毎回「これは楽しいぞー」という素朴な感想が・・・。別に車重を無理に1000kg前後にまで下げる必要はないですし、ターボ化して馬力&トルクを増幅する必要もない!!このままでいいと思います。

  「価格・実用性・楽しさ」この3つを見事に揃えてくるトヨタ&スバルには脱帽ですけども、何の前触れもなく突然登場しているモデルなので「伝統」や「ストーリー性」がないのがちょっと気になります。トヨタの社長が気まぐれで作った「ドリ車」です!!というコンセプトだけではなかなか「共感」できなかったです。トヨタのエンジニアが出世のために、社長が「ドリフト」するのにちょうどいいクルマを作ってみた!!そういうお遊び企画に無理やりスバルを巻き込んだ!!カネでスバルの顔面を叩いた!!・・・少なからずそういう見方をしてました。

  しかしこのクルマの本質は・・・いよいよわかってきたんですけど、これ安易にバカにしちゃいけないモデルですよ!!そもそも「GT-R」や「M4」こそが、めちゃくちゃに高価なスーパーカーには手が出ない人々(非セレブ)が乗る、下位互換的(コンプレックス的)な存在でしかないんじゃないですかね? これは欲深い(罪深い)クルマ好きにとっては、決して「所有欲」を目一杯満たすような「理想」では無いわけです。そして案外トヨタはそんな風に冷静にライバルを分析しているんじゃないですかね?そう思える点が5年経ってやっと見えてきました。

  「GT-R」も「M4」も素晴らしいスポーツモデルですけども、そもそもポルシェ911ターボやフェラーリを、出力面で乗用車ベースの改造自動車が追いかける意義なんてあるのかな? 元日産のGT-R開発者である水野さんは、強烈な「個の主張」で日本のクルマ好きを納得させますけど、実際問題として「GT-R」と「86」のどちらがより多くの人を幸せな気分にさせてくれているのか? 確かにGT-Rが世界最速記録をマークすると、日本の自動車産業全体が盛り上がりますけど、より多くのオーナーを笑顔にさせているのは「86」の方では?

  300万円ぽっちのスポーツカーなんてさ・・・そういってバカにする人も結構居るでしょうけど、「この価格でスポーツカーを作ったことが素晴らしい」とか当たり障りのないこと言っている人々に言いたい!!このクルマの価値は「廉価」ではないですよー!!

  おそらくとっても優秀でクルマへの熱いものを持ったトヨタの開発者たちは、良くも悪くもスポーティさを追求して進化してきた「日本のスペシャルティカー」の歴史は失ってはならない!!新しいスポーツカーをその歴史が辿ってきた「集大成」を存分に表現できるモデルにしよう!!そう必死で考えた結果の「86」なのだと思います。1250kgで200psというパワーウエイトレシオは、歴代の日本のスポーティカーにおいてごくごく平均的なスペックですが、これもおそらく計算づくなんじゃないですかね。

  
  

  日本のスポーツカーは、紛れもなく「日本の美意識」によって紡がれてきたんだなー。日本メーカーの2ドアクーペはもう絶滅寸前ですけども、この系図が絶えてなくなるなんて悲し過ぎます。あまり華美なフロントデザインにしない!!これもとても大切なポイントです。レクサス、インフィニティ、マツダ、スバルどれもグローバルでの販売を目指しているから、ドイツ車だか韓国車だかよくわからない「グローバル流行形」へと収束しています。これはやはり日本的ではないです!!1960年代から脈々と続いてきた「国内専売車」で日本的デザインが満載だった「日本の」スポーティカーの美しさは保護されるべき!!

  トヨタのクルマが大好きな開発者がみんなで集まって考えた!!「日本のユーザーがとても幸せだった時代をそのまま再現したい」ということなんじゃないかと・・・。決して社長のご機嫌をうかがう「ドリフト車」を作っていた訳ではなかったんだと思います(そう信じています)。街中に「86」がいっぱい溢れたっていいじゃん!!このタイプの車が街中に溢れていた頃の日本には本当に活力があった!!あまりに過剰過ぎるセレブ御用達の600psのラグジュアリーカーなんて日本には似合わないです。カーシェアリングのランボルギーニに無理して乗っているなんてとても不健全ですし・・・。トヨタにとっては「レクサスLFA」よりもずっとずっと「86」なんだと思います。そしてそれが正しい!!と思いますね。National-Carとして長く日本で作られ続けて欲しいクルマだと思います。


0 件のコメント:

コメントを投稿